TVアニメ「スケートリーディング☆スターズ」内田雄馬(前島絢晴役)×古川慎(流石井隼人役)対談|団体競技の和を崩しまくる?2人が対談 個性豊かなキャラクターたちがぶつかり合いながら前に進む、“谷口悟朗らしさ”が詰まった作品

流石井は、前島と違ったしたたかなポジティブさがある(古川)

──放送を待つ人たちにとって、まだまだ謎の多い流石井。古川さんは、流石井のどんなところを大切にしながら演じていますか?

アニメ「スケートリーディング☆スターズ」より古川慎演じる流石井隼人。

古川 観察眼と分析力が彼の魅力で、それが素直にカッコいいなと思っています。彼の能力を生かせば本来コミュニケーションが上手なはずなんですけど、そうではないスタンスを貫くところには、実は彼の生い立ちとかも関係しています。煽るスタイルだという話をしましたが、嫌味を言っていても、内容はいつも的を射ている。腹立つけれどカッコいい。傲岸不遜に見えますけど、誰に対してもひるまないところとか、1つのことがうまくいかなくても次の策を考えるところとか、前島と違ったしたたかなポジティブさがある。彼のそういうところがものすごく良いなと思って演じています。

──古川さんと流石井の共通点はあります?

古川 なかなかこんなやついないから、自分との共通点はないですかね……。声くらい?(笑) 憧れる部分はたくさんありますよ。下準備や根回しをすごくする人。そういうの、僕はひとつもできないので、彼の緻密さや狡猾なところを尊敬しています。爪の垢でも煎じて飲ませてほしい!(笑)

──前島と流石井、それぞれ話が進むにつれて変わっていくところはありますか?

内田 前島はものすごく芯が通った人なので、変わりはしないですね。でも「気付く」ことが多い。自分の中での考え方や目標を変わらず持ち続けて、貫いている人なのですが、部活動に参加することで、人への考え方やアプローチの仕方は変化していきます。彼が過去にやっていたのは個人競技ですが、スケートリーディングは5人で作り上げるものなので。その「気付き」を通じて、前島は、彼自身の強さを知っていく。流石井はどう?

古川慎

古川 流石井もそこまで変化はないですよね。前島とともに掲げているぶれない信念があって、そこに向かっていく人で、それを突き通すためならなんでもやる人ではあります。

──その2人と関わる中で、周りがどう動くかが「スケスタ」の醍醐味なんですね。

古川 前島も流石井もその目標に対するベクトルが強すぎるからこそ、変化の余地がないのかもしれないです。

内田 彼らはまっすぐすぎるよね。どこか変わるというよりも、本来の性質がどんどん強くなっていくような展開を期待してもらえればと。

僕たちのアフレコ現場も、スケートリーディングと重なる面があるのかも(内田)

──今(2020年3月時点)アフレコの真っ最中だと聞きました。前島と流石井という「相棒」を演じる中で、内田さんと古川さんもお互いに刺激を受けていますか?

内田 今回の現場ってとても特殊でして。画はあるんですが「気にしなくていい、自由に演技していい」と言われています。セリフの掛け合いの間も、僕たちに任せられている。そこは慎くんが相手だからこそ呼吸を合わせてやれているのかもなあと思います。流石井の演技は、収録の最中ずっと「こんなアプローチあるの?」と驚きながら聞いています。流石井って、視聴者に対して説明をしてくれるキャラクターで。そもそも情報量の多い作品なんですが、たぶん作品の情報量の7割くらいを話してるんですよ。

古川 はは(笑)。

左から内田雄馬、古川慎。

内田 何も考えずにしゃべってしまうと、本当にただの説明になってしまう。そこを慎くんが巧みな間でキャラクターの語りとして成立させていて、僕らは流石井の語りに乗っかって言葉をしゃべる瞬間すらある。慎くんが流石井だからこそ、いい呼吸感でやれているなと思ってます。慎くんは大変でしょうけど(笑)。

古川 大変ではありますね(笑)。台本が修正されたと思ったら、セリフが5行くらい増えてるときとかあって。「おおっ! そうですか」みたいな(笑)。

内田 本当に難しいと思う。

古川 でも出ずっぱりのキャラクターなので、その分やりやすい部分はあるんですよ。

内田 気持ちの流れは見えやすいかもね、確かに。

古川 個人的には、周りの皆さんのほうが大変じゃないかな?と思っています。どんどんシーンが切り替わっていく中でさっと入らないといけないので。キャラクターとしての性格だけじゃなくて、シーンごとの説明役や相槌役などを、間がないところで演じるのってかなり大変だなと僕は思っていて。共演者の皆さんが、限られた尺のなかでそこをきっちり演じられてこちらにボールを返してくださるのがありがたいです。

アニメ「スケートリーディング☆スターズ」より。

内田 空間の流れを作るうえで、言葉になっていない情報がたくさん存在している作品なんですよね。物語の流れを作りながらも、裏側の情報量も意識しながらお芝居をして、バトンタッチしていかないといけないし、セリフの量にかかわらず同じ濃度でキャラクターを伝えていかないといけない。ある意味、僕たちのアフレコ現場も、リード・ウィング・ガードなどの役割に分かれたスケートリーディングの「部活動」と重なる面があるのかも。

古川 話の中で生まれたエモーションが前島に集まっていく流れが多いよね。常に前島が作品の真ん中にいて、みんなの思いがひと回りしても、最後には前島のところに戻ってくる。つないだバトンを最後に受け取るリレーの最終走者が前島なんですよ。最後に、すべての勢いを殺さず突き抜けるお芝居を雄馬くんがしてくれるから、バトンをつないだ僕たちも、終わったあと気持ちいい。雄馬くんが「今のは完全に走りきれたよね」「トップスピードで行けてたよね」という達成感を引き出してくれるんです。技術だけじゃないと思うんですよ。感性で引き寄せてくれるなあと。すごいな、気持ちいいなと思います。

内田雄馬

内田 うれしい! もっと褒めて!

古川 彼、声もいいんですよ!

内田 (笑)。

古川 どんなに朝早くてもマイクノリがいいのも尊敬してる! 温泉水を飲んでるからかな?

──温泉水?

内田 僕が気に入って買っているミネラルウォーターです。現場でいつも飲んでいまして(笑)。

──ノドによさそうですね(笑)。