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「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」仮面ライダージオウ座談会 / 仮面ライダービルド座談会|平成仮面ライダーのいない世界なんて

打ち合わせは、気付いたら7、8時間経っていた(武部)

──では「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」のお話に移ります。今回、平成仮面ライダーがすべてフィクションとして扱われる世界が舞台となりますね。このメタ的なコンセプトは最初からあったのでしょうか?

武部 最初は本当に大変でしたね。打ち合わせも気付いたら7、8時間経ってて……。

大森 最初はメタ視点ではありませんでしたね。

「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」より。左からアナザー電王、アナザーW。

白倉 「ジオウ」の設定はさておき、「ビルド」の最終回後を描こうと思っていました。「ビルド」を1年間楽しんでくれていた方々が、「ビルド」の最後の劇場版だと思って観てくれるということを大事にしたほうがいいのかなと思って。桐生戦兎と万丈龍我や、猿渡一海、氷室幻徳もライダーに変身するような舞台作りはどうすればいいか?をスタートにした記憶がありますね。

武部 クランクインしても脚本が仕上がらなくて、プロットも入れたら20稿くらいまで行きましたから、脚本の下山健人さんも大変だったと思います。

白倉 映画の現場って、クランクイン前にお祓いをするんですよね。普通は撮影の安全を祈願するものなんですけど、今回は「台本が上がりますように」と祈ろうという話まであった(笑)。

“裏ソウゴ”の発想がティードとアタルに(武部)

──今回のストーリーで、仮面ライダークウガ、仮面ライダー電王、仮面ライダーWにスポットを当てた理由を教えていただけますか。

「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」より、仮面ライダー電王。

白倉 最初、電王とWに関しては“「ジオウ」に吸収しづらいもの”だったから、映画に追い出そうという発想だったんです。「仮面ライダー電王」はタイムトラベルものという意味で「ジオウ」とかぶっているんですが、それぞれ時間旅行に関する理屈が違うので混ぜられない。それからWはビルドに似すぎている(笑)。Wのデザインが発表された頃は「キカイダーのモノマネだ!」と言われたんですが、ビルドが発表されたときは「Wのモノマネだ!」と言われましたし。だから「ジオウ」に出したとき、視聴者が「これビルドじゃん!」と混乱するかもしれないと。

武部 あとは作品としても、「仮面ライダー電王」は社会現象になりましたし、「仮面ライダーW」はエポックメイキング的な大きな番組だったので、扱うなら映画がいいかなと。それからその頃、キャストたちが思い出のライダーについて語る機会があったんですが、年齢別に挙げる作品が平成ライダー年表と一致していたんです。ちょっと歳上の渡邊圭祐くんは「仮面ライダー龍騎」が好きで、18歳の奥野壮くんは「仮面ライダーキバ」「電王」が好き。それで、平成ライダーと同じ2000年生まれの常磐ソウゴという主人公に対して、“裏ソウゴ”のような、平成ライダーを恨んでいる存在を考えてみたんです。それが結果的に、ティードやアタルというオリジナルキャラに分かれていきました。

「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」より。左から奥野壮演じる常磐ソウゴ、福崎那由他演じるアタル。

白倉 平成ライダーのポジティブな面を、「クウガ」と同じ年に生まれて順調に育ってきた常磐ソウゴに託して、平成ライダーにネガティブな印象を持つ人間を対比させたらどうかという話になった。2000年生まれの人間がいたとしたら、7歳くらいで「電王」に夢中になって、「W」の頃に仮面ライダーを卒業するんじゃないかという想定ができあがった。それまでは正直「電王とWは映画へ追い出そう」という考えだったのが、むしろ積極的に映画に取り込んでいったほうが得策だというふうに、スイッチが切り替わりました。

どーかと思うデザインのライダーベスト3(塚田)

──ここからは「レジェンドプロデューサーが選ぶ、独断と偏見のベスト3」というテーマでお話を伺います。それぞれ自由なテーマでベスト3を発表していただきたいのですが……では一番早くフリップに書いてくださった、白倉さんからお願いします。

白倉伸一郎

白倉 じゃじゃん。「顔が濃いライダーベスト3」。1位エグゼイド、2位ブレイブ、3位スナイプ。変身後の話です!

大森 全部同じ作品じゃないですか(笑)。

白倉 (しらじらしく)えっ!?

