「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」特集|スタジオライカ15年の歴史と新作を紹介!進化し続けるストップモーションアニメ制作の裏側 高柳明音の推薦コメントも

過去作とはここが違う!ライカ最新作「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」の進化

未確認生物の発見に執念を燃やす探検家ライオネルと、おっちょこちょいなビッグフット“Mr.リンク”の凸凹コンビが世界横断の旅に出る「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」。今作でライカがどんな進化を遂げたのかを探ってみよう。

進化1 インディ・ジョーンズ×シャーロック・ホームズ!? 世界を股にかける冒険譚

小さな家が舞台の「コララインとボタンの魔女」から始まったライカの物語は、4作目にして世界を横断する大冒険にスケールアップ! 監督・脚本を担当したクリス・バトラーは、幼少期に観た「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」に大きな影響を受けたという。「あの歴史と神話の見事な融合、アクション、ドラマ、ロマンス、そしてコメディまで、幅広いジャンルを駆け巡る魅力的な登場人物たち──私は、アニメの世界にもあのようなヒーローが必要だと思った。どこかインディ・ジョーンズのようで、シャーロック・ホームズのようでもある存在」と発想の源を明かしている。考古学者のインディにならって、ライオネルは未確認生物学者の探検家という設定に。ライオネルと彼の相棒となるMr.リンクの掛け合いは、ホームズとワトソンを意識した。冒険の舞台はイギリス、アメリカ、インド、ヒマラヤなどロケーション数は65、セット数はライカ史上最多の110パターン。スケール感や鮮やかな色彩は、1956年の映画「80日間世界一周」の世界観からインスピレーションを得ている。

進化2 “大人の主人公”はライカ初! ヒュー・ジャックマン演じるクセ強めな英国紳士

これまで一貫して子供が主人公の物語を紡いできたライカが、初めて大人のキャラクターを主人公にしたのは注目すべきポイントだ。子供目線のデフォルメが効いた世界観ではなく、美術や衣装にはよりリアリティが求められる。全編通してちりばめられた軽妙洒脱なユーモアに漂うのは、大人の余裕。スタジオの成熟を感じる仕上がりだ。

ライオネルの人形を持つヒュー・ジャックマン。

主人公のライオネルは、大人ゆえのプライドと野心に心を支配された探検家。バトラーがキャラクタースケッチの段階からイメージしていたというヒュー・ジャックマンがキャスティングされた。過剰なまでに英国紳士的振る舞いを見せるライオネルがジタバタするさまには、思わずニヤリとしてしまう。相棒のMr.リンクに声を当てたのは、「ハングオーバー」シリーズのザック・ガリフィアナキス。見た目とは裏腹に寂しがり屋で、自らライオネルに発見してもらおうと手紙を出す、いじらしいキャラクターを愛敬たっぷりに演じている。彼らと冒険をともにするアデリーナ役に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のゾーイ・サルダナ、3人が旅先で出会う長老役にエマ・トンプソンと、ハリウッドの第一線で活躍するキャストが集結した。

進化3 顔パーツは10万6000通り、衣装は生地からすべて手作り! 1秒24コマに込められた細部のこだわり

「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」メイキング写真
「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」メイキング写真

ライカの作品は、あまりの動きの滑らかさにストップモーションであることを忘れてしまう瞬間が多々ある。もはやCGアニメと変わらないのでは?と言う人もいるかもしれない。だがその考えは、スクリーンにキャラクターたちが映し出された瞬間に吹っ飛ぶだろう。上気した頬や鼻先の赤らみ、ツイードジャケットの細かな毛羽立ち、光と影によってわずかに変わる表情──画面の端々から人形で撮る意味、コマ撮りでしか捉えられないものが確かにあることが伝わってくる。

本作のために作られた顔パーツの数は「KUBO」の1.5倍以上となる10万6000個。これらの組み合わせで幾通りもの表情を作り出し、1秒につき24コマずつ動かしていく。「彼らの演技を本物にする義務がある」と話すストップモーションアニメーターのレイチェル・ラムデンは「ストップモーションの世界では微妙な動きで演技が決まり、命が吹き込まれていくの」と真摯なまなざしで語る。

衣装デザイン担当のデボラ・クックによると、ライオネルのスーツはヴィクトリア朝時代の仕立てを研究し、ジャケットの型紙や手袋の生地など一から制作したそう。「人形の動きに合わせて衣装の重力と変化を感じるように作り込むの。唯一のものを作るために生地と織物はすべて手作り」というから驚きだ。

「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」

「KUBO」でライカのファンに!SKE48・高柳明音がひと足先に新作を観賞

ほかの誰かの生き方に背中を押される展開がよかったです!

子供が楽しめるのはもちろんですが、大人が観ると考えさせられる深い映画でした。自分のためにしかがんばれない主人公のライオネルや、「カゴの中の鳥」と言われてしまう元恋人のアデリーナ、自分と同じ姿形をした仲間を求めるリンク。3人がそれぞれ、ほかの誰かの生き方や言葉にハッと気付かされて、背中を押される展開がすごくよかったです! 女性の描かれ方も現代的で、“守られる立場”ではなく自立した強さがある。女性が観ても勇気をもらえる作品だと思います。

前作「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」を観たときは、どうやって人形を動かしてるんだろうと考えながら観ていたのですが、今回はストップモーションアニメだということを忘れるくらい自然で、途中で思い出してハッとなりました(笑)。あまりにも自然すぎて最後まで気付かない人もいるんじゃないかと思います。でもそれをCGにしないで、全部作るっていうこだわりがかっこいいです! 森や汽車などの大掛かりなセットも、メイキング映像を観ると全部手作りだったので衝撃を受けました。建物に付いた傷、ちょっとした目の動きなどに人の手で作られた温かみやコマ撮りっぽさが感じられて、感動しちゃいましたね。私はカメラが趣味なので、背景のぼかし方でリアル感を出す技術にも目がいきました。

日本が舞台だった「KUBO」とはまた全然違う世界観ですが、共通点を挙げるとしたら、“猿つながり”でしょうか(笑)。リンクの毛並みが「KUBO」の猿と似ていてなんだかうれしかったです。実は「ミッシング・リンク」の中にも一瞬だけ猿が登場していると聞いたので、もう一回観てみようと思います!

高柳明音(タカヤナギアカネ)
1991年11月29日生まれ、愛知県出身。2009年に行われた第2期オーディションに合格し、SKE48として活動を開始。2010年6月より5年間、チームKIIのリーダーを務める。2019年10月に同グループから卒業することを表明した。2020年1月に発売したSKE48のシングル「ソーユートコあるよね?」には、ソロ曲「青春の宝石」が収録され、堤幸彦が監督したMVも公開された。女優としての出演作には、今野悠夫とダブル主演を務めた「浄霊探偵」、「ONLY SILVER FISH - WATER TANK OF MARY'S ROOM」などがあり、「リメンバー・ミー」には吹替キャストとして参加した。