「仮面ライダーガッチャード ファイナルステージ」千秋楽配信記念、本島純政ら10名が座談会 (2/4)

クロトーは新衣装がなかったら退場してたかも(笑)(宮原)

──では次にクロトーとラケシスにお話をお伺いします。冥黒の三姉妹、とっても素敵なキャラクターでしたね!

宮原華音(クロトー役) ありがとうございます!

坂巻 うれしい。

──最初は悪役として登場して、徐々に宝太郎たちに影響されて変化していったお二人ですが、戦うための人形から人間らしくなっていく中で演じるうえで心がけたことなど教えてください。

宮原 クロトーはどっちかっていうと戦闘マシンというか、冥黒の三姉妹以外は敵! 倒す! ということしか考えてなかったんですけど、話が進むにつれてラケシスが裏切ったり、アトロポスも離れていったのが本当につらくて。

坂巻 つらかった!

宮原 役だけでなく有ちゃんや(アトロポス役の沖田)絃乃本人たちのことも大好きすぎて、現場で反対側にいられるのはつらかったですね。でもそのつらさがけっこうクロトーの芝居を引っ張っていってくれて。2人のことを取り戻そう、こっちに来てほしいと思ってたことで、人間に近づいていく芝居に自然となったかなって。

坂巻 (拍手)大好き。

左から坂巻有紗、宮原華音

左から坂巻有紗、宮原華音

──坂巻さんはいかがですか?

坂巻 最初はグリオンへの恐怖心でしか行動してなかった子が、錬金チームやスパナ、鏡花さんとか人形じゃない人たちと向き合っていく中で、どんどん人間味を増していって、人間への興味も増していって。ただ、それと同時進行で、冥黒チームともいろいろあって。「家族だから戻ってこい」とかね。ラケちゃんはたぶん一番、冥黒とアカデミーとの真ん中に立ってたというか。いろんなはざまでもまれながら、どんどんどんどん人間に……なれたのかなあ……。

──最後の3話ぐらい、坂巻さんの声のお芝居が、明らかに最初と変わってる印象を受けてました。最初は高飛車な女王様的な感じで。

坂巻 ですね(笑)。そっちに全振りでしたね。

──でも最後のほうは1人の女の子としてスパナとやり取りしていたのがかわいらしかったです。声は意識して変えられたんですか?

坂巻 そうですね。最後らへんはやっぱり、スパナへの気持ちがあふれ出てる、ただの女の子みたいな。昔のラケシスの面影はまったくない、人間として演じたつもりですね、私としては。

──声の表現力が素晴らしかったです。

坂巻 ありがとうございます。うれしい。

──お二人と長女・アトロポスを演じた沖田絃乃さんは、本当の姉妹のように仲がいい様子がSNSの投稿などを通じて伝わってきました、お二人から見て沖田さんが作り上げたアトロポスのお芝居はいかがでしたか?

坂巻 素晴らしいよね。

宮原 最初から完璧だよね、絃乃に関しては。

坂巻 ずっと変わらないです。ブレない。

宮原 絃乃が一番スイッチが切り替わるのが早くて。私たちは立ち位置にいるときから気持ちを作ったりするタイプなんですけど、絃乃は、(子供っぽく)「ねえ、ありー、ありー」って言ってたのが、「用意……」「ありー」「はい!」(で切り替わる)って感じなので(笑)。私たちは「ちょ、ちょっと待って!」みたいな。

──すごい。

宮原 やっぱり長女なんですよねー。

坂巻 あとは新しいことをやらせてもすぐできちゃうから、こっちとしては心配がないというか。「絃乃はできる子だから大丈夫」っていう。

宮原 眠気と「おなかすいた」だけを回避すれば絃乃は大丈夫(笑)。

坂巻 ああ(笑)。

宮原 おなかがすくと小学生に戻るので、そういうときだけグミを与えれば。

──松本さんは沖田さんとの共演シーンも多かったと思いますが、いかがでしたか?

松本 アトロポスとの撮影が少しずつ増えていく中で、絃乃ちゃんと過ごす時間が増えれば増えるほどアトロポスへの理解度も高くなっていって、お互いの気持ちもだんだんわかるようになったので、お芝居がしやすくなっていきました。あとは、絃乃ちゃんくらいしか私より歳下のキャストがいないんですよ! だから一緒にいると私が小学生くらいに戻れるというか。絃乃ちゃんは私にとって一番気が休まる場所でした。絃乃ちゃんありがとうって感じです。

──また、冥黒の三姉妹といえば宮原さんの素面アクションも素敵でした。物語では途中、クロトーレビスとしてハーフマスクでのスーツでのアクションにも挑戦されていましたが、そのときの感想を教えてください。

宮原 クロトーレビスは最初、フルマスクでやると聞いていたんです。でもそれだと私も経験がないし、せっかくこれまで顔出しでやってきたからという監督の要望もあってハーフマスクになったんです。途中で空気穴を開けてもらって呼吸できるようにはなったんですけど、それでも暑くてけっこう大変でした(笑)。

坂巻 めっちゃかっこよかったよー!

宮原 でもああやって半分だけですけどマスクを着けることでスーツアクターさんの大変さや気持ちを知ることができたし、ほかの現場じゃやらせてもらえないことなのでめちゃくちゃうれしかったですね。あとはレビスのときのほうが「もうなんでもいい。ラケシスを取り戻したい。みんなと一緒にいたい」っていう素直な感情を一番むき出しにできたので、演じていてとても楽しかったです。

藤林 冬場に衣装の生地が増えた感想はどう?

