悪役が強いと締まる（みなみかわ）

──登場人物の中では、どんなキャラクターに惹かれましたか？

みなみかわ　結局は、悪役の王九がいいって気持ちがあるんですけど……それ以外では、リッチー・レン演じる九龍城塞の大地主・秋兄貴が復讐心に燃えていてよかったですね。彼は家族を殺されてますから、戦う動機がある。それに「地主やし」と思っていたら、けっこう強くて。この人、いい顔やなと思いましたね。いい顔で言うと、ケニー・ウォン演じる虎兄貴も好きなんですよ。秋兄貴と虎兄貴って、2人ともちょっとOB感があって。先輩っぽいというか。サモ・ハンもそうですけど、いぶし銀の魅力がありながら「まだまだいける」ところがよかったですね。

ショーゴ　僕は主人公の陳洛軍に興味を持ちました。“ちょい伸び坊主”で、いかつい系っていうのがいいですね。いよいよ王九と戦う日、陳洛軍が九龍城塞の子供に「今夜は家から出るな」って伝えるんです。それを聞いた子供が母親に伝えて、そこから住民に次々と広まっていくんですけど、住民から陳洛軍が信頼されてるのがわかりました。結局、陳洛軍が一番強いんですよね。

みなみかわ　それに陳洛軍、めっちゃ働きもんやしな。嘘みたいに働いてたからな。

ショーゴ　九龍城塞の中の厨房で肉に味付けする仕事を任されてましたね。調味料をお玉で「1杯、2杯」って数えるのがなかなか覚えられなくて。そういうかわいげもあったり。

マッチョ　でもやっぱり王九に惹かれました。強い人が好きなので。最終的に王九VS4人で戦うじゃないですか。そこに圧倒的な強さを感じますよね。王九って、最初はそこまで強いようには見えなくて。こいつがこんなに強かったのか!?っていう意外性もある。あと、なんでかわからないけど、炭を食ってましたよね。

みなみかわ　炭食うシーンの意味がわからなくて。前後の説明を見落としてたか？ってなるくらい唐突で（笑）。

ショーゴ　しかも刃物で刺されても全然効かないし。

マッチョ　こういう圧倒的に強いキャラがいるのが面白かったです。

みなみかわ　悪役が強いと締まるしな。

──もし、みなみかわさん、ショーゴさん、マッチョさんの3人で戦ったら、一番強いのは誰ですかね？

みなみかわ　筋力的にはどうやろな……。

ショーゴ　俺は格闘経験がないからなあ……。

マッチョ　自分は格闘経験はないけど、力はあるほうですね。

みなみかわ　マッチョにタックルされたら嫌や。そうなったら、下からどう攻めるかやな。

マッチョ　でも実際にやる勇気はないんで、僕は負けますかね。

──みなみかわさんは、システマの使い手で痛みに強いですしね。

みなみかわ　でも、マッチョも痛みに強いからな。

ショーゴ　この2人は痛みに強いけど、僕は弱いので……。映画の中みたいな攻撃は到底耐えられないです。

みなみかわ　そう言えば最近の映画のアクションの傾向として、柔術系の技が入っている気がするな。主流になりつつあるんですかね。品川庄司の品川祐さんも柔術をやっているから、自分で監督する映画に柔術のシーンが入っているし。今、品川さんに柔術に誘われていて、どうしようかなって思ってるところなんですよ。

マッチョ　自分も誘われてます！

ショーゴ　こういう映画を観ると、強くなりたいって思いますね。最近、初めて格闘技の体験に行きました。

マッチョ　気功も習いたくなりました。自分は“攻撃をしない王九”になりたいです。

体を大きくしても、街を歩くと絡まれた（マッチョ）

──3人が「強くなりたい」「筋肉をつけたい」と思ったきっかけは？

ショーゴ　筋肉に憧れるのって、「いい体になりたい」か「強い体になりたい」のどっちかじゃないですか。自分は「いい体になりたい」と思って鍛え始めたんですけど、この映画を観たら「強くなりたい」と感じますね。

