松下奈緒と古田新太がダブル主演を務め、「坂道のアポロン」の三木孝浩が監督した「連続ドラマW 闇の伴走者~編集長の条件」が3月31日からWOWOWで放送される。長崎尚志の小説を映像化した本作は2015年春に放送された「連続ドラマW 闇の伴走者」に続く第2弾。松下演じる調査員と古田扮する漫画編集者が漫画に関する謎を解き明かしていくヒューマンミステリーだ。
映画ナタリーは、前作に引き続き名コンビぶりを見せる松下と古田の対談を掲載。本作の見どころを語ってもらった。そのほか、多彩な俳優陣が出演する本作のキャラクターや見どころを紹介する。
取材・文 / 中村裕一 文 / 山川奈帆子(P3)
WOWOW「連続ドラマW 闇の伴走者~編集長の条件」
- ストーリー
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かつて一世を風靡した伝説の漫画誌編集者・南部が、中堅出版社が発売している漫画雑誌の編集長に就任する。しかしその直後にビルの屋上から転落死し、警察は事故として処理するが、その死には不可解な謎が多く残されていた。出版関係専門の調査員・水野優希と、偶然にも南部の後釜として編集長に就任した醍醐真司は、死の解明に乗り出す。故人が残した作者不明の古い画稿をもとに調査を進める2人は、戦後最大の未解決事件「下山事件」にたどり着く。
- スタッフ / キャスト
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- 監督:三木孝浩
- 原作:長崎尚志「編集長の条件 ―醍醐真司の博覧推理ファイル―」(新潮社刊)
- 脚本:阿相クミコ
- 出演:
松下奈緒・古田新太
津田寛治、白石隼也、今野浩喜、小宮浩信(三四郎)、八木亜希子、
温水洋一、野間口徹、前野朋哉 / 真野響子、森本レオ /
田中泯、平泉成、岩松了ほか
前作より増した優希と醍醐のバディ感
──まずは続編製作決定の知らせを聞いたときの気持ちをお聞かせください。
古田新太 またいっぱいしゃべるんだろうなあって。前回もずっとしゃべってたからね。
松下奈緒 そうでしたね(笑)。(登場人物の中で)一番、しゃべってましたよね。
古田 今回、(三木孝浩)監督が「前回ほどじゃないです」って言ってたけど、嘘ばっかり(笑)。前回は後半にアクションがあったけど、今回は説明ばかり。編集長の役だから編集部員たちにも言わなきゃいけないし、奈緒ちゃんにも言わなきゃいけない。
松下 みんなに説明して回らないといけないっていう。
古田 でも、またやれるというのは当然うれしかったですけど。
松下 私は前回、まだいろいろ解決しきれてないことがたくさんあったので「次またやれたらいいね」ってみんなと話してたんですけど、それが叶ったのですごいうれしかったですね。
──ひさしぶりに共演して、芝居を交えた感想はいかがでしたか。
古田 何年ぶり?
松下 3年くらいですかね。
古田 そんな感じしないよね。
松下 全然しないですね。最初に本読みをやらせていただいたとき、ああ懐かしいな、この感じだなって。ゼロからのスタートではなかったので、すごく今回も楽しそうだなって思いました。
──前作より優希と醍醐のバディ感が増している印象を持ちました。
古田 前回は知り合ったばかりだったけど、今回は初っ端から……。
松下 一緒に動いてますよね。でも、私たちと同じように、醍醐と優希も3年ぶりぐらいの再会なんですよね。
古田 その間に(醍醐と優希は)お互い全然連絡を取っていないという(笑)。
──三木監督とは何か演技について話し合いなどはされましたか。
古田 岩松(了)さん演じる南部さんへの接し方とかは言われましたけど、優希と醍醐のシーンについては別にないよね?
