コミックナタリー Power Push - 東まゆみ「とらねこフォークロア」

ラブリーなケルベロス、ムチムチ美人ゴブリン…… 「EREMENTAR GERAD」に続く新作は現代幻獣譚

スポーツものが苦手なので運動会とかどうしよう(笑)

──細かいところまでデザインしてるんですね。ほかにも学園ものならではの描いてみたいことってありますか?

まだ学校行事を描いていないので、文化祭とか描いてみたいですね。逆にスポーツもの描くのはすごく苦手なので、球技大会とか運動会とか、スポーツのシーンが出てきたらどうしようって思ってます。13年くらい前に「GET!」っていうサッカーマンガを描いてたんですけど、それがすごく難しかったんです。もうスポーツものは描きたくないというくらい……。

──スポーツものはどういうところが難しかったんですか?

自分があまりスポーツが得意ではないので、はっきりとルールを把握していないからボロが出ちゃうんですよ。まずルールブックを読むところから始めるという……(笑)。見るのは好きなんですけどね。

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──でもファンタジーでバトルものを描いていらしたから、動きがある描写は得意なのでは?

「エレメンタル」を経てやっと少し描けるようになったかなという感じですね。それまでは苦手でしたよ。

──そんな苦手なスポーツものを描いたのはなぜだったんでしょう。

その頃は掲載誌に「ロトの紋章」や「ハーメルン(のバイオリン弾き)」が連載されていたので、ファンタジーでは勝負できないんじゃないかなと思ったんです。それらを超えられないとやっていけないので……。でも、それまではずっとファンタジーを描いてましたね。投稿作はファンタジーの海賊ものでしたし、「封神演義」的な、中国っぽいファタンジーを描いたこともあります。

天野こずえ先生にいろいろ教えてもらった

──好きで描いていらしたものは常にファンタジーだったんですね。それが東節ということでしょうか。新人時代は天野こずえ先生のアシスタントをされてたそうですが、天野さんから受け継いだものはありますか?

それはもうたくさんありますね。私は天野先生以外にはアシスタントに入ったことがなくて全部自己流でしたし。それこそホワイトの種類もわからなくて。あと仕事のやり方や指示の出し方もいろいろ教えていただきました。

──例えばどんな感じでしょうか?

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まずトーンを適当に渡されて。天野先生、私のこと「あじゃぽん」って呼ぶんですけど(笑)、「あじゃぽんが適当に合うトーン貼っといて」みたいな感じで、一任されるんです。この服はこの大きさだからこの細かさだろう、という感じでトーンを選んで。たぶん自分で判断するっていうことを覚えさせたかったんだと思います。自分の原稿にも活きますしね。

──天野先生はちゃんとアシスタントを育てることを考えてくれているんですね。

考えていただいていたのかどうか、本当のところはわからないですけどね(笑)。すごくいい仕事場でした。年も近いので和気あいあいな感じで。でも仲良く進めるだけじゃ馴れ合いになってしまうので、どこかで一線を引かないといけないっていうことも天野先生に教えていただきましたね。確かにそのほうが仕事の効率がいいんですよ。甘えが出てきちゃったり、だらだらしちゃったりすると成長しないし。いろいろ教えていただいた中でも、それがいちばん大切なことかもしれませんね。

1話完結や短編が得意な人がうらやましい

──お話はどういう手順で作っていくんでしょうか。

打ち合わせをして大体の筋を決めます。「エレメンタル」はスパンが長かったので割と先まで決めてたんですけど、「とらねこ」は短くひとつのお話を完結させるので、そこが今までは違って難しいですね。

──短いほうが難しいんですか?

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そうなんです、難しいんですよ。1話完結とか苦手なんです。余計な掛け合いとかをいっぱい入れちゃうので。「こういうセリフ入れたい」とか「このギャグ入れたい」とか、本編には関係ないのに入れたくなっちゃう。

──いつもそれを削っていく作業をするんですか?

削れてない……。削れないからその結果伸びちゃうっていう……(笑)。短編得意な方、本当うらやましいです。でも「とらねこフォークロア」は自分にとって挑戦作なので、これからも頑張っていきたいですね。ドタバタと楽しい作品にしていきたいです。

東まゆみ「とらねこフォークロア」(2) / 2011年9月10日発売 / 600円(税込) / マッグガーデン / ISBN:978-4861278860

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あらすじ

明るく爽やかな高校デビューを目論む元ヤン燈人。本人なりに、無難な入学初日を過ごせた……と思ったのも束の間、学園に出没する怪物にクラスメイト達が喰われてしまう。ケンカ慣れしている程度では太刀打ちできない怪物に大苦戦する燈人。彼を絶体絶命の窮地から救ったのは、携帯ストラップから発現した幻獣(フォークロア)だった! 明るく楽しく格好良く。そして時々とっても怖い、現代ミステリアス・ファンタジー。

東まゆみ(あずままゆみ)

東まゆみ

4月24日生まれ。東京都出身。1995年、月刊少年ギャグ王掲載の「ナイトウォーカー!」でデビュー。その後、月刊少年ガンガンにてサッカーマンガ「GET!」を、月刊ガンガンWINGにて「ヴァンパイア セイヴァー~魂の迷い子~」を、月刊少年ガンガン(すべてエニックス)にて「スターオーシャン セカンドストーリー」を連載。2002年からは月刊コミックブレイドにて、アニメ化もされた冒険ファンタジー「EREMENTAR GERAD」を連載。現在は月刊コミックアヴァルス(ともにマッグガーデン)にて、「EREMENTAR GERAD-蒼空の戦旗-」を、月刊コミックブレイドにて「とらねこフォークロア」を連載中。