「テッド ザ・シリーズ」神谷浩史×河西健吾インタビュー | 吹替版の魅力や“憎めない”テッドを語る (2/2)

シャワー中にのぞかれると恥ずかしいっていう概念があるんだな(河西)

──収録はまだ途中だと伺っていますが、印象深いシーンやセリフはありますか?

河西 第3話で、ジョンとテッドがトレンチコートの二人羽織でデパートの洋服売り場を歩くシーンがあるんですが、飛び出している顔は完全にテッドなんです(笑)。そもそもなんで二人羽織をしているかと言うと、「背が高いほうが責任者に見える」というよくわからない理由なんですけど、テッドがある従業員に「もう上がっていいよ」と告げると、「ありがとうございます」ってそれに従うんです。でも、どう見てもテッドなんですよ? そんな狂気じみたシーンが随所にちりばめられているのが印象的です(笑)。

神谷 この作品って、ぶっちゃけイカれたキャラクターしか出てこないよね(笑)。

河西 そうなんですよ。でも周りがあまりに平然としているので、一瞬「あれ? もしかして僕がおかしいの?」って思いそうになるんですよね(笑)。

左から神谷浩史、河西健吾。

左から神谷浩史、河西健吾。

──ジョンの両親もぶっ飛んでいて、従姉のブレアがいなかったらこの家族はかなりヤバいですよね。

河西 確かにブレアはベネット家で唯一の良心!

神谷 ブレアを演じている女優のジョルジア・ウィッガムがまた素敵なんです。かわいさときれいさの両面があって、登場するだけで画面が華やかになるし、男子は必見だと思いますよ。それに、1990年代のメイクやファッションもとてもオシャレなので、女子目線でもいろいろと楽しめると思います。

河西 あとは、第5話のテッドのシャワーシーンも印象深いです。

神谷 のぞかれて恥ずかしがるシーンね(笑)。

「テッド ザ・シリーズ」場面写真

「テッド ザ・シリーズ」場面写真

河西 テッドも含めて、動物のぬいぐるみキャラって基本は全裸じゃないですか。それでもシャワー中にのぞかれると恥ずかしいっていう概念があるんだなって(笑)。マスコットキャラクターは全裸なのか問題に一石を投じていて、ちょっと新しいなと思いました。

神谷 吹替版という観点で言うと、第3話に登場する「特攻野郎Aチーム」はすごいですよ! テッドとジョンがリビングで「特攻野郎Aチーム」を観ているシーンがあるんですが、そこに少しだけ劇中のセリフも流れているんです。それは重要なセリフでもなんでもないので、特別吹替をする必要もないはずなんですが……。いたずらに羽佐間道夫さんを収録スタジオにお呼びして、そのシーンを新規録音しているんですよ。90歳だというのに、これがもう名調子で。近くで聞かせていただいて感動しました。

「テッド ザ・シリーズ」場面写真

「テッド ザ・シリーズ」場面写真

「テッド ザ・シリーズ」場面写真

「テッド ザ・シリーズ」場面写真

──すごいですね。あの有名なオープニングのナレーションですか?

神谷 そうです! 「ベトナムで鳴らした俺たち特攻部隊は」から始まる羽佐間さんのナレーションって、字幕版にはない吹替版のオリジナルなんですけど、日本人ならこれが一番なじみ深いですよね。1980年代の名作ドラマの名ナレーションが、この令和の時代に、しかも「テッド ザ・シリーズ」で聞けるなんて、これはもう画期的なことですよ。吹替ファンの方々にとっては、このシーンだけでも観る価値は十分あると思います。

神谷浩史

神谷浩史

河西健吾

河西健吾

絶対に面白いので、だまされたと思って(河西)

──では最後に、これから吹替版を観る方々へメッセージをお願いします。

河西 すでに字幕版で観たよという方も、ぜひ一度吹替版を試してみてほしいです。そのうえで、改めて字幕版と比較するのも楽しんじゃないかなと思います。絶対に面白いので、だまされたと思ってお願いします。もし本当に「だまされた!」と思ったなら、もう何も言いません。また字幕版に戻っていただければ(笑)。

神谷 この作品って、常識がどれだけずらされているのかをわかったうえで「これは酷いな」ってクスクスと笑うのが最高の楽しみ方だと思うんです。そんなふうにこの作品を楽しめる方がいたら、僕は友達になりたいし、すごく仲良くなれそうな気がしますね。

左から神谷浩史、河西健吾。

左から神谷浩史、河西健吾。

プロフィール

神谷浩史(カミヤヒロシ)

1月28日、千葉県生まれ。声優、ナレーター、アーティストとして幅広く活躍。「ONE PIECE」トラファルガー・ロー役、「進撃の巨人」リヴァイ役、「黒子のバスケ」赤司征十郎役、「機動戦士ガンダム00」ティエリア・アーデ役、「夏目友人帳」夏目貴志役、「さよなら絶望先生」糸色望役などで知られる。待機作として、絵心甚八役で参加した「劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-」が2024年4月19日、薬売り役で参加した「劇場版 モノノ怪」が2024年夏に公開を控える。

河西健吾(カワニシケンゴ)

1985年2月18日生まれ、大阪府出身。声優。これまでに「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」三日月・オーガス役、「3月のライオン」桐山零役、「鬼滅の刃」時透無一郎役、「Dr.STONE」あさぎりゲン役などを演じてきた。