今回のしんちゃんは、すごくみやぞんっぽい
──ジョニ男さんは、映画をご覧になっていかがでしたか?
ジョニ男 いやー、普通に笑いながら観ちゃいましたね。心の柔らかさみたいな、映画のテーマも響きました。しんちゃんの柔軟な物の考え方を見ていたら、 だんだん「自分の頭が固くなってるな」って思えちゃって。
あらぽん どういうことですか?
ジョニ男 やっぱりお笑いを長くやってると、だんだんお笑いの理論みたいなものがわかってくるじゃない? でも「本当はもっと馬鹿なことがやりたくて、この世界に入ったのにな」って我に返っちゃうの。自由気ままなしんちゃんを見てたら、「自分はちょっと考えすぎてるのかもな」って。
──原点に立ち返った方がいいんじゃないかと。
ジョニ男 そうですね。これについては、改めてマネージャーと話し合いたいと思います(笑)。
あらぽん なんか、深いっすね(笑)。
──関根さんとあらぽんさんはいかがですか?
関根 今回はカンフーがテーマになってますから、アクションが多くて楽しかったです。あと、しんちゃんたちが修行をして少しずつ強くなっていくところもいい。昔のカンフー映画ってそういう展開が多いんですけど、やっぱりそういう物語が好きなんだよね。
あらぽん 僕は小さいときからみやぞんと一緒だったんですけど、今回のしんちゃんってすごくみやぞんっぽいなと思うんです。
関根 あっ、わかる(笑)。
あらぽん 例えば僕が先に練習していたスケボーを、みやぞんに貸すと、みやぞんはすぐ僕よりうまくなっちゃうんです。それがぷにぷに拳をどんどんマスターしていく、今回のしんちゃんと重なって。
ジョニ男 じゃああらぽんは、どっちかっていうとマサオくんの立場だったんだ。悔しく思うこともあった?
あらぽん うーん、でもみやぞんは昔からそんな感じだったので、劣等感を感じることはなかったですね。むしろ何か新しいおもちゃを手に入れて、できなかったりわからなかったりすることがあると、みやぞんに相談するんですよ(笑)。みやぞんはすぐコツを掴んで、「ビビったらスケボーに負けるよ!」とか意味わかんないアドバイスをくれるんです。
関根 やっぱり天才肌なんだよ。長嶋茂雄さんみたいな。
あらぽん そうなんです。そういう神がかってる感じが懐かしいなって思いました。あと、個人的にはクライマックスがすごいツボで(笑)。映画館で、嫁と一緒に観ていたんですけど、嫁も笑いをこらえられなくなってましたね。「一旦トイレ行ってきなよ」と勧めたくらい(笑)。
関根 あれは素晴らしいアイデアだったよね。そこでかかる歌もいいんだよなあ。これはぜひ、たくさんの人に映画を観て体験してほしい。
「パン・ツー・まるみえ」よりも難しかったのは……
──本作はカンフーがテーマということで、随所にカンフー映画のパロディがちりばめられていたそうなのですが、皆さんはお気付きになりましたか?
関根 えっ、そうだったんだ。全然わからなかったなあ。例えばどこ?
ジョニ男 確かマサオくんがアイヤータウンに行くとき、「プロジェクトA」のテーマを口ずさんでましたよね?
あらぽん 僕は師匠がひょうたんを取り出したときは、「カンフー映画っぽい!」と思いましたよ。僕、ひょうたん育ててるんで、ひょうたんには敏感なんです(笑)。
ジョニ男 敵を目くらましするのに、ひょうたんから唐辛子を出してましたね。
関根 ひょうたんは覚えてる。「ひょう!」「たん!」ってセリフ言ったもん(笑)。
──マサオくんがぷにぷに拳の説明をする場面では、背景にブルース・リーやジャッキー・チェンといったカンフースターが登場しているそうです。
ジョニ男 あっ、それも思いました(笑)。ブルース・リーにジャッキー・チェン、あとサモ・ハン・キンポーでしょ。それからジェット・リーとユン・ピョウと……ドニー・イェン?
関根 へえ、よく観てたねえ。
ジョニ男 そういえば師匠は、中盤から敵の技のせいで「パン・ツー・まるみえ」しか言えなくなるじゃないですか(笑)。しかもその状態で、喜怒哀楽を表現されてましたよね。
関根 いろんな気持ちを込めた「パン・ツー・まるみえ」をやったね。15、16パターンぐらいは録ったんじゃないかな? でもどっちかって言うと、「パン・ツー・まるみえ」は楽なほうだったんだよ。
──普通のセリフのほうが難しかったんですか?
関根 「パン・ツー・まるみえ」は悲しそうにとか、楽しそうにとか、言われた通りにやればすぐOKがもらえたんだよね。僕はちょっととぼけたおじいちゃんの役だけど、とぼけすぎるとただのおじいちゃんになっちゃう。 監督からも「とぼけ方の中にも、優しい感じを出してください」と言われまして……。だから本当に仏のような気持ちになって、年齢で言うと90歳ぐらいの気持ちで演じましたね。
あらぽん 確かに優しい感じっていうのは、歌とかでも表現が難しいですもんね。EXILEの曲とか、出だしの部分が一番難しいと思います。
関根 そうそう! いいねえあらぽん、ほかにもアンジェラ・アキとかさ。
ジョニ男 ええっ?(笑) アンジェラ・アキさんもですか?