一同 (笑)

白倉 そもそもデザインを決めるときって、ライダーがズラッと並んでも“周りからちゃんと浮く”ことを考えるんです。ディケイドをピンクにしたのもその理由でした。ジオウも周りから浮かせるために、顔に「ライダー」と“落書き”してもらったんですが……どうやってもエグゼイドの眼力に勝てない(笑)。映画のビジュアルでもエグゼイドを端に配置しているのに、どうしてもそこに目が行く。ド派手なピンクに蛍光グリーン、そして眼力……恐ろしいですよ、エグゼイド。

塚田英明

塚田 ちょっとかぶったので、フリップ出してもいいですか? はい、「どーかと思うデザインのライダー」。1位エグゼイド、目! 2位フォーゼ、頭! 3位ジオウ、字!

一同 (笑)

武部 エグゼイドのデザインを見せられたとき、塚田Pは「どう思いますか、武部さん。ご意見を!」「どうなんですかこれ? 髪の毛どうした?」って言って持ってきたもんね(笑)。

塚田 髪の毛はいいんですけど、やっぱり目ですね。まあエグゼイドに関しては、公式が(異質さを)認めちゃってるから仕方ない。

──「フォーゼ」はご自身の担当作品ですよね?

「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」ビジュアル。後列左から3番目が仮面ライダーフォーゼ、中央が仮面ライダージオウ、前列右端が仮面ライダーエグゼイド。

塚田 はい、自分で作ったくせに……って話ですよね。これ、みんな慣れるかなと思ったら、意外と慣れなかったんです(笑)。デザインの打ち合わせするとき「動いたらカッコいいよ」とよく言うんですが、フォーゼに限っては皆さんそれでも慣れなかったらしく、後々まで指摘され続けましたね。ロケットモチーフだからこの頭なのであって、僕はカッコいいと思ってるんですけど、客観的にどーかと思われている節がある。

白倉 やっぱりライダーってそれくらいやらないと駄目なんだよ。昭和ライダー世代でもいまだに「なんでバッタなんだ?」って思ってるからね。

APやっていた頃に大変だった作品ベスト3(大森)

武部直美

武部 では私のベスト3。「個人的にデザインが好きなライダー」! 1位はカリス、黒と赤でカッコいいんです。押田岳くんも好きなライダーと言ってましたね。2位は鎧武、みかんをカッコよくデザインしたという意味でお気に入りです。そして3位はキバのエンペラーフォーム、金と赤のやつです。次点はゲイツですね。

塚田 「仮面ライダー剣」に出てきたほかのライダーはスペードやダイヤなのに、カリスのモチーフはハート。それでもデザインがカッコいいのが素晴らしいと思います。

武部 そう! モチーフはモモレンジャーと同じなんだけど。

白倉 「剣」の問題は、スペードのはずの主役(ブレイド)が、まるで“ぴちょんくん”だってことですよ。

一同 (笑)

白倉 みんなデザインの話しかしてない。当たり障りないから(笑)。

塚田 僕も一応いろいろ考えてるんですよ。全員の作品に触れている、このバランスのよさを見てくださいよ!

武部 本当だ、さすが! さあ、(回答に悩んでいた大森へ)できたかな?

大森敬仁

大森 「APやっていた頃に大変だった作品ベスト3」です(笑)。1位「仮面ライダー響鬼」、2位「仮面ライダーキバ」、3位「仮面ライダー電王」。まず「響鬼」は、チーフプロデューサーが途中で変わったんですよ。

白倉 へえー! そんなことがあるとは!(※白倉は第30話以降、「仮面ライダー響鬼」のプロデューサーを髙寺成紀から引き継いだ)

大森 本当に「そんなことがあるとは」ですよ!! 当時この会社に入ったばかりで、一番最初に参加した作品だったので右も左もわからず……。髙寺さんのこだわりもすごくて、僕は普通だと思ってやっていたんですが、周りから見たら普通ではなかったらしく(笑)。銀座のオフィスで仕事していたと思ったら、次の日は屋久島で台風に吹かれている……えらい仕事だなと思いました。もちろん仕事はたくさん教えてもらいましたよ!

武部 2位は「キバ」? すみません、私の初のチーフ作品で。

大森 これは何が大変だったかと言うと、バイオリンです。ちょうどこの直前に「電王」をやっていたんですが、「電王」って本編が終わってからも劇場版がずっと続いたんです。その状態で「キバ」も作っていて、冒頭からたくさんバイオリンを使うのでキャストに練習してもらったり、楽器の先生を呼んだり。

武部 「キバ」の各話タイトルは大森くんが考えました。あれも大変でしたね、音楽用語を入れるようにしていて。3位の「電王」は映画が多かったから、単純に長かったよね。でも大森くんがしっかりやってくれたから助かりました。

大森 「大変=勉強になった」ということで、ここに小さく書いている「いい意味かも!」も、ちゃんと掲載しておいてください。

白倉 かも!?

