大人になれない男の人ってかわいい(水原)
──新井さんにとって、大人の男の条件とは?
新井 優しさとか懐の深さとかいろいろな要素がありますけど、うちは「割り勘しない」というのが大人の男である条件の1つだと思います。
一同 (笑)
新井 女性とか後輩と飲んで「じゃあ1人2000円」とか言う人は「えっ!? 大人じゃないなあ」って思いますね。
大根 女子はどうなの? 希子ちゃんの年代とかさ、割り勘がデフォルトの世代だったりするじゃん。
水原 私がけっこう出しますよ(笑)。
新井 姉御肌だ。
妻夫木 歳とか関係なしに?
水原 そうですね。
新井 え、相手が歳上だったらおごってもらうでしょ?
水原 上だったらおごってもらうけど、「さっき出してくれたからここは私が」みたいな感じで、自分で払ったりしますね。
──割り勘する男性はどうですか?
水原 それはどういう状況ですか? デートですか?
妻夫木・新井 デートで割り勘は駄目でしょ!
大根 でも最近の若い子は割り勘が多いのかもね。俺たちは戦前の厳しい教育で育ったからおごるけど(笑)。
新井 同業の人と映画を観に行ったら、映画代だけは割り勘にするけどね。映画代だけは自分で払わないと、感想言えないから。うちら俳優にとって映画を観ることっていうのは勉強も兼ねてるから「自分で払ってね」と。
──なるほど。では水原さんにとって、大人の男性を感じる要素はなんでしょうか。
水原 うーん……大人の男性だと思う人にあんまり会ったことがないかも。
妻夫木・新井・大根 (笑)
水原 大人になれない男の人ってかわいいと思いますけどね。逆に、私は大人ぶってる人が一番嫌かもしれないです。「これはね、こうだから、こうなんだよ」みたいに諭されると、わかるなと思うこともあるんですけど、その人と自分ではそれまで生きてきた過程が違うから、知ったふうに言われると冷めちゃう。
新井 じゃあ寿司屋行ってさ、「好きなの食べな」って言われたら?
水原 やったー!ってなります(笑)。
新井 それは大人ぶってないんだ。
妻夫木 食べ方とかについていちいち講釈するのとかが駄目なんじゃない?
大根 「白身から行くんだよ」みたいな。
妻夫木 「あー、まだ箸使うんだね」とかさ(笑)。面倒くさいよね。
新井 確かに、それはうちも嫌だな。
希子ちゃんは本当に壁がない人だからすごく楽(新井)
──今回、水原さんはかなり体を張った演技に挑戦されていて、相当な覚悟が必要だったのではないかと感じました。
大根 いや、希子ちゃんはセクシャルだったりエロいシーンに対する心構えが、普通の女優さんとはいい意味で違うんですよ。ちょっとズレてるっていうか(笑)。
水原 (笑)
大根 日本の芸能界の常識に収まらない、規格外の人ですから。長いことモデルをやってたのもあって、自分の体を見せることへの心構えが普通の女優とはまったく違う。
新井 相手役を演じるうえでもすごくやりやすいですよ。
妻夫木 ウェルカムなモードになってくれる。
大根 普通、下着姿のシーンだったら本番ぎりぎりまでバスローブ着てたり、撮影も最小限のスタッフで臨むものなんだけど、希子ちゃんはテストのときから脱いでるからね(笑)。
水原 「いえーい!」って(笑)。
大根 「まだいいから!」みたいな(笑)。
新井 そういえば、うちが初めて濡れ場をやることになったとき、とあるすごく好きな俳優さんに質問したことがあって。「濡れ場ってどう?」って聞いたら「思いっきりやったほうがいい!」とアドバイスをくれて、うちもそう心がけたんですけど、やっぱり失礼かなと思っちゃうんです。女優さんに当たったりしたら申し訳ないな、とか。でも希子ちゃんは本当に壁がない人だから、すごく楽でした。
妻夫木 そのアドバイスをくれた人、いい俳優さんだね。
新井 そうそう、妻夫木聡さんっていうんだけど。
妻夫木 おいおい!(笑)
あかりちゃんは狂わせようと思ってるわけじゃない(水原)
──あかりのキャラクターは原作よりさらに過激になっていた気がします。
大根 チョックン(渋谷直角)の絵があのタッチだから、実写化するにあたってデフォルメした部分はあるかもしれない。原作をどう扱うかということは難しい問題ですけど、俺はいいとこだけもらってあとは映像向けにアップデートしていくタイプ。希子ちゃんに合わせてあかりを作っていった結果、ああいうキャラクターになりました。
妻夫木 あかりのファッションは原作よりレベルアップした感がありますよね。下着姿のシーンにも、原作にはない色っぽさがあったし。
──男性にとって、あかりみたいなタイプは距離を置くべき女性なんでしょうね。
新井 結婚してないうちが言うのもなんだけど、恋愛に線引きは必要ですよ。
大根 でも若いときにああいう子と会って痛い目に遭っておくと、後々の人生の深みが違ってくると思いますけどね。俺は、希子ちゃんが演じたあかりは超カッコいいと思う。
水原 あかりちゃんは、別に狂わせようと思ってああいう行動を取ってるわけじゃないですよね。
──監督にとって、特に思い入れのあるあかりのシーンはどこですか?