関根 難しいんだよ。もんた&ブラザーズの「ダンシング・オールナイト」だって、サビのところは意外と歌えるじゃない? 「ダンシングオールナイト!」って、パンパーンって無念さをぶつけていけるから。
ジョニ男 感情が出しやすいんですね。
関根 八代亜紀さんの「舟歌」だって、サビよりも「肴はあぶったイカでいい」のところが難しいでしょ? そういうことなんだよ。
ジョニ男 ううむ、これぞ関根節って感じの例え話ですけど、確かに納得させられてしまいますね(笑)。
しんのすけは将来、“尾木ママ”になる?
──(笑)。お話は尽きませんが、最後にBlu-rayやDVDでこれから「爆盛!カンフーボーイズ」を観る方々へ、メッセージをいただけますか。
あらぽん さっきクライマックスのシーンがすごいってお話をしましたけど、僕この映画でもうひとつ鳥肌ポイントがあって。それがエンドロールが始まるときの、ももクロさんの主題歌が入ってくるタイミングなんです。曲がいいのはもちろんなんですけど、それがかかるタイミングも完璧だったので、ぜひそこに注目していただきたいです。
関根 僕はそうだな、やっぱり友情は外せないですね。今回の映画はマサオくんが活躍してるんですよ。マサオくんを中心に、カスカベ防衛隊のメンバーとの友情を観てほしいですね。
あらぽん 防衛隊をやめると言うマサオくんに、みんなが「防衛隊をやめても、友達はやめられないよ」って声をかけるシーンがありましたね。
関根 あのシーンを観たら、「この5人はずっと親友でいられる」って思うよね。
ジョニ男 大人になってもね。彼らが大人になったところを見てみたいですね。しんちゃんはどんな大人になると思います?
あらぽん 想像もつかないです(笑)。
関根 僕はアレだと思うな、教育評論家。大学の教育学部を出て、すごく親しみやすい教育学者として活躍してると思います。
ジョニ男 ええっ。尾木ママみたいな?
関根 そうそう(笑)。昼間にレギュラー番組を持って、コメンテーターなんかやってると思うよ。「しんのすけさんどうですか?」「そうね~、やっぱりね~、子供は柔らかい発想で見なくちゃダメですよ~?」って(笑)。でも、さっきの頭でっかちになってた話じゃないけど、今回の映画はぜひ大人の皆さんに観てほしいですよね。子供はもちろん十分に楽しめるけど、大人が観ると「もっと柔らかい気持ちになったほうがいいんだ」って気持ちになれます。特にぷにぷに拳は柔らかい拳法だから、心も体も柔らかくして観てもらえたら。
ジョニ男 そうですね。大人の方が観たら、きっと仕事や今後の人生に活かせる何かが見つかるんじゃないかと思います。あとはエンドロールを隈なく見ていただいて、「ジョニ男が出てないぞ」ってチェックしてもらいたいですね。
あらぽん (笑)。やっぱりジョニ男さんも出たかったですよね。
ジョニ男 そりゃ、僕もみんなと一緒に現場にいたかったよ……。次回、また機会がありましたら何とかよろしくお願いします。誰か監督にそうお伝えください(笑)。
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3人もしんちゃんとカンフー修行!?
フォトギャラリー
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- ストーリー
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春日部にある中華街、“アイヤータウン”。伝説のカンフー“ぷにぷに拳”の修業に励むしんのすけたちカスカベ防衛隊。一方アイヤータウンでは“ブラックパンダラーメン”が大流行! でもそのラーメンは、食べた人を狂暴化させてしまう危険なラーメンだった!! アイヤータウンだけでなく春日部をものみこもうとするラーメンパニック!! そんな中、マサオがカスカベ防衛隊の離脱を宣言!? 果たして春日部の平和は!? カスカベ防衛隊の絆は!?
- スタッフ
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原作:臼井儀人(らくだ社)
監督:髙橋渉
脚本:うえのきみこ
主題歌:ももいろクローバーZ「笑一笑 ~シャオイーシャオ!~」(EVIL LINE RECORDS)
製作:シンエイ動画・テレビ朝日・ADK・双葉社
配給:東宝
- キャスト
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しんのすけ:矢島晶子
みさえ:ならはしみき
ひろし:森川智之
ひまわり:こおろぎさとみ
師匠:関根勤
ミヤ・ゾン:みやぞん(ANZEN漫才)
あらぽん:あらぽん(ANZEN漫才)
ほか
©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2018
- 関根勤(セキネツトム)
- 1958年8月21日、東京都生まれ。1974年、テレビ番組「ぎんざNOW!」のコーナー・素人コメディアン道場で初代チャンピオンとなり、これがきっかけで芸能界デビュー。師匠の桂三枝にラビット関根と名付けられ、千葉真一やジャイアント馬場、長嶋茂雄らのものまねで注目を集めた。1982年には「欽ちゃんのどこまでやるの!?」にレギュラー出演。その際、芸名を本名の関根勤に戻した。バラエティ番組を中心に、ラジオ、舞台とマルチに活躍している。浅井企画所属。
- 岩井ジョニ男(イワイジョニオ)
- 千葉県生まれ。相方の井川修司と、2003年にコンビ・イワイガワを結成。コントを中心に活動を行う。横分けにした髪と黒縁眼鏡、背広にチョビヒゲという“昭和のサラリーマン”スタイルがトレードマーク。コンビで「千葉県 しろいふるさと大使」も務めている。浅井企画所属。
- あらぽん
- 1985年10月13日、東京都生まれ。幼なじみのみやぞんと、2009年にコンビ・ANZEN漫才を結成。“足立区あるある”を扱った歌ネタ、マニアックものまねなどで人気を博す。あらぽんは現在、Webサイト・耳マンでコラム記事「アダチニスト~足立区ストーリーズ~」を連載中。浅井企画所属。