松下 これといって。でも、同じものを追いかけている感じと、実は今回そうじゃないところもあったりするので、そのへんの「2人のちょっとズレていく感じみたいなものは大事にしてください」とは言われました。
古田 おいらは今回、奈緒ちゃんとのシーンがそんなになかったんです。
松下 優希が知らないところで醍醐さんが編集長になってたりして、環境が大きく変わってる中でも最後に頼るのは醍醐さん、というところは変わってないですよね。
醍醐と優希は実は一番気が合う
──今回から初めて観る視聴者の皆さんに向けて、ご自身のキャラクターを説明してもらえますか?
古田 おいらが演じる醍醐は、かつてはヒットメーカーで、今はフリーの漫画編集者です。漫画のことにはやたら詳しく、ウンチクや知ってることはなんでもしゃべる。知らないことには興味がない(笑)。
松下 私が演じる優希は警察官でしたけど、あることがきっかけで警察を辞めて調査員になりました。醍醐さんと出会って漫画に関するウンチクを詳しく語られることで、今は漫画専門の調査員として仕事を続けています。ホントにいろいろなことに巻き込まれやすく、本人的には白黒はっきりつけたい、どこかさっぱり、きっぱりしたキャラクターですが、前回よりはあまりツンケンしないように演じようとは心がけていました。
──優希と醍醐はお互いについてどう思っているのでしょう。
古田 醍醐は優希のことを気に入っているんでしょうね、きっと。今回ひさしぶりに会って醍醐もうれしそうだったし。さっぱりしているところとか、竹を割ったような性格が。醍醐はウンチク垂れだけど、さっぱりしている人だから(優希と)付き合いやすいと思います。
松下 気が合わないと思っているんだけど、実は一番気が合うというか。本人たちは気が付いてないかもしれないですけど、なんかそういう見えないつながりがあるのかなって。優希も醍醐さんのウンチクが本当に嫌いだったら、わざわざ「嫌いだ」って言わないと思うし(笑)、どこか認めて尊敬しているところがあるんでしょうね。だからこそ何年かぶりに会っても一緒に仕事をするんだと思います。
元漫画編集者、中島かずきの会話も参考にした
──今回、編集部の撮影で実際に使用された「漫画ブレイブ」をお持ちしました。手に取ったご感想は?
古田 おいらはこれを(劇中で)校了してますから(笑)。でも、平松伸二先生や土山しげる先生の生原稿を見れたのはうれしかったです。あと、編集部にあった先生たちが描いたいろいろなグッズは楽しかったです。
──ちなみに古田さんが好きな平松伸二作品は?
古田 「リッキー台風(タイフーン)」(1980年から1981年にかけて週刊少年ジャンプで連載)です。
──ドラマの舞台となった漫画編集部の雰囲気はいかがでしたか。
古田 おいら、編集者の友達がけっこう多くて。だいたいおしゃべりなんですよ。口の立つやつが多い。醍醐の役作りにも参考にしました。腰は低いんだけど、偉そうにしゃべるんだよね、みんな。慇懃無礼なやつが多い(笑)。
松下 誰にも文句言わせない感じの巧みな話術ですよね(笑)。
古田 うちの劇団(劇団☆新感線)の作家、中島かずきも、もともと漫画編集者(漫画アクション)で。彼の会話っぷりも参考にしました(笑)。
──漫画編集者という職業についてはどう思いますか?
古田 結局、醍醐みたいな人が多いよね。うちの劇団にも漫画オタクはいっぱいいるんだけど、(中島)かずきさんはそういう人たちを「素人」と呼んですぐバカにする(笑)。「てめえもじゃねえか!」って言ったら「俺はプロだ」って(笑)。
松下 境目があるんですね(笑)。
古田 自分はオタクって言われるのが嫌でプロになった、だからいくらでも詳しくていいんだって。
松下 でも、そう言えるってすごいですね。私から見ると、自分の知らない世界を知っている人たちって感じです。すごい能力の持ち主の集まりというか。ただ、このストーリーがどうやってできたとか、作品を読むだけではわからないことを知るのは好きですけど、絵がどうのこうのっていうウンチクはよくわからないです(笑)。
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漫画編集者になってみたい?