コミックナタリー Power Push - ドラマ「弱虫ペダル」特集
小越勇輝(ドラマ・小野田坂道役)×山下大輝(アニメ・小野田坂道役)対談
2人の小野田坂道
お互いの、舞台やアニメへの触れ方
──「弱虫ペダル」はアニメ化される前に舞台化されていたという少し珍しい作品ですが、山下さんから見た舞台の印象もお聞かせいただけますか。
山下 舞台は観劇させていただいたことがあって。インターハイ2日目(2014年の「舞台『弱虫ペダル』インターハイ篇 The Second Order」)、そのときはまだ坂道役が小越さんではなくて村井良大さんだったんですけど、ホントにあの舞台上がインターハイのステージに見えるくらいで。観てて胸が熱くなりました。キャラクターたちが実際に走ってるなって感じましたし、みんな汗が飛び散ってて、輝いてて! 本当に自転車が見えるし、そのときそのときの皆さんの真剣な表情もリアルで感動しましたね! 泣けました。小越さんの坂道が出る舞台も、今後観に行けたらいいなと思ってます!
──小越さんは、アニメはご覧になられてましたか?
小越 僕は存在は知っていて、舞台に出ると決まったときに、過去の舞台とマンガとアニメを少し観させていただきました。触れたのはそこからでしたね。
──ご自分が演じるにあたって、アニメや舞台から演技を取り入れようとしたりはされるんでしょうか。
小越 そのキャラクターの持っているキャラクター性であったり、雰囲気だったりっていうのは取り入れようとはしていましたね。ただマンガを1回目に読んだときの衝撃を大切にしようと思っていたので、あまりほかのものを見過ぎないようにしていました。自分がどう表現するかっていうのを大事にしてましたね。
──イメージが凝り固まってしまうと、自分の坂道を演じられなくなってしまう?
小越 そうですね。原作もアニメも舞台も、印象的な部分がたくさんあって、そこが頭に残ってしまうとどうしてもそれが自分の演技に出てきてしまうので、見過ぎないように。ひと段落したときに、イチから楽しみたいなっていうのはありますね。
山下 僕も自分らしさというところも大事にしつつ、自分の中で表現できたらいいなと思っています。舞台には舞台の「弱虫ペダル」というものがあって、きっとドラマにはドラマの、アニメにはアニメの「弱虫ペダル」がある。1つの作品だけど3つ楽しめる、みたいな。それぞれまた違ったものになっていると思います。
アニメもドラマも「アスリートな現場」
──おふたりは坂道を演じるうえで、どういうふうに役作りされていったのでしょうか。
山下 坂道はとにかく全力で、今自分にできる精一杯をやろうとする子なので、僕自身も今できる精一杯をとにかくやろうと思っていました。あと、たまに空気読めない不思議な感じというか、ちょっと抜けてるところがありますよね(笑)。でもそういう部分が、周りが緊迫した空気だったりするのを和ませたりしてて、そういうところも魅力だと思うし、大切にしたいなと。オタクなところとの切り替えの部分も、普段の坂道とは違ってはっきり饒舌になるように演じられたらギャップが生まれてきていいのかなと。あとはただ純粋に突き進む子なので、あまり細かいことは深く考えずに、真っ直ぐやろうというところは、多分僕と共通してるんじゃないかな。
小越 僕は舞台には途中からの参加だったので、最初に演じたのがインターハイを終えて成長した坂道だったんですね。3月の「~総北新世代、始動~」でも2年生になった坂道だったので、またひと回りもふた回りも成長した小野田坂道を演じようと思ってやっていたんですけど、今回、ドラマ版は原作の第1話の部分からだったので、初めて頭から坂道を演じられるということで。今までの舞台とは違うトライをしようとも思っていますし、友達がいなかった坂道が自転車に出会って、人に出会って、成長していく姿をどう見せようかというのもすごく考えましたね。
──小越さんはこれまで舞台を中心に活躍してこられましたが、映像の現場だとこれまでとは勝手が違うことも多々あったと思います。
小越 毎日毎日勉強というか、学ぶことだらけで。もちろん舞台と違って、頭から最後まで流してできるわけではないので、そういった難しさはありますね。でもその一瞬一瞬で、目の前にいる人とその瞬間の空気を作り出して掛け合いができるのがすごく楽しいです。
山下 ドラマだと1カット1カットで切っていくイメージがあって、その都度で気持ちが分離されないのかなっていうのが気になります。そういうところも大変そうですよね。
小越 難しいです。
山下 こう行きたいけど途中で止めて、そこからまたスタートっていうのもありますよね。例えば、自転車で走るのも坂の途中からスタートしたり。
小越 ありますね。あと今回のドラマでは同じシーンの中でも実際に道を走っているのと、合成で撮っているのを組み合わせたりもしているので、1回外で撮ったシーンを、もう一度グリーンバックで撮影したりしているんです。もう雰囲気が全然、違いすぎて。そういう難しさも最初の頃はすごく感じましたね。
山下 わー! 大変そう! アフレコの場合は最初にテストでAパート、Bパートをそれぞれイッキに録るので、そこで空気を感じ取れるんですよ。そこから(声が)重なってるところとか、息遣いだけ別で録ったりとかはあるんですけど、テストのときに空気感とか雰囲気とかを覚えてインプットしておくんです。ここはこういう雰囲気だったな、とか。
──息遣いだけ別で録ったりするんですね。
山下 そうなんです。「弱虫ペダル」の場合は特に多くて、インターハイのときなんか30分のアニメでだいたい20分くらいはハアハア言ってたりしてました(笑)。モノローグのセリフに息遣いを重ねていくんですけど、リアルに坂を登っているときの息遣い、激漕ぎの息遣いがあって、さらに「うわー!」っていう叫びを録ったり。レースのシーンを録っているときは、冬でも冷房かけたりしていて(笑)。
小越 息遣いって大変じゃないですか? 僕たちも声だけ録ることがあるんですけど、息遣いで立ちくらみしたりしますね。酸欠になって、「あ、ヤバイ、ふらっとする」みたいな(笑)。
山下 ホントそうなりますよね。「弱虫ペダル」の場合はしょっちゅう酸欠になってました。
──やはりほかの現場とは全然違いますか?