みなみかわ　僕らの世代は結局「ドラゴンボール」の影響を受けてるんですよ。「ドラゴンボール」って、当初はカンフーの要素も強かったので、そこから興味を持って。学生時代には「K-1 GRAND PRIX」や総合格闘技イベントの「PRIDE」が人気になって、それを見て空手を習うようになりました。

ショーゴ　僕も筋肉を見て衝撃を受けたのは、ブアカーオ（※ブアカーオ・ポー.プラムック。タイのムエタイ / キックボクサー選手）を見たときでしたね。

みなみかわ　ストロングスタイルでやってきたムエタイ選手は本当に強くて最高やな。

マッチョ　自分は、格闘技とかも見てないですし、世代もお二方とは一回りも二回りも違うので……。

ショーゴ　え？ マッチョって何歳？ 俺30歳だけど。

マッチョ　29歳です。

ショーゴ　変わんないじゃん！

みなみかわ　俺も42歳やし。その言い方だと20歳くらいかと思ったわ！ 二回りじゃないで、一回りやで！

ショーゴ　（笑）。マッチョが鍛え出したきっかけはなんなの？

マッチョ　僕は中学1年生のときにすでに身長が180cmあって、でも体重は56kgだったんです。街を歩くと絡まれまくるので、体を大きくしたいなって。でも大きくなっても絡まれ続けてましたね。1年前くらいまで、バイト中にも肩パンされたり……。なので王九に憧れるんです。何をされても動じないから。

ジムが自分にとっての九龍城砦（ショーゴ）

──劇中、九龍城砦は“行き場のない者たちが寄り集まる場所”として描かれます。皆さんは、ご自身にとって「ここに駆け込めば安心できる」という場所はありますか？

ショーゴ　僕はジムですね。漫才でスベったり、嫌な仕事があっても、ジムに行くと落ち着きます。スベッたときも、この悔しさをぶつけてやるって。そうしたら記録も伸びるし、自己肯定感も湧いてきて、ポジティブになれるんです。

マッチョ　自分もジムです。野田クリスタルさんが発案してオープンした「クリスタルジム」でトレーナーをしているんですけど、トレーナーもみんな芸人ばかりで、すごく楽しいです。

ショーゴ　いいなあ。トレーナーをやりたいから吉本興業に移籍したいくらい（笑）。僕の所属するグレープカンパニーにもジムができたらな。でも最近、マッチョ芸人増えてきて、みんな生き生きしてますね。

みなみかわ　僕は居場所ではないんですけど、家の前の坂道ダッシュです。お酒も飲まないし、たばこも吸わないので、ストレス解消が体動かすことしかないんですよ。でもジムに行くとかではなく、手っ取り早く心拍数を上げたいので、坂道でダッシュしてるんです。子供の送り迎えをしたあと、400mを3回ダッシュして、それから仕事に行く。仕事の移動はバイクを使うので、体を動かす機会も少ないし、効率よくダッシュしないと眠れないんです。

ショーゴ　心配ですよ。

みなみかわ　ダッシュが一番効率いい。ただ、その坂道で通勤中の車が渋滞していたりするから、人に顔を見られまくってますけどね（笑）。ジムではないんですけど、2人と同じで、結局体を動かさないと落ち着かないんですよね。

──最後に、身近な人の中でこの映画をお薦めしたい人はいますか？

マッチョ　安藤なつさんです。

みなみかわ　マッチョは、なつさんのトレーナーやってるもんな。

マッチョ　そうなんです。仲良くさせてもらってるんですけど、「好きな映画何？」って話をしたときに、2人とも答えが「カンフーハッスル」で被ったんです。なつさんもアクション映画が好きなので、きっと面白いと思ってもらえるんじゃないかなと。

ショーゴ　僕は元ゾフィーの上田航平ですかね。めっちゃ映画好きなんですけど、どっちかって言うと理詰めの映画が好きな人なので。こういうアクション映画を観たらどんな反応をするのか、感想を聞いてみたいです。

みなみかわ　じゃあ、僕はレイザーラモンRGさんで。この映画を観たら、誰かのモノマネをやってくれると思うんですよ。試写会や舞台挨拶でやってもらいたい。僕の予想では、RGさんは王九のマネをする。そしたら僕は陳洛軍をやらせてもらいます（笑）。