「2018年アカデミー賞受賞作いよいよ公開!君の名前で僕を呼んで」雲田はるこがイラストエッセイを描き下ろし!

22歳の新星ティモシー・シャラメと「コードネーム U.N.C.L.E.」で知られるアーミー・ハマーが共演した「君の名前で僕を呼んで」が、4月27日に公開される。

1983年の北イタリアが舞台の本作は、17歳の少年エリオと24歳の大学院生オリヴァーのひと夏の恋を描いたラブロマンス。第90回アカデミー賞では作品賞と主演男優賞、そして歌曲賞にノミネートされたほか、89歳のジェームズ・アイヴォリーが手がけた脚本は、脚色賞に輝いた。監督は「ミラノ、愛に生きる」のルカ・グァダニーノ。

映画ナタリーでは、「舟を編む」のコミカライズや「昭和元禄落語心中」などを手がけたマンガ家・雲田はるこに本作を鑑賞し、イラストエッセイを描き下ろしてもらった。また、日本語吹替版でエリオ役を務めた入野自由と、オリヴァーに声を当てた津田健次郎のインタビューも掲載中なので、あわせて楽しんでほしい。

文 / 秋葉萌実

雲田はるこが
イラストエッセイを描き下ろし!

雲田はるこ描き下ろしイラストエッセイ
雲田はるこ描き下ろしイラストエッセイ

日本語吹替版キャストインタビュー入野自由×津田健次郎

入野自由×津田健次郎

ティモシー・シャラメの表情に問いかけたくなる(入野)

──本作では、17歳の少年エリオと24歳の大学院生オリヴァーの恋が描かれます。作品をご覧になったときはどのような印象でしたか?

津田健次郎 キャラクターが内に秘めている感情が、淡々とリアルに描かれていましたね。20代前半はヨーロッパ系の映画ばかり観ていたので、ひさしぶりにこういう作品に出会ったなと懐かしさを感じました。

入野自由 僕もすごく静かな作品だなと思いました。登場人物の心情が丁寧に積み上げられていくので、最後は感激してグッときました。観終わったあとは、本当に「やられた!」という感じでした。

「君の名前で僕を呼んで」より、ティモシー・シャラメ演じるエリオ(左)、アーミー・ハマー演じるオリヴァー(右)。

──入野さんはエリオ、津田さんはオリヴァーに声を当てましたが、吹替を担当することになった経緯を教えていただけますか。

入野 実は、オファーを受けた段階ではまだ台本を読んでいなかったんです。吹替のお仕事を最近やっていなかったこともあって不安を感じていたのですが、トレイラー映像を観た時点で作品の世界観に引き込まれ、迷わずお引き受けしました。

津田 僕も前情報はなくて。映像を観たときは画面から登場人物が消えても景色だけがずっと残っていて、彼らの思いが漂っている感じが素敵で「この作品いいな、好きだな」と思いました。

入野 僕もそういう描写がすごく好きでした! 観ている人の想像力によってシーンの色が変わっていく感じがして。

──特に記憶に残っているシーンやセリフは?

津田 この映画のタイトルにもなっているセリフをオリヴァーが言うのですが、これはさまざまな解釈ができる言葉なんです。自分を相手に投影したり、相手と自分を同化させたり。「どういうことなんだろう?」と皆さんが引っかかってくれるセリフだと思います。どんな思いからこの脚本や原作が書かれたのだろうと考えると、いろいろと想像が膨らんで面白い。

入野 僕は、エリオの表情が長回しで映し出されるラストシーンがすごく好きで。観ている人たちが、彼の心情を考えながら「どうしてそんな表情をしてるの?」とか「その気持ちわかるよ」などと問いかけたくなるんです。パパがエリオに言うセリフ「感情を無視することはあまりに惜しい。痛みを葬るな。感じた喜びも忘れるな」も印象的。この映画を観ていてハッと気付かされたことだったので、自分自身も大切にしていきたいなと思っています。

「君の名前で僕を呼んで」

津田 エリオの思春期特有の心の揺れが、繊細に描かれているところも好きです。彼は芸術的な感性を持った子で、典型にはめられない行動のオンパレードだけど、それがすごくリアル。どうしてこんなひねくれ方をしちゃうの? あっ、ここでは素直なんだ!と、ふわふわと印象が変わって。最後のほうでは彼の感情がぎゅっと表現されていて、非常に面白いなと思いました。

「君の名前で僕を呼んで」
2018年4月27日(金)公開
>「君の名前で僕を呼んで」
ストーリー

1983年夏、北イタリアの避暑地。17歳のエリオは、大学教授である父の助手としてアメリカから来た24歳の大学院生・オリヴァーと出会う。最初は彼の自信に満ちた態度に反発心を抱いていたエリオだったが、次第に惹かれていくように。しかし、夏の終わりとともに別れの時も近付いて……。

スタッフ

監督:ルカ・グァダニーノ

脚色:ジェームズ・アイヴォリー

原作:アンドレ・アシマン「君の名前で僕を呼んで」(オークラ出版刊)

キャスト

ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール、エステル・ガレル、ヴィクトワール・デュボワほか

日本語吹替:入野自由、津田健次郎、星野充昭、沢海陽子、下山田綾華、櫻庭有紗、伊沢磨紀

雲田はるこ(クモタハルコ)
雲田はるこ
2008年に短篇「窓辺の君」(東京漫画社)で商業デビュー。2010年からITAN(講談社)にて連載を開始した「昭和元禄落語心中」は、2013年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、2017年に手塚治虫文化賞新生賞を受賞。2016年、2017年にテレビアニメ化された。そのほか、三浦しをんの同名小説をコミカライズした「舟を編む」なども手がけている。現在、on BLUE(祥伝社)にて「新宿ラッキーホール」の続編を連載中。
入野自由(イリノミユ)
2月19日生まれ、東京都出身。「千と千尋の神隠し」のハク役や「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のじんたんこと宿海仁太役で知られる。主な出演作は「映画『聲の形』」「ハイキュー!!」シリーズ、「おそ松さん」シリーズなど。2018年7月スタートのアニメ「深夜!天才バカボン」でバカボン役を務める。
津田健次郎(ツダケンジロウ)
6月11日生まれ、大阪府出身。主な出演作は「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」シリーズ、「ACCA13区監察課」など。洋画の吹替では「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」「ブラックパンサー」ほかに参加した。放送中のアニメ「ルパン三世 PART5」ではアルベール役を演じている。

2018年4月26日更新