「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」特集|2人の宿命の対決が、国を揺るがす 五月女ケイ子の描き下ろしイラストエッセイも掲載

Column 2人の女優、宿命のライバル、英国イケメン俳優……本作を紐解くキーワードを紹介

念願叶ってのメアリー役! シアーシャ・ローナンが見せた新境地

「ブルックリン」「レディ・バード」での演技も記憶に新しいシアーシャ・ローナン。子役からキャリアをスタートさせ、近年話題作に立て続けに出演している彼女は、スコットランドとその歴史に自身との深いつながりを感じており、本作が撮影される5年前からメアリーを演じることを熱望していた。「ほかの役ではありえないほど、メアリーから大きな影響を受けた」「メアリーのおかげでもっと強くなれた気がする」と念願がついに叶った気持ちを語る彼女は、劇中で2番目の夫・ダーンリー卿役のジャック・ロウデンとの激しいベッドシーンにも果敢に挑戦。政治的策略に翻弄されながらも高潔さを決して失わないメアリーを鮮烈に演じきり、女優としての新たな境地を切り拓いた。

特殊メイクで美貌を封印、マーゴット・ロビーが体現する女王の悲しみと葛藤

イングランドの女王・エリザベス1世に扮したのは、「スーサイド・スクワッド」のセクシーでクールなヴィラン、ハーレイ・クイン役で知られるマーゴット・ロビー。彼女は、天然痘で荒れた肌を隠し威厳ある姿を保つべく白塗りメイクをしていたとされるエリザベスを演じるにあたり、持ち前の美貌を封印し特殊メイクを施して撮影に臨んだ。ロビー自身が「格別な経験でした」と語るヘアメイクの完成度は、共演者のジョー・アルウィンが「2時間くらい同じ部屋にいたけど、彼女(ロビー)だと気付かなかった」と告白するほど! さらにロビーは、争いごとを避けるため生涯独身を貫いたエリザベスならではの悲哀や、歳を重ねるに連れて変化していく自身の肉体への葛藤を繊細に表現。本作を鑑賞した人は、彼女が体現するエリザベスの秘めた思いに胸を打たれるはず。

宿命の関係にハラハラドキドキ! “ふたりの女王”の対決と重ね合わせざるを得ない、女優2人の演技合戦

イングランドとフランスの有力貴族の血筋で、イングランドの正統な王位継承権を持つメアリー。一方のエリザベスはイングランド国王とアン・ブーリンの間に生まれるも母が刑死し、一度は王位継承権を失っていた。威厳ある女王エリザベスと、美貌の女王として知られるメアリー。イングランド女王の座を巡り火花を散らす2人は、本当はほかの誰よりもお互いの孤独や苦悩を理解し合える存在だったが、“宿命のライバル”であるが故に寄り添うことができない。そんな2人がたどる運命とは……? なお劇中には、激しい演技合戦を繰り広げるローナンとロビー扮する女王たちが対面を果たすシーンが、たった一度だけ登場するのでぜひ注目してほしい。情感たっぷりに描き出される同場面の撮影を、ローナンは「誰かとワンシーンをともにするだけなのに、ここまで強い結び付きを持てるなんて」と、ロビーは「強烈な魔法のような、感情的な経験」と感慨深げに振り返った。

“ふたりの女王”だけじゃない、イケメンぞろいの英国俳優にも心を奪われる!

女優たちの演技合戦はもちろん、物語に華を添える英国生まれの俳優たちにも注目! 「女王陛下のお気に入り」にも出演しており、私生活ではテイラー・スウィフトと交際中のジョー・アルウィンは、エリザベスを誠実に愛するレスター伯爵役を務め、ロマンチックな演技で観客を魅了する。「ダンケルク」で若きパイロットに扮したジャック・ロウデンは、メアリーの2番目の夫となったことで王冠に目がくらむダーンリー卿役に抜擢され、メアリーの秘書官である男性リッチオと恋に落ちる“BL萌え”的なシーンも披露。そして「メメント」「英国王のスピーチ」で知られるガイ・ピアースは、エリザベスを即位から晩年まで真摯に支える重臣ウィリアム・セシル / バーリー男爵を演じた。

「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」
2019年3月15日(金)より全国公開
ストーリー

生後6日でスコットランド女王、16歳でフランス王妃になったメアリー・スチュアート。18歳で夫を亡くした彼女は、スコットランドへ帰還して女王に戻るが、当時の同国は隣国イングランドを統治するエリザベス1世の強い影響下にあった。生まれたときから王位継承権を巡るライバルだった2人は、手紙でのやり取りを続けるうちに互いを意識し合い、魅了されるようになるが……。

スタッフ / キャスト

監督:ジョージー・ルーク

脚本:ボー・ウィリモン

出演:シアーシャ・ローナン、マーゴット・ロビー、ジャック・ロウデン、ジョー・アルウィン、イアン・ハート、デヴィッド・テナント、ガイ・ピアースほか