一同 (笑)

“元号ライダー”はもう終わってほしい(白倉)

──平成ライダーも「ジオウ」で最後となります。来年以降の仮面ライダーは何を目指していくべきでしょう? 変わっていくべき部分と、変わらないでいるべき部分についてどうお考えでしょうか。

大森 子供をターゲットにするということは変わらないし、変えてはいけないと思うので、そこは大切にしたいですね。「何が正しい」「何が間違っている」ということを押し付けるわけではなく、あくまで子供が観て「楽しい」「強い」と感じて、そこから考えてもらえるように。あとは、20年続いた平成ライダーの次の世代になるということは、昭和ライダーも入れたら3世代がライダーを通ることになります。より老若男女の広いターゲットを意識したライダーになっていくんじゃないでしょうか。

塚田 「こうしよう」ではなく必然的に「こうなったんだな」というものが生まれると思いますね。僕が「W」を担当したとき、1つ前の「ディケイド」が、当時の平成ライダーを総括するという意味でお祭り番組のように派手に展開していました。だから僕は「お祭り番組が終わったところから新番組を始めるのか……」と思っていて。最初、キャッチコピーは「祭りは終わった」にしようとしていたくらいですから(笑)。結局、「2人で1人の仮面ライダー」にしたんですけどね。でも、そうやって試行錯誤して「W」という作品を作って、きちんとバトンを渡すことができて、その後平成ライダーが10年も続いた。きっと今回も「ジオウ」というお祭りのあと、新しい時代が来たところで、必然的な何かが生まれることを期待しています。……自分は担当しないので(笑)。

「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」より、仮面ライダーW。

武部 振り返るたびに「W」は本当にすごい作品だったなと思うんです。「特捜戦隊デカレンジャー」もすごかったし、塚田さん、また何かやってくれないかなあと。時間がないとついつい日和ってしまいますけど、こだわりって大事だなと、改めて塚田Pのすごさを実感する今日この頃です。

塚田 何かやる日も来るかもしれませんしね。こう言いつつ「ジオウ」の次、僕がやってるかもしれませんし。……と、慌てて体裁を整える。

一同 (笑)

武部 前年と違うことに挑戦するという意味で、新しいものに塗り替えていくのが仮面ライダーなんですよね。だから今私たちが想像できるものとはまったく違う何かを、私でない誰かが生み出してくれるのかなと(笑)。変わらないでいるべき点に関しては、皆さんが何か理不尽な目や、大変な目に遭ったときに思い出すような、心にまっすぐ通る信念を残せる作品であればいいなと。娯楽番組なので、あまり声高に正義だとか勇気だとかは言いたくありません。でも「逃げちゃいけない」といったような考え方が、指針として伝わればいいなと思います。

白倉 僕は、平成ライダーの次は元号が付かないでほしいと思っています。そもそも平成ライダーって、昭和ライダーに対するカウンターとしての呼称なので。これだけ作品が続いてくると、結局すべて枠の中でものを語ってしまうんです。語れることは素晴らしいんだけれども、結局「前の番組と比較して、ここは同じでここが違う」とか、ライダーの内側ばかり見て会話してしまう。そうではなく、きちんと今の時代や子供たちに即したヒーローであってほしい。つまり、“昭和”とか“平成”でくくられている仮面ライダーという歴史自体から解放されないといけないんです。だって、“平成スーパー戦隊”とか“昭和スーパー戦隊”っていう呼び方はないわけですから。

武部 そうですね。「平成ライダー」という名前を付けなければ、平成ライダーが終わることもなかったのに。

白倉 名乗ったから終わる。だから“元号ライダー”はもう終わってほしいんですよね。まあどうせ東映さんのことだから、新しい元号が発表されたら“◯◯ライダー”と呼ぶんですよ。

武部 昭和 VS 平成 VS ◯◯!みたいな。

白倉 たぶんやるし、自分がやるかもしれない(笑)。でも精神的な部分では、そういうつもりじゃいかんな、と思います。新番組でも「◯◯シリーズ第1弾!」と銘打つと、第2弾や第3弾でもとを取ればいいやと思って甘えてしまいますからね。つまり元号に頼らず、仮面ライダーシリーズなんて終わってもいいくらいの気持ちでやってほしいですね。そのあとまた、11年くらいブランクを空けて始めればいいじゃないですか(笑)。