マンガを描くルーツは「聖闘士星矢」

──「とらねこフォークロア」は、前作の「EREMENTAR GERAD」という長期連載を終えてからの新作ということですが、どういった経緯で生まれたのでしょうか。

「エレメンタル」とはまた違うテイストの作品にしようっていうのは決めていました。でも自分の描けるもの、得意なものは決まっていて、それはやっぱりファンタジーなんですよね。

──でも「とらねこ」は現代の学園ものということで、「エレメンタル」のような異世界ファンタジーからは少し離れましたね。

そうですね。「エレメンタル」はまだシリーズ第2作の「蒼空の戦旗」が連載中なので、そういうガチの異世界ファンタジーはちょっと横に置いておこうと。あと私、ゴブリンとかドラゴンとか、幻獣が好きで描いてみたかったんですよ。でもそういうのって「エレメンタル」の世界には出せない。で、どうせならやったことない学園ものにしようと。

──じゃあもう幻獣ありきの作品だったんですね。幻獣を好きになったきっかけはあるんでしょうか。

小さい頃からギリシャ神話が好きだったんです。……すみません嘘をつきました。「聖闘士星矢」が好きだったんです（笑）。

──数多くの女子の人生を狂わせた「聖闘士星矢」ですね（笑）。

そう、まさに。実は「聖闘士星矢」は私のマンガを描くルーツになった作品なんです。小学6年生のころにアニメを見てハマって。当時マネして描いたりしたりしていて、そこからマンガ描くことを始めたので。

──「聖闘士星矢」のどういうところに影響を受けたんですか？

絵ですね。割と髪型とか影響受けてると思います。ほんとにいっぱい模写して描いてました。紙に描くだけでは飽き足らず、透明の下敷きに描いて、なんちゃってセル画を作ったり（笑）。昔描いた聖闘士聖衣体系（セイントクロスシリーズ）とか、自分の部屋を発掘すれば多分出てきますよ。

ケルベロスとギター少女を描きたかった

──「聖闘士星矢」から影響を受けたということは、やはり今後ペガサスなどが出てきたりするんでしょうか。

出したいですね。多分チャラくて、すごく性格悪いと思います。

──それぞれの幻獣のイメージはすでに持ってるんですか？

ええ。みんなが持ってるイメージも大事にしつつ、全然違う性格にもしたいです。ケルベロスのタローなんて強そうなのに、かわいらしくて鬱陶しいキャラですよね。タローはうちのチワワがモデルなんですけど、こんな感じで鬱陶しいんですよ、「かまってかまって～」って感じで。

──タローと響ちゃんのコンビは、割とすぐに生まれたキャラクターなんでしょうか。

そうですね。「ケルベロスとギター少女」っていうのをペアにしようっていうのは、ずっと考えてたんです。でも見た目がケルベロスまんまだと絶対強そうだし、そこは豆柴とかチワワみたいに弱くしようと。ギャップ萌えです（笑）。

──「ケルベロスとギター少女」って、すごくキャッチーなコンセプトですね。響ちゃんのギターはESPさんで実際に作っていただきました。

実物見たときはすごく感動しました。ストラップの部分もちゃんと鎖にしていただいて。

──ANTELOPEを起用したのはなぜなんでしょう？

もう見た目のカッコよさですね。カタログを見ていたらすごくカッコよかったので、これがいい！と思って。でも高い！（笑） なのでケルベロスモデルもコスプレイヤーさんは廉価版のほうを買っていただければ……。

ミヤちゃんのオカルト好きは自分自身

──響ちゃん以外のキャラクターの話も聞かせてください。思い入れのあるキャラはいますか？

ミヤちゃんが好きですね。私実はオカルト大好きで、ミヤちゃんの「『恐怖の映像100連発スペシャル』録画しなきゃ！」とか、完全に私のセリフです（笑）。

──ミヤちゃんが東先生自身なんですね。あの、「とらねこ」ってオカルト事件を解決していくマンガになってますよね。

最初はもうちょっと怖いほうじゃなくて不思議なほうに寄せた、もっとファンタジーな感じだったんですけど、だんだんオカルトになってきましたね（笑）。まあ1話目からネタが「恐怖の携帯電話」でしたけど……。

──携帯電話も学園ものならではのアイテムですね。また制服もこのシチュエーションならではのアイテムですが、デザインについても聞かせてください。

やっぱり制服は難しくて。私、天野こずえ先生がデザインする制服が好きなんですよ。でも真似しちゃいかんと思って……。「とらねこ」では軍服っぽいデザインにしてみました。

──軍服イメージなんですね。結構派手な制服ですよね（笑）。

このベルトはなんのためなのっていう……（笑）。実は胸元から背中までぐるっと付いてるんですけど、意味はないです。飾りです。