「モブサイコ100 Ⅱ」sajou no hana×立川譲監督×松田章男プロデューサー座談会|モブに共感すること、モブから学ぶこと

OP映像はいい意味で、頭がおかしいんじゃないかって

──立川監督はnoteでオープニング映像の制作秘話を公開されていましたね。

立川 そうですね。そこにも書いたんですが、今回は「パワーダウンしたら嫌だなあ」というのが頭にあって。曲も「99」から0.9上がり「99.9」になって、より“100”に近づくっていう意味合いがある中で、「映像は第1期のときのほうが勢いあったね」と思われたら嫌だなと。なのでパワーダウンしないようにどうしたらいいか、悩んでいる時間が長かった気がします。

──先程オープニングから印象づけたいというお話がありましたが、映像も初っ端から回転するモブ、霊幻、エクボ、律、テルのポリゴンのインパクトが強くて……。

渡辺 あれ、ヤバいですよね(笑)。最初何が起こってるのかわからなかった。

キタニ 強烈も強烈ですよね。

立川 あはは(笑)。ド頭に何か足してほしいとお願いしたときにあの映像が思い浮かんでいたわけではないんですけど、結果的に入れてもらったベースのスラップの部分をライトの動きに合わせたり、音と映像を融合できる部分ができたのでよかったです。

キタニ 映像を初めて観たときはめっちゃテンション上がりました。

sana びっくり箱みたいですよね。私は最後のほうの「YOUR LIFE IS YOUR OWN」のところが好きで……。

キタニ ああ、わかるー! あれ神だよね。

sana すごくカッコいい。一瞬だから、何回も一時停止しながら見ちゃいました。

渡辺翔(sajou no hana)

渡辺 今監督の話を聞いていて、逆にそんなふうに考え込みながら緻密に作ってることに衝撃を受けました。冒頭のインパクトもそうですけど、モブが飛んでスピーカーがボンッて爆発するところとか、どれも突発的に思いついたのかなと思ってしまうほどで。すごくいい意味で、頭がおかしいんじゃないかってぐらいのアイデアが詰まってるなと(笑)。それを計算しながら作っているって、とんでもなくすごいなと思いました。

キタニ そうそう、キマってるんじゃないの?っていうくらい、情報量がむちゃくちゃヤバい映像で。こんなふうに言うのもおかしいですけど、映像を見て「俺、こんないい曲書いたっけな」って思うくらい(笑)。

立川 うーん、そんなに酒飲んでベロベロに酔っ払って描いたわけではないんですけどね(笑)。

一同 (笑)。

立川 さっき言っていただいたスピーカーのところも、単純にズンズンと気持ちのいいリズムを刻んでいたので、映像にもスピーカーを置きたいなとか、「モブサイコ100」は“感情が爆発する”というテーマの作品でもあるのでスピーカーを爆発させたいなとか。そういうバラバラに思いついたアイデアを組み合わせていく作業が多かったです。

キタニ 1つひとつコマ送りにして、「これはどういうふうに思いついたんですか? これは?」って聞いていきたい(笑)。

──noteで公開された制作秘話の中で、「今回は“錯視”をテーマにしている」とも書かれていました。

「モブサイコ100 Ⅱ」のオープニングは、静止している絵を回転させることで動いているように見せる「ゾートロープ」をモチーフとした映像から始まる。

立川 オープニング映像って、やろうと思ったら無限に可能性があるじゃないですか。入れたい要素を選びきれなくなっちゃうので、自分の中で1つベースとなるコンセプトを用意したくて。超能力ものだし、今回はキービジュアルでも錯視をモチーフにしているので、オープニングもそれに沿おうと決めてから全体の形ができていきました。あとは、アニメーションって、静止画を回転させることで動いてるように見せるゾートロープを起源に「アニメーション」という名前が付いて、無生物にも霊魂が宿っていると考えるアニミズムがベースになっているんです。そういったところも表現できたらいいなと思っていて。なのでアニメーション技法の古今東西じゃないですけど、古いものから最新のものまで、組み合わせて1つの映像になるといいなと思いながら作りました。

お互いに補い合う関係性が見える「ホワイティ編」

──sajou no hanaの皆さんは「モブサイコ100 Ⅱ」にエンディングテーマでも参加されています。しかもエピソードごとにあわせて、「メモセピア」「グレイ」「目蓋の裏」と3曲も制作されて。