山下 そうですね。やっぱりレースなので。特に坂道は手を抜くっていうことを知らない子で、100%出しきろうとするから、僕も常に100%でぶつかっていかなきゃいけないので、何度もフラフラになって「おい、大丈夫か」って声かけられることもあったり。アスリートな現場でした。
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- Contents Index
- ステージナタリー 小越勇輝×郷本直也×馬場良馬 座談会
- コミックナタリー 小越勇輝×山下大輝 対談
BSスカパー!オリジナル連続ドラマ「弱虫ペダル」
2016年8月26日(金)
21:00~ 放送スタート 〈全7話〉
※第1話無料放送
あらすじ
アキバをこよなく愛するオタク高校生の小野田坂道。
運動が大の苦手で高校に入ったらアニメ研究部に入ろうと心に決めていたが、入学と同時に部員不足でアニ研は事実上の廃部状態に!
5人の部員を集めれば部を復活させられる事を知った坂道は、必死に部員集めに奔走する。
そんな中、ひょんなことから出会った今泉俊輔に自転車勝負を申し込まれてしまう。
尻込みする坂道だったが、勝てば今泉もアニ研に入部すると聞きレースに挑む事になる。
原作:渡辺航(秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載中)
監督:棚澤孝義
脚本:吹原幸太 ほか
キャスト
小野田坂道:小越勇輝
今泉俊輔:木村達成
鳴子章吉:深澤大河
金城真護:郷本直也
田所迅:友常勇気
巻島裕介:馬場良馬
手嶋純太:鯨井康介
青八木一:八島諒
古賀公貴:輝馬
杉元照文:平井浩基
寒咲通司:安里勇哉
寒咲幹:桜井美南
橘綾:野口真緒
福富寿一:滝川英治
荒北靖友:鈴木拡樹
東堂尽八:北村諒
新開隼人:宮崎秋人
泉田塔一郎:青木空夢
黒田雪成:秋元龍太朗
真波山岳:植田圭輔
御堂筋翔:林野健志
©渡辺航(週刊少年チャンピオン) 2008/スカパー!・東宝・舞台「弱虫ペダル」製作委員会
「弱虫ペダル SPARE BIKE」2016年9月9日より2週間特別上映
「弱虫ペダル SPARE BIKE 巻島裕介」あらすじ
春、総北高校に入学した巻島裕介。これまでたった一人で走ってきた彼は総北の自転車競技部に入部することで、自らの自由な走りで周囲から認められ、広い世界に羽ばたくことが出来る、と胸を躍らせていた。しかし、彼の独特なダンシング走法は、部の先輩たちから嘲笑され、走り方を直すように言われてしまう。「自転車は自由だ」と信じていた巻島は……。
「弱虫ペダル SPARE BIKE 東堂尽八」あらすじ
オシャレなことがモットーの中学二年生・東堂尽八は、箱根の街に生まれ育った、老舗温泉旅館の嫡男。ある日、ロードバイクに乗る友人・糸川修作から自転車レースに誘われるも、ヘルメットで髪が乱れる理由から拒否。しかし試しに2人で競うように箱根の山を走ってみると、東堂の心の中にひとつの衝動が生まれ──。
スタッフ
原作:渡辺航(秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載)
監督:鍋島修
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
キャスト
巻島裕介(CV:森久保祥太郎)
寒咲通司(CV:諏訪部順一)、金城真護(CV:安元洋貴)、田所迅(CV:伊藤健太郎)
小野田坂道(CV:山下大輝)、今泉俊輔(CV:鳥海浩輔)、鳴子章吉(CV:福島潤)、寒咲幹(CV:諏訪彩花)
東堂尽八(CV:柿原徹也)
糸川修作(CV:阪口大助)、皆水(CV:伊瀬茉莉也)
福富寿一(CV:前野智昭)、荒北靖友(CV:吉野裕行)、新開隼人(CV:日野聡)、泉田塔一郎(CV:阿部敦)、真波山岳(CV:代永翼)
©渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダルSB製作委員会
アニメ「弱虫ペダル」第3期 2017年1月放送スタート!
小越勇輝(オゴエユウキ)
1994年4月8日生まれ。東京都出身。2010年よりミュージカル「テニスの王子様」2ndシーズンにて、主人公・越前リョーマ役を4年にわたり務める。そのほか出演作に「仮面ライダーキバ」「ロック☆オペラ『サイケデリック・ペイン』」、舞台「東京喰種トーキョーグール」、舞台「弱虫ペダル」など。2016年9月からは「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~幕末天狼傳~」にて堀川国広役を演じる。
山下大輝(ヤマシタダイキ)
9月7日生まれ。静岡県出身。主な出演作に「弱虫ペダル」(小野田坂道役)をはじめ、「僕のヒーローアカデミア」(緑谷出久役)、「磯部磯兵衛物語」(磯部磯兵衛役)、「とんかつDJアゲ太郎」(勝又揚太郎役)、「あんさんぶるスターズ!」(朔間凛月役)、「刀剣乱舞」(厚藤四郎役、今剣役)、「少年ハリウッド」(佐伯希星役)など。