大根 あかりのシーンはどこも気に入ってるからなあ。
新井 照明にしても演出にしても、力の入れ具合が希子ちゃんと男優では9:1ぐらいの比率でしたから。冗談抜きで。
妻夫木 (笑)。初日の、スタジオ内での写真撮影にコーロキが立ち会うシーンから「希子ちゃん、もうちょっとお尻上げて。ふりふりって……そうそう!」って細かく指示してましたよね。
水原 これでもかってぐらいお尻ふりふりしましたね。恥ずかしかった(笑)。
大根 でもあのシーンを撮って「この映画いけるな」って思いましたよ。
妻夫木 初日から女優に腰ふりふりさせる人もあんまりいないですよね(笑)。希子ちゃんだからできたんじゃないかな。
水原 なんでできたんだろう。やっぱり私、どこかズレてるのかな(笑)。
新井 でも、うちらも含めて映画を観た人の98%以上が、あかり役に希子ちゃんが「ぴったし」って思うことがすごい。もちろん、希子ちゃん本人はあかりみたいな子じゃないんですけど。これ、希子ちゃん以外の人が演じてたら大変なことになってますよ。
大根 希子ちゃんは、仕事も自分で決めてるってところが大きくて。あかりみたいな役のオファーだったら、普通は女優に届く前に事務所とかマネージャーとかいろんな壁があるわけですよ。でも希子ちゃんの場合は本人にある程度任されてるから、話が早い。
次のページ ≫
あかりと同じことをすれば心をつかめるわけじゃない(妻夫木)
- 「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」
- 2017年9月16日(土)より全国ロードショー
- ストーリー
-
ライフスタイル誌「マレ」の編集部に異動してきた33歳の編集者、コーロキ。編集長・木下ら同僚たちのおしゃれで高度な会話になじめず戸惑う中、彼はレディースファッションブランドの美人プレス・天海あかりと出会い一目惚れする。仕事により一層力を入れ、デートにも必死になるが、身勝手なライターや魔性の女・あかりの自由奔放な言動に振り回されるコーロキ。奥田民生のような“力まないカッコいい大人”を目指しながらも空回りを続け、いつしか彼は心身ともにボロボロになっていく……。
- スタッフ / キャスト
-
監督・脚本:大根仁
原作:渋谷直角「奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール 完全版」(扶桑社刊)
キャスト:妻夫木聡、水原希子、新井浩文、安藤サクラ、リリー・フランキー、天海祐希、松尾スズキ
- 「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」公式サイト
- 映画「民生ボーイと狂わせガール」公式 (@TBOY_KGIRL) | Twitter
- 「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」作品情報
© 2017「民生ボーイと狂わせガール」製作委員会
- 「奥田民生になりたいボーイに贈るプレイリスト」
- 2017年9月13日発売 / Ki/oon Music
-
[CD]
2916円 / KSCL-2967
- 収録曲
-
- 息子
- 愛のために
- 674
- ハネムーン
- 海へと(LIVE SONGS OF THE YEARS バージョン)
- 近未来
- スカイウォーカー
- ギブミークッキー
- チューイチューイトレイン
- 花になる
- マシマロ
- The STANDARD
- 御免ライダー
- 月を超えろ
- CUSTOM(JPNバージョン)
- 関連特集
- 妻夫木聡(ツマブキサトシ)
- 1980年12月13日生まれ、福岡県出身。2001年公開の主演作「ウォーターボーイズ」で注目を集め、以降「ジョゼと虎と魚たち」「69 sixty nine」「春の雪」などに出演する。2010年の「悪人」で第34回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、2016年の「怒り」で第40回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。同年には「ミュージアム」で連続殺人鬼を怪演し、新境地を見せた。
- 水原希子(ミズハラキコ)
- 1990年10月15日、アメリカ・テキサス州生まれ。10代前半からSeventeen、ViViなどで専属モデルとして活躍し、2010年に「ノルウェイの森」のヒロイン・小林緑役で女優デビューを果たした。2015年の「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」ではアクションに挑戦。2016年には「信長協奏曲」「高台家の人々」に出演した。
- 新井浩文(アライヒロフミ)
- 1979年1月18日、青森県生まれ。2003年、松田龍平らと共演した「青い春」で高崎映画祭の最優秀新人男優賞を獲得する。以降「ジョゼと虎と魚たち」「ゲルマニウムの夜」「松ヶ根乱射事件」「モテキ」「バクマン。」など多くの映画で独特の存在感を発揮。2017年7月に「銀魂」が公開されたほか、10月21日に「斉木楠雄のΨ難」の封切りを控える。2018年2月には兄弟役で窪田正孝と共演する「犬猿」が公開。
- 大根仁(オオネヒトシ)
- 1968年12月28日、東京都生まれ。2000年代に「アキハバラ@DEEP」「湯けむりスナイパー」などの深夜ドラマで演出を手がける。2011年に映画監督デビュー作「モテキ」で第21回日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞を獲得。その後「バクマン。」「SCOOP!」などで監督を務め、2017年には脚本を手がけた劇場アニメ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」が公開された。現在、演出・脚本を担当するドラマ「ハロー張りネズミ」がTBSにて放送中。
妻夫木聡:スタイリング / 伊賀大介(band)
ヘアメイク / 勇見勝彦(THYMON Inc.)
水原希子:スタイリング / Rieko Sanui(SW'NG)
ヘアスタイリング / TAKU(CUTTERS)
メイクアップ / Jeffrey Baum(AVGVST)
新井浩文:スタイリング / 伊賀大介(band)
ヘアメイク / 岩川エリ