「玉骨遥(ぎょっこつよう)」「恋人~あの日聞いた花の咲く音~」特集 | 辛酸なめ子が“両片思い”の師弟関係&幾度離れても惹かれ合う純愛カップルにときめく

中国ドラマ「玉骨遥ぎょっこつよう」がU-NEXTにて独占先行配信中。Blu-ray / DVDは6月5日より順次販売される。また韓国ドラマ「恋人~あの日聞いた花の咲く音~」はU-NEXTで7月3日から独占先行配信。同日よりDVDが順次発売される。「華ざかり!華流パラダイス」公式Xアカウント(@NBChua)では、両作の豪華商品が当たる合同キャンペーンが行われている。

映画ナタリーでは「玉骨遥」「恋人~あの日聞いた花の咲く音~」の配信・DVDリリースを記念し、中国ドラマや韓国ドラマに造詣の深いマンガ家・コラムニストの辛酸なめ子にインタビューを実施。シャオ・ジャン(肖戦)が神官を演じたファンタジーロマンス時代劇「玉骨遥」、2023年度のMBC演技大賞8冠や第60回百想芸術大賞2冠にも輝いたナムグン・ミン主演のロマンス時代劇「恋人~あの日聞いた花の咲く音~」を辛酸はどう観たのか。さらに両作の“推しポイント”をイラストに描き下ろしてもらった。

イラスト / 辛酸なめ子取材・文 / 小酒真由子

玉骨遥ぎょっこつよう」とは?

幻想的な架空の世界を舞台に、師弟としての絆で強く結ばれながら互いの命を奪い合う未来を宿命付けられた男女を描いたファンタジーロマンス時代劇。空桑くうそう族の元皇太子・時影じえいをシャオ・ジャン(肖戦)、時影の弟子で彼に死をもたらすせき族の郡主・朱顔しゅがんをレン・ミン(任敏)が演じ、「万華楼ばんかろう~金糸が紡ぐ運命の恋~」のファン・イールン(方逸倫)が朱顔を見守る鮫人こうじん赤淵せきえん、「尚食しょうしょく~美味なる恋は紫禁城で~」「消せない初恋」のワン・チューラン(王楚然)が白族の郡主・白雪鷺はくせつろ、「2回目のロマンスはままならない!」のワン・ズーチー(王子奇)が青族の将軍・青罡せいこうに扮した。

中国ドラマ「玉骨遥ぎょっこつよう」予告編公開中

辛酸なめ子描き下ろしイラスト「玉骨遥」編
辛酸なめ子描き下ろしイラスト「玉骨遥」編

辛酸なめ子描き下ろしイラスト「玉骨遥」編

辛酸なめ子インタビュー

時影は、シャオ・ジャンさんの魅力をさらに高めている

──中国時代劇ドラマ「玉骨遥」は異世界ファンタジーです。その世界観や演出はいかがでしたか?

「ハリー・ポッター」「ロード・オブ・ザ・リング」「スター・ウォーズ」「ネバーエンディング・ストーリー」などいろんな名作にあるエンタメ要素が詰まっているような、そういうファンタジーを観てきた人たちもすべて満足させるような演出だと思いました。「ハリー・ポッター」のような西洋の魔法とはまた違った“法術”と呼ばれる中国の魔術も、なんだかより身近に感じられてすぐに感情移入できた気がします。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、左からレン・ミン演じる朱顔(しゅがん)、シャオ・ジャン演じる時影(じえい)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、左からレン・ミン演じる朱顔(しゅがん)、シャオ・ジャン演じる時影(じえい)。

──主演は日本でも絶大な人気があるシャオ・ジャンさんです。彼の印象はいかがですか? このドラマならではの彼の魅力とはなんでしょう?

