キャラクターとチョコをリンクさせたかった(森脇)
──また今作にはパティシエ鎧塚俊彦さんオリジナルのチョコが2つ出てきますが、監督のリクエスト通りに作られたものだそうですね。そのエピソードについて教えてください。
森脇 鎧塚さんが引き受けてくださると決まり、すべてお任せしたいという気持ちもあったんですけど、直というとてもまっすぐな性格の子がチョコを食べるときを想像して、どういうものだったら直らしさが出るんだろうと。そこで鎧塚さんのお店で売られているチョコを助監督と一緒に実際に食べて、直が食べるとしたら……という視点で研究しました。
岡田 直はチョコレートケーキでしたよね。
森脇 そうそう。キャラクターとチョコをリンクさせたほうがいいと思って、小さいチョコをパクっと一瞬で食べてしまうよりも、手でしっかりと持って、噛み締められるようなものにしようと。小さいチョコだと食べるシーンがすぐ終わってしまうので、お芝居のことを考えて、何かできたらなと思いました。その意図を鎧塚さんにお伝えして、デザインはお任せしたんです。作っていただいたチョコはもう本当に素晴らしくて、芸術的でしたね。見た瞬間、みんなで「おおっ!」となりました。あと鎧塚さんにはチョコの名前も考えてくださいってお願いもしたんです。そこまで引き受けていただいて本当にうれしかったです。
岡田 そうだったんですね。撮影の前日か当日にチョコの名前をいただいて、チョコの名前を覚えるのに苦戦したんです(笑)。でも、名前に意味があることがよかったです。
森脇 せっかくなら作ってくださった鎧塚さんの思いが伝わるものがいいなと思ったんですよね。でも、僕は作っていただいたオリジナルのチョコは食べられなかったんです。撮影が終わってから食べたかったんですけど、もうすでに食べ尽くされていました(笑)。当たり前ですけど、みんな「おいしいおいしい」って言いながら食べてましたよね。
岡田 私は自分が食べるチョコじゃないほうもいただきました(笑)。
森脇 僕はそれも食べてないですからね! でも、直が食べている顔を見るだけでおいしいって伝わってくるので大丈夫です(笑)。
──鎧塚さんは「人々に夢を与えたり、がんばる気持ちが湧き起こるようなチョコレートを作りたい」という志をお持ちでいらっしゃると聞いています。お二人は実際に鎧塚さんのチョコレートを食べて、どんな“魔法”にかかりましたか?
岡田 撮影のとき、お腹がものすごく空いていたので、チョコレートは砂漠にいるときの水、オアシスのようでした。もともとのおいしさはもちろんなんですけど、それが1000倍になるほどおいしくて忘れられない味ですね。1口目を食べる際は意味深な雰囲気でお芝居をしないといけなかったので、おいしさをなかなか味わえなかったんですけど、2口目以降は堪能させてもらいました。そうそう、セットの中に飾られたチョコレートも鎧塚さんのお店のものなんですよね。
森脇 そうなんです。お店のチョコレートもいっぱい使わせていただきました。僕は2つのオリジナルチョコレートは食べられなかったんですけど、お店のものはクランクアップしたあと、無事いただくことができました。口に入れた瞬間、もう本当にオアシスっていう感じで。疲れ切っていたんですけど、元気をいただきましたね。鎧塚さんのおっしゃる「人を元気にする」っていうのは、こういうことなんだなって身をもって体験しました。
紫の髪とあの衣装が似合うまほほんに惚れ惚れ(岡田)
──聞いているだけでおいしそうです。本作では食べるだけで願いが叶う不思議なチョコレートをめぐってさまざまな事件が起きます。お二人は魔法のチョコがあったら何をお願いしますか?
森脇 結実ちゃん、これはいろいろな答え方があると思いますが、いかがでしょう。
岡田 私は1つしか思い浮かばないです。
森脇 じゃあ先に言っていいよ。
岡田 超モテモテになりたいです(笑)。
森脇 あはははは!
岡田 しょうもないですよね(笑)。
森脇 それもいいんだけど、この映画が多くの人に観てもらえるように、ということじゃないかな(笑)。携わったみんなが幸せになったらいいなっていうことですよ、結実ちゃん!
岡田 言い忘れてましたが、私もそう考えていました!(笑)
森脇 あはははは。でも、そういうところがいいですよね。正直でいいなって思います。結実ちゃん、最高です。
──お二人の仲の良さが伝わってきました(笑)。では、改めてこの作品の魅力を教えてください。
岡田 本作では原作のイメージをみんながすごく大事にしています。少女マンガって聞くとそんなに怖くないんでしょうって思われてしまうかもしれないんですけど、怖さがちゃんと表現されていますし、人の心の中にあるシリアスで生々しい感情なども描かれています。「その気持ちわかるな」って否定できないものがあると思うんです。でも、感情はねじ曲がってしまったら恐ろしいことになってしまう。「ショコラの魔法」という素敵な世界観の中に組み込まれいる、そういった人間味がすごくいいなと感じています。鎧塚さんのチョコレートがあることによって、その魔法の世界観がぐっと深まりましたし、これから何が起こるんだろうという、怖さからくるワクワクがすごく詰まっている作品です。
森脇 直が初めてショコラの館に入って部屋を見たときに、「すごい」って言うんです。それは鎧塚さんのチョコレートのおかげですし、そのチョコレートを食べたことで人の欲や嫉妬の物語が始まります。チョコレートを手に取った直ともう1人の女子高生の行く末を、チョコレートが導いていきます。世界観だけではなくて物語もしっかり考えて作った作品で、チョコレートがそのすべてをしっかりコーティングしてくれました。ぜひ楽しんでもらえたら。
岡田 まほほんの世界観も本当にすごいですよね。紫の髪とあの衣装があんなに似合うなんて惚れ惚れしてしまいます。あと、原作を好きなお子さんがご家族で劇場に行った際、親御さんが怖がってくださったらすごくいいなってみんなで話しましたよね。
森脇 そうそう。子供はもちろん、大人が観ても楽しめるし、人間の深い感情の部分では教訓になるのかなって感じています。