「死霊館」ユニバースの新作「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」が10月1日に公開される。実話をもとにした本作の題材は、1981年に殺人事件の被告人が悪魔に取り憑かれたことを理由に無罪を主張し全米を揺るがせた実在の事件。事件を調査する最強の心霊研究家ウォーレン夫妻を、パトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガが演じた。

映画ナタリーでは、でんぱ組.incの“ホラー担当”である相沢梨紗と天沢璃人にインタビューを実施。熱狂的な「死霊館」ユニバースファンという2人に新作の魅力と、ホラー初心者も楽しめるホラー映画の楽しみ方を語ってもらった。「『死霊館』ユニバースを観ていると生きやすくなる！」と言い切る相沢。果たしてその理由とは？

取材・文 / SYO撮影 / 後藤壮太郎

「愛っていいなあ」と救われた気持ちに（天沢）

──まずは本作をご覧になった感想を教えてください。

天沢璃人　ホラー映画ではありますが、「死霊館」ユニバースには「愛」という共通のテーマがあります。今回は“夫婦愛”がしっかり描かれていて、観終わったあとに「愛っていいなあ」と救われた気持ちになりました。最近、「ビバリウム」や「ミスト」のような救われない映画ばかり観ていたので、とても新鮮でした（笑）。

相沢梨紗　悪魔に立ち向かうロレイン（ヴェラ・ファーミガ）が本当にかっこいいですし、夫婦が助け合いながら生きていることがリアルに感じられて、最高でした。もちろん怖いシーンやびっくりするシーンはたくさんありましたが、観終わったあとに感じたのは心の温かさでしたね。普段は人に薦めるのを少しためらってしまうようなホラー映画も好んで観ていますが（笑）、これは素直に「みんなに観てほしい！」と思いました。夫婦愛を中心とした心温まるシーンがあるので、若い方にデートで観てもらうのもありだと思うし、年配のご夫婦などにもぜひ観ていただきたいです。真犯人を探していく心理サスペンスの要素もありますし、シリーズの中で一番エンタメ感が強くて、目が離せなかったですね。

天沢　冒頭、「少年に悪魔が取り憑いている」というところでバンッ！と驚かしに来るシーンもよかったのですが、中盤以降はこちらが「大丈夫なの!?」と緊張するシーンが多く、手に汗握りながら観ました。わかりやすく伏線を敷いてくれるし、きれいに回収されていくので気持ちがよかったです。ビクッとする怖さと、ハラハラする怖さという“質”が違う怖さを両方楽しめました。

相沢　先の見えない闇から悪魔が出てくる、といったシーンが印象的で、暗闇を見つめているだけで没入していきましたね。ベッドの下にバケツが引っ張られていくシーンも引き込まれました。あとは、音の演出が秀逸で。水の音や走り抜けていく音が左右に抜けていく感じは、自分が実際にその場にいるようで面白かったです。

──本作は4DとIMAX上映も行われます（※一部劇場を除く）。今お話しいただいた映像や音響のすごさは、倍増しそうですね。

相沢　過去にホラーを4Dで観たことがあるのですが、めちゃくちゃ面白いですよね。体全体が揺れるから没入感がマシマシになるし、逃げられない状況が最高です（笑）。映画館でしか楽しめない体験なので、ぜひ体感してほしいですね。

天沢　通常上映でもジェットコースターに乗ったみたいな感覚だったので、すごいだろうな……。

相沢　一緒に観ていたとき、（天沢が）横でビクッ！ってなってました（笑）。

天沢　勝手に4Dになってましたね（笑）。実際に振動とかで体感できたら、何が現実かわからなくなっちゃいそうです。

相沢　風が吹いたり水がかかったりもするんだよ。

天沢　ひゃー！ 観るときは、気を確かに自我を保ちたいと思います（笑）。

「死霊館」ユニバースを観ていると生きやすくなる！（相沢）

──「死霊館」ユニバースの独自の魅力は、どういうところにあると思いますか？

天沢　ほかのホラー作品と違ってわかりやすいですし、しっかりハッピーエンドで終わってくれる安心感があります。途中で「大丈夫かな」とハラハラさせられつつ「絶対にこの夫婦がどうにかしてくれる」とも思えるから、こっちも落ち着いて観られるんですよね。

相沢　悪魔って人々を恐怖に陥れる概念だから、倒す側がいてくれてすっきりします。あと、「死霊館」ユニバースを観ていると生きやすくなる！

──えっ？

相沢　私は理不尽なことに憤りを感じることが多いのですが、「悪魔のせいか……」と思うことで心を落ち着かせられる（笑）。お薬のような効能があるんですよね。「死霊館」ユニバースは性善説的なところがあって、幽霊も助けてくれますし、「死んじゃっても人を救えるんだ」と感動できる。生活に還元できることが多くて、生きやすくなるんです。

──なるほど……！ 非常に面白いご意見です。2013年公開の「死霊館」、2016年公開の「死霊館 エンフィールド事件」、そして「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」と、実話がもとになっているのも特徴です。

天沢　いつも最後に実際の写真や音声が流れますが、あそこが一番怖いですね。「自分が生きているのと同じ世界で、こういうことが起こっているんだな。いつか自分もこういった目に遭うかもしれない」と思って震えます。だからこそ、ちゃんと人に優しく、しっかり生きようと思えます（笑）。

相沢　やっぱり、「死霊館」ユニバースは生活に還元できる！（笑）

──生きるヒントが詰まった映画、それが「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」……。

相沢　（笑）。あと、オタク的な観点で言うと、実話ということは聖地巡礼ができるんですよ。それはすごく魅力的ですね。いつか“現地”に行くのが夢なんです。その場所に立ったときに、自分も何かを体験できるかもというワクワク感があります。