シャオ・ジャンさんは俳優としてデビューする前はデザイナーだったそうですね。神によってデザインされた自分の端正な顔立ちに敵うものがないので俳優になったのかと、いろいろと想像してしまいます。身のこなしもすごく素敵で、ボーイズグループでダンスをしていたというのも納得です。このドラマでは「陳情令」と同じようにロングヘアなのもいいですね。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、シャオ・ジャン演じる時影(じえい)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、シャオ・ジャン演じる時影(じえい)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」場面写真

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」場面写真

このドラマの時影というキャラクターは、シャオ・ジャンさんの魅力をさらに高めているように思います。クールで無表情な厳しい師匠という役どころで表情は抑え気味。ちょっとした感情を眉毛のシワなどで表現しています。でも、たまに見せる笑顔だったり、感情が揺らいでちょっとしたときに素の表情が垣間見えるところだったり……そんなギャップにときめきます。

両片思いで軽くスキンシップするくらいがかえっていい

──神官の時影は彼に死をもたらすと予言された少女・朱顔を弟子に取り、“禁断の恋”に落ちることになります。そんなラブストーリーをどう思われましたか?

時影はクール、朱顔はエモーショナルで、2人の性格は好対照。だからこそ相性がいいのかもしれないと思いました。そして、時影と朱顔の間には厳しい師弟関係があります。そこからどうやって2人が距離を詰めていくのか、そういうところが気になってしまいました。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、左からシャオ・ジャン演じる時影(じえい)、レン・ミン演じる朱顔(しゅがん)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、左からシャオ・ジャン演じる時影(じえい)、レン・ミン演じる朱顔(しゅがん)。

2人の恋愛のペースはすごくスローです。第18話、第19話くらいでお互いが好意を持っていることにやっと気付く感じ。情報も何もかもが早い今の時代だからこそ、それが逆にすごく心地いいというか、焦らされる感じがいいと思いました。世の中のドラマがすぐ恋愛関係に入るのを見て、もっとゆっくりでもいいのにと思っている人もいるはず……。これくらいの、付かず離れずみたいな状態が続くと、ときめきも持続するように思います。両片思いで軽くスキンシップするくらいがかえっていい、そんなふうに思えてきました。

──このシーンにドキドキしたなど、印象に残っているシーンはありますか?

法術でお互いを閉じ込め合う、結界を張り合うシーンです。すごく近くにいるのに触れられない、そんなシチュエーションにドキドキさせられました。この物語の舞台はどんなことも可能になるファンタジーな世界。だから異世界や夢の中で2人がデートするようなシーンも自然に成立するのが素敵です。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、左からシャオ・ジャン演じる時影(じえい)、レン・ミン演じる朱顔(しゅがん)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、左からシャオ・ジャン演じる時影(じえい)、レン・ミン演じる朱顔(しゅがん)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、レン・ミン演じる朱顔(しゅがん)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、レン・ミン演じる朱顔(しゅがん)。

──実は、朱顔というヒロインは中国の視聴者から賛否両論がありました。

中国の女性はキツめの美人に憧れるように思うので、そういうタイプと比べると朱顔は普通っぽいような、幼いような……ほかの女性キャラはみんなおでこを出しているのに、彼女にだけ前髪があるのが“ぶりっ子”と思われたのかもしれません。彼女は前半では自分勝手なところもありましたが、無邪気さもそんなに嫌味にはなっていません。ヒロインはそつがない感じよりも、ちょっと嫌われるぐらいがいいように思います。

一番手も二番手もどちらもイケメンであることが大事

──時影と朱顔のラブストーリーでは、朱顔を守り切ない愛を抱き続ける赤淵も薄幸な二番手男子として重要なポジションを占めています。そんな三角関係はいかがでしたか?

赤淵は周囲から差別されている控えめなキャラですが、やっぱりイケメンです。観ている人が三角関係に気持ちよく感情移入するには、このドラマのように一番手も二番手もどちらもイケメンであることが大事、そう再認識しました。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、ファン・イールン演じる赤淵(せきえん)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、ファン・イールン演じる赤淵(せきえん)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、左からファン・イールン演じる赤淵(せきえん)、レン・ミン演じる朱顔(しゅがん)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、左からファン・イールン演じる赤淵(せきえん)、レン・ミン演じる朱顔(しゅがん)。