宮原 あれは生地が増えたんじゃなくて強化していただいたの!(笑)

──初期のクロトーはおなかが出ていて確かに寒そうでしたが、2月放送の22話からの新衣装では隠れましたね(笑)。

藤林 でもあれ実際どうなの? けっこう違うもんなの?

宮原 だいぶ違うよ! あれがなかったら寒くて途中退場してたかも(笑)。

ラケシスの初鉄鋼は……興奮しましたね!(坂巻)

──ラケシスは後半、スパナや鏡花とも家族のような関係を深めていきました。3人でのシーンで思い出はありますか?

藤林 スパナとラケシスって今だとコンビみたいになってますけど、最初のほうは現場があまり一緒にならなかったんですよ。だから一緒に写真撮ったりとかも全然してなくて(笑)。でもラケシスが錬金アカデミーのほうに来てからは距離が近くなったよね。役者同士としてもちゃんとコミュニケーションを取るようになった。

坂巻 ヤスと初めて深い話したの、「スパナが燃えてますわ…」(21話)の撮影のときだったの覚えてる。けっこう中盤。

藤林 そうそう。そのときからラケシスが「スパナの傷メイクがいいなあ」って言い始めて(笑)。

坂巻 ラケシスはけがしても血が流れないんですよ。だから戦っても傷メイクができなくて。スパナがうらやましかったです。

藤林 初めてハンカチを手に巻いたときは喜んでたよね。そこもラケシスの成長を感じる瞬間でした。

──そう思ってまた49話のハンカチのシーンを見返すとより感慨深くなりそうですね。49話といえばラケシスは最後、自分の恋の相手がスパナであればと願っていました。スパナにとってラケシスはどのような存在だったと思いますか?

藤林 あそこで泣いちゃうと、もう「好き」ってことになっちゃうじゃないですか。それは断定的すぎるなと思ったので僕はあえて泣かなかったんです。

坂巻 観ている人に解釈を委ねたかったんだよね。

藤林 そう。何か1つの感情に振り切るんじゃなくて、「思いを自分の中に抱えたまま、ラケシスの分も背負う」というイメージで演技をしました。だからあのときのスパナの気持ちはハッキリとは言えないし、言いたくないというか……言い切っちゃうと薄くなっちゃうので。そこは自分のこだわりですね。

──それは監督のディレクションというより……。

藤林 僕の気持ちですね。だからよく聞かれることではあるんですが、ほかのインタビューとかでも答えたことはないですね。

──今回のファイナルステージでは、公演ごとに一部のシーンが変更になっているのも1つの特徴です。ある回でしか見られないスパナとラケシスの会話シーンは、あのラストに泣いた視聴者の方にはぜひ観てほしいですよね。配信で観ることのできる最終日だと、13時30分からの回にはその会話があるはずです。さて、三姉妹といえば素敵な衣装も印象的でした。ご自身や姉妹の衣装のお気入りポイントや思い出があれば教えてください。

宮原 クロトーは4回くらい衣装合わせしてるんですよ。毎日のように呼んでいただいて、アクションもできるけど衣装としても素敵になるようにちょっとずつ微調整して、細かいところまですごくこだわっていただきました。あの衣装で並んだときの三姉妹のバランスもすごく好きですね。

坂巻 私はしっぽがお気に入りです!

藤林 俺も一緒! ラケシスのあのしっぽは実は俺らのベルトと一緒で、あとから装着されるんだよね。

坂巻 そうなんです。形が崩れちゃうので、出る直前にポン!と着けてもらうんです。

藤林 蜘蛛の巣みたいなデザインになってて、すごく凝ってるんです。

坂巻 ほんとに大好きな衣装です。あとは絃乃の髪飾り! あれ大変なんですよ、髪の毛が立っちゃうのをヘアメイクさんが毎回直してくださって。でもエジプシャンですごく素敵。

藤林 あと背中にトントコトンって着いてるあれは?

──トントコトン!?(笑)

左から坂巻有紗、宮原華音

左から坂巻有紗、宮原華音

坂巻 ああー! ラケシスの背中の月のこと? そう! あの背中の月も取り外しできるようになってるんです。ちゃんと月の満ち欠けになってるんだよね。

藤林 衣装さんが忙しいときとかは「取って」とか言われて、俺が取ったりしてたよね(笑)。

坂巻 華音ちゃんの衣装で好きなのはやっぱアレかなあ。へそ出し?

宮原 それ、へそじゃん! 衣装じゃないじゃん!(笑)

坂巻 だから冬バージョンは、実はちょっと寂しかったんですよね。モコモコのもかっこよかったけど!

富園 それで言うとラケシスは絶対領域があったよね。

坂巻 えへへー! セクシーだったでしょ。

宮原 みんな肌見せの感じが絶妙だったよね。

──ラケシスは中盤でヴァルバラドに鉄鋼しますが、そのときの思い出は何かありますか?

坂巻 初鉄鋼はもう、最初に台本読んだときから「かましたろー!」と思ってました! でもどうやってかますかは撮影日まで全然決めてなかったんです。それは私が不真面目とかじゃなくて(笑)。福沢(博文=アクション監督)さんもそうですけど、ガッチャードはその場のみんなの意見で作り上げていくことが多い現場だったので、逆に自分だけで決めるのはもったいないなと思ったんです。現場にいるキャストやみんなに「どういうのがいいと思う?」と相談してできあがったのが、ヴァルバラッシャーにキスするというあれで……。いやー、興奮しましたね!

──観てるこちらも興奮しました!

坂巻 そうですよね!(笑) あんなに妖艶でちょっと気だるげな変身ってなかなかないと思います。