「タイタニック」の劇場公開25周年を記念し、「タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター」が、2月10日より2週間限定で劇場公開される。
ジェームズ・キャメロンの監督作「タイタニック」は、豪華客船を舞台に画家志望の青年ジャックと令嬢ローズの身分を越えた恋を描くラブストーリー。レオナルド・ディカプリオがジャック、ケイト・ウィンスレットがローズを演じた。3Dリマスター版となる本作では、一新された臨場感あふれる映像が楽しめる。
今回は、好きな映画は「タイタニック」であると公言してきた吉野北人(THE RAMPAGE)にインタビューを実施。繰り返し観たという作品の魅力や、彼が「タイタニック」から学んだことを語ってもらった。
取材・文 / 小林千絵撮影 / 梁瀬玉実
ヘアメイク / Aki(KIND)スタイリング / 吉田ケイスケ
命の儚さや愛の深さ
──吉野さんは普段から映画をよくご覧になられるそうですが、どういうときに観られますか?
コロナ禍での自粛期間中は家でめっちゃ観ましたけど、普段は移動中が多いですね。仕事の合間の移動中とか、ツアー先のホテルとかで、空いている時間を見つけてちょっとずつ観る感じです。
──特に好きなジャンルはありますか?
なんでも好きですね。洋画でも邦画でもアニメでも。ホラーも観ますし。本当にそのときの気分で選びます。
──映画は何かのインプットのために観ているのでしょうか? それとも単純にリフレッシュ?
勉強とか研究とかそういうつもりで観始めても、結局お芝居のことを忘れて楽しんじゃうんです(笑)。だからインプットとして観ることができないんだと思います。
──そんな映画好きの吉野さんですが、一番好きな映画は「タイタニック」だそうですね。今日の衣装も「タイタニック」をイメージしたものだとか。スタイリストさんと相談して選んだそうですが、実際に着てみていかがでしたか?
このサスペンダーがいいですよね。色味も普段はあまり着ないものだったのですが、「タイタニック」っぽくてうれしいです。
──吉野さんは1997年3月生まれで、「タイタニック」の公開は1997年12月。公開当時はまだ生まれたばかりだったと思うのですが、初めて観たのはいつ、何がきっかけだったのでしょうか?
いつだったのかはもう覚えていなくて。テレビで放送されていたのを観たのが最初だと思います。
──そのときから「タイタニック」が大好きに?
初めて観たときに「壮大ですごい作品だな」とは思ったし、そのあとも定期的に放送されていたから印象的ではありましたけど、自分が大人になるにつれてどんどん「この作品、素敵だな」と思うようになりました。
──「この映画が好きだな」と実感し始めたのはどういったタイミングなのでしょうか?
上京してからですね。上京して、高校2年生のときにまた観たのですが、歳を重ねるたびに感じ方が違ってくるなと思いました。命の儚さや愛の深さを感じられるし、映像もきれいだし、船の中でストーリーが動いているのがリアルで想像をかき立てられる作品だなと改めて感じて。
──そのとき、そこまで吉野さんに刺さったのはどうしてだったと思いますか?
1人で上京したので、1人で戦うような日々だったんです。仕事でもしんどいと思うこと、大変だなと思うようなことをたくさん経験させていただいている中だったので、人としての生き方みたいなものを深く感じられたのかなと思います。
男としてのかっこよさみたいなものも、この映画から学びました
──特に好きなシーンを挙げるなら?
えー、どこだろう、全部いいんだよなあ(笑)。どこを切り取ってもきれいだし、素敵だし、ロマンチックなんですけど……船が沈没していく中で、それぞれの終わり方を描いているところはすごく刺さりましたね。最後まで演奏している人もいれば、「寂しいけど悔いはない」という感じでベッドの上で一緒にいるおじいちゃんとおばあちゃんもいるし、あきらめずに生き残ろうとする人たちもいて。
──“終わり方”に着目する見方は、確かに大人ならではかもしれないですね。
はい。ジャックとローズの2人が迎える結末が衝撃だったんです。でもだからこそすごくリアルだなとも感じて。「自分だったらどうするんだろう」ということをすごく考えさせられる瞬間ですよね。
──もし吉野さんがタイタニック号に乗り合わせていたらどうしますか?
生き延びたいですね。
──では、ボートに乗る順番を待つ?
はい。でも好きな人も一緒に乗っていたらどうなるんだろうな。家族だったら? 1人だったら? 友達、恋人とだったら? それによって考え方も変わるだろうし、いろいろな視点で観られるのも面白いなと思います。
──ジャックにはローズと一緒にボートを待つという選択肢も、ローズにはジャックのもとに戻らないという選択肢も、それぞれあったわけですしね。
そうですよね。でも2人は違う方法を選んだ。愛があるからこそできる行動ですよね。「タイタニック」を観る前の自分がジャックだったら、たぶんローズと一緒に助かろうとしたと思うんです。無理矢理にでも助かろうとしたと思う。でも今は、もし自分に大切な人ができたら、その人のために死ねる人になりたいと思うようになりました。そう思える人に出会いたいし、自分もそんな人になりたい。そういう男としてのかっこよさみたいなものも、この映画から学びました。
吉野北人としての感情を優先したい
──大人になってからも「タイタニック」は何度も観られているそうですが、ストーリーや結末を知っていても、何度も観られるのはどうしてだと思いますか?
たぶん世界観が好きなんでしょうね。一緒に船に乗っている感覚があって。海もきれいだし、幻想的な世界観も素敵で。のめり込んで、いろいろなことを忘れられて、いい時間なんです。
──現実逃避のような。
そうですね。
──ご自身が俳優業もやるようになってから観ることで、新たな発見や気付きはありますか?
観ていてここまでのめり込めるというのは、役者さんたちに引き込む力があってこそなので、本当にすごいなと素直に思います。表情1つとっても、作っていないというか、すごくリアルですし。
──この映画はレオナルド・ディカプリオが23歳、ケイト・ウィンスレットが22歳のときに公開されたそうですが、25歳の吉野さんが今演じるならどのように演じたいですか?
えー、難しいな。うーん……自分だったら? 想像できないですね。それくらいディカプリオの印象が強くて。でも、もしやるんだったら、“演じ”たくないですね。リアルな気持ちでやりたい。“演じ”ちゃうと嘘くさくなると思うので、吉野北人としての感情を優先したい。そうしたら自然といいものが撮れるのかなって。
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