実は私がちょっと気になったのは……リー・ミンドー(李明德)演じる神鳥の重明ちょうめいです。彼は時影のことをいつも気にして、いつも思っていて、朱顔にはちょっと意地悪。ここにも三角関係が成立しているような……。重明は急に鳥に変身してみんなを乗せてくれたりするシーンも楽しくて、コミカルな部分で盛り上げてくれる存在です。自分はイケメンだと言ったり美肌を保つためにがんばっていたり、そういうところもすごくかわいいです。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、リー・ミンドー演じる重明(ちょうめい)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、リー・ミンドー演じる重明(ちょうめい)。

──本作は脇役の女性たちも魅力的で、そこから陰謀劇も盛り上がっていきます。

そうですね、特に白王の娘でお姉さんのほうの白雪鷺。彼女は出自に異様にこだわり、自分が身分の低い生まれだということに悩んでいます。常に駆け引きをしていて意地悪ですが、圧倒的な美しさがあって言動が気になります。この人が時影を狙ったらどんなことになるんでしょう。悪巧みをして作り笑いを浮かべたりする表情を見るだけでも、すごくゾクゾクしてきます。実は白雪鷺と朱顔は負けず嫌いなところなど似ている部分があって、2人が裏と表のような存在になっていくのかもしれません。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、ワン・チューラン演じる白雪鷺(はくせつろ)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、ワン・チューラン演じる白雪鷺(はくせつろ)。

「玉骨遥」はすべてが総合芸術

──以前、お話を聞かせていただいた「清越坊の女たち~当家主母~」も身分の問題が付きまとう清の時代が舞台でした。今作は架空の時代の異世界の話ではありますが、身分制度や権力闘争などはリアルな設定で、宮廷ドラマのような趣もあります。

中国は面積が広いですし、皇帝だけでなくそれぞれの地区を治めている王がいます。そういう宮廷や王室という存在がまず、すごく興味を掻き立てられますし、実際イギリス王室のゴシップは見ていてテンションが上がります。このドラマも宮廷ドラマのような部分は、ロイヤルファミリーのゴシップを見ているような感覚で楽しめるかもしれません。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、シャオ・ジャン演じる時影(じえい)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、シャオ・ジャン演じる時影(じえい)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、左からファン・イールン演じる赤淵(せきえん)、レン・ミン演じる朱顔(しゅがん)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、左からファン・イールン演じる赤淵(せきえん)、レン・ミン演じる朱顔(しゅがん)。

──そのほか「玉骨遥」の見どころはどこでしょうか?

このドラマはCGのレベルが全体的に高く、映像がすごかったです。歴史的な建造物に見えた建物がセットで、きれいな風景もほとんどがCGだと聞いて驚きました。ビジュアルにとてもリアル感があって、目の保養になります。

また、時代劇と言ってもファンタジーなので、弟子選抜試験のシーンでは目の前にモニタのようなビジョンが現れたり、怠けている受験者を示すランプがついたりと、現代のAI技術と言っていいような最新テクノロジーに通ずる演出があるのも楽しかったです。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、シャオ・ジャン演じる時影(じえい)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、シャオ・ジャン演じる時影(じえい)。

──しかも、中国時代劇には空を飛ぶワイヤーアクションもありますね?

俳優さんたちはワイヤーで宙づりにされて、クルクル回転したりしているんですよね。危険なのではないかとちょっと心配になりました。ただ、劇中のキャラクターが飛ぶことで一気に異世界感が出ます。キャラクターたちが飛んで視点が上がると、きれいな風景や雄大な自然、ワクワクするような建物、そういった背景の全体が見渡せて別世界に連れて行かれる気がします。それから、時影や朱顔が空を飛ぶと衣装の裾が広がって髪がなびいて……まさに飛んだときに画が映える、飛ぶための衣装とヘアスタイルです。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、シャオ・ジャン演じる時影(じえい)。

「玉骨遥(ぎょっこつよう)」より、シャオ・ジャン演じる時影(じえい)。

そんなふうに「玉骨遥」は衣装、ヘアスタイルからCG映像、アクションまで含めて、もうすべてが総合芸術というか……どうしたらビジュアルの美しさを引き出せるかという研究がされ尽くしているようで、観ている間ずっと現実を忘れて楽しむことができました。