コミックナタリー Power Push - 小栗かずまた「花さか天使テンテンくん」
祝・文庫化で桜くんの本当の才能が明らかに!? 主人公たちの12年後を描く完結編を収録
試し読みあり!
©小栗かずまた/集英社
週刊少年ジャンプ(集英社)にて1997年から2000年まで連載された「花さか天使テンテンくん」が、12年の時を経て、文庫版になって帰ってくる。何の才能もない少年・桜ヒデユキが、天使のテンテンくんとともに、彼に与えられるはずだった本当の才能を探すギャグマンガだ。
文庫版には、桜くんたちの12年後を作者の小栗かずまたが描き下ろす完結編を収録。当時10歳だった彼らは、どのような大人に成長しているのか。コミックナタリーでは文庫版の概要をお届けするとともに、小栗にインタビューを敢行。まだ構想段階だという描き下ろしについてはもちろん、「テンテンくん」連載当時のエピソードを語ってもらった。
取材・文/坂本恵 撮影/唐木元
感動エピソードを選りすぐり!文庫版はここがポイント
(1)大人も感涙の“イイ話”をセレクト
全17巻ある単行本から感動的なエピソードをセレクトし、タイトルを「花さか天使テンテンくん 感動セレクション」として、全4巻で刊行する。6月15日に1巻、7月18日に2巻、8月17日に3、4巻と、3カ月連続で発売。カバーイラストはすべて描き下ろし。また収録話の解説や思い出話なども書き下ろされる。
(2)4巻には描き下ろしの完結編を収録
完結編の舞台は12年後。最終回では発見されなかった桜くんの才能がついに明らかになる!?
(3)1巻には青年誌で執筆した単行本未収録読み切りを収録
単行本初収録となるのは、小栗が2008年に月刊ヤングジャンプ創刊号(集英社)で執筆した読み切り「ぎゃる♡エン」。閻魔大王の娘であるギャルのエンコを描いたこの作品、低年齢層向け作品のイメージが強い小栗による、貴重な青年マンガだ。
小栗かずまたインタビュー
意外と上品なマンガなんですよ、「テンテンくん」
──まずは文庫の刊行決定、おめでとうございます。子どものころにジャンプで読んでいた当時は下ネタのイメージが強かったんですけど、いま改めて読み返してみると、意外に“イイ話”が多いな、と(笑)。
やっぱりみなさん、テンテンくんが全裸でチンチン出してると、下ネタがいっぱい出てくるイメージがあるみたいなんです。アニメの主題歌も結構きわどい歌詞だったんで。でも実は「テンテンくん」に関しては下ネタって全然使ってなかったんです。意外と上品なマンガなんですよ、「テンテンくん」(笑)。
──今回の文庫は「感動セレクション」ということですが、小栗先生は感動ものが得意という自負をお持ちですか。
得意だと思って描いたことはないです。ただ自分が感動もの好きなんですよね。「ALWAYS 三丁目の夕日」みたいな、ああいうベッタベタないい話が好きなんです。あとは「101回目のプロポーズ」(笑)。昔の月9ってストレートでいいですよね。もう「ここで泣いてほしいんだな」ってところで、すかさず泣いちゃう。たぶんイイ話を描いた理由って、自分もこれだけ感動したから、同じように感動できるような話を自分でも作れたらいいなって思ったからなんですよね。
──「テンテンくん」のなかで、お気に入りの感動エピソードってありますか?
桜くんが飼ってた黒猫の話かなあ。うちも実家で猫飼ってたんですけど、ある日いなくなって捜したことがあったんです。寂しいけど、また違う新しい猫がやってきたり。そういうみんなどこかしら体験してることを思い出させたりするエピソードなのかな、と。
──大人になってから読んでも、じんわり感動できるお話でした。
基本的に小学生の身の周りの話なので、みんなが子どものときに体験した共通の思い出みたいなものを呼び覚ましたりするのかもしれないですね。あと照れくさいこと、大人が言ったら恥ずかしいようなことも、子どもに言わせるとそんなにクサくならないし、素直に読めたりするんです。
作品解説
何の取り柄もない少年・桜ヒデユキの前に、天使のテンテンくんが舞い降りた!秘めた才能を開かせる不思議な種・サイダネを持ち、ヒデユキの才能を探すために天の国から来たんだけど、グータラでドジばかり……。こんなダメ天使に、本当に才能を見つけられるの!? 週刊少年ジャンプ1997年11号から2000年30号(集英社)まで連載されたギャグマンガより、笑って泣ける感動作ばかりを集めた傑作選。
続刊スケジュール
- 「花さか天使テンテンくん 感動セレクション」2巻 / 2012年7月18日発売 / 予価780円(税込) / 集英社 / 集英社文庫〈コミック版〉
- 「花さか天使テンテンくん 感動セレクション」3巻 / 2012年8月17日発売 / 予価780円(税込) / 集英社 / 集英社文庫〈コミック版〉
- 「花さか天使テンテンくん 感動セレクション」4巻 / 2012年8月17日発売 / 予価780円(税込) / 集英社 / 集英社文庫〈コミック版〉
小栗かずまた(おぐりかずまた)
1974年生まれ。東京都出身。1994年、「トウフノカド」で第40回赤塚賞準入選を受賞。同年、少年ジャンプSummer Special(集英社)にて同作でデビュー。代表作に、週刊少年ジャンプ(集英社)にて1997年より連載された「花さか天使テンテンくん」、集英社わくわくキッズブックより刊行された「グータラ王子」シリーズなどがある。笑いの中にも心温まるエピソードを盛り込んだギャグマンガ作品で、子供たちを中心に人気を獲得している。2011年より、最強ジャンプ(集英社)にて「ヘンテコ忍者 いもがくれチンゲンサイ様」を連載中。