キタニタツヤ(sajou no hana)

キタニ エンディングは「第1話用」「第5話用」「トータル用」で作ってほしいとオーダーをいただいて、僕と翔さんがお互い3曲ずつ書いて、使用する楽曲を選んでもらいました。結果、第1話の「グレイ」は僕、第5話の「目蓋の裏」と全体曲の「メモセピア」は翔さんの楽曲が採用されることになって。第1話で流れた「グレイ」は脚本を読んだときに優しい人肌の温度というか、温かいイメージを受け取ったので、楽曲も凝ったアレンジにする必要はなく、歌いやすいメロディのほうがいいんだろうなと思いながら書きました。

渡辺 第1話と第5話のエンディングは、アニメ映像の後ろでかかると最初から教えていただいてたよね。

キタニ そうです、そうです。第1話のエンディングでバラバラになった原稿用紙をモブが集めて、自ら人前で超能力を使って戻していくシーンがあるじゃないですか。あそこにすごくカタルシスを感じたというか、読んでいて気持ちが浄化されていったんですよ。だから曲もそういうものであるべきだと思ったので、それを意識してサビを作って、そこから逆算してイントロ、Aメロ、Bメロっていう作り方をしていきました。

「モブサイコ100 Ⅱ」第1話より、自身が書いた小説を友人に破られてしまったエミ。モブは自ら超能力を使い、バラバラになった小説を元に戻していく。 「モブサイコ100 Ⅱ」第1話より、自身が書いた小説を友人に破られてしまったエミ。モブは自ら超能力を使い、バラバラになった小説を元に戻していく。

渡辺 あのシーンはきっと皆さん大好きですよね。マンガでも素晴らしいストーリーだったし。

sana 私も大好きです。

松田 このインタビューが掲載される頃はもう放送されていると思いますが、「グレイ」は第7話の最後でも流れるんです(取材は第7話放送前に行われた)。それは最初から決まっていたわけではなくて、監督のほうから第7話でも「グレイ」を使いましょうという話になったんです。

立川 エピソードと楽曲の印象も合ってるし、「グレイ」の歌詞にある「感情が色づいていく」っていう部分がモブと霊幻にも通じるところがあって、ピッタリだなと。カッティング(カットの尺などを編集すること)の時点で曲と合わせて、サビがいいところにくるようにかなり微調整しました。

キタニ うわあ……早く観てえ!(笑)

sana 楽しみ! 私、(アニメでは第6・7話にあたる)「ホワイティ編」が一番好きなんです。今までは霊幻さんがモブくんを導くというか、立場が上にいる感じだったのに、あのお話ではモブくんが霊幻さんを助ける。2人が一緒にいる意味がわかるというか、お互いに足りない部分を補い合いあって、だからやっぱり一緒にいるんだろうなって感動したんです。

「ホワイティ編」では霊幻の何気ない言葉をきっかけに、モブと霊幻が距離を置くことに。そんな最中、霊幻の身にとある騒動が降りかかる。霊幻はその事件を通して、自身のこれまでとモブの成長を見つめ直していく。 「ホワイティ編」では霊幻の何気ない言葉をきっかけに、モブと霊幻が距離を置くことに。そんな最中、霊幻の身にとある騒動が降りかかる。霊幻はその事件を通して、自身のこれまでとモブの成長を見つめ直していく。

立川 僕も「ホワイティ編」は原作のときから好きで。第2期をやる前からもしアニメ化するんだったらあの話は自分で(絵コンテ・演出を)やりたいっていろんなところでも言ってたんです(参照:「モブサイコ100」ホワイティ編から見るモブと霊幻、立川譲監督は「語りきれない」)。実際に第2期が決まったときも、ちょうど自分の担当回が6、7話に来るように調整して(笑)。脚本も自分で書いて、なるべく関われるようにしました。「グレイ」に関しては、歌詞を読んだときに、モブと霊幻、2人の関係性やモブ自身、もしかしたら霊幻自身のことも深く描いている印象を受けたので、「ホワイティ編」にすごく合ってるなと思って、第1話に続き第7話でも使うことにしました。

キタニ そう言ってもらえてめっちゃうれしいですね。こう言うと下衆な感じになりますけど、純粋に自分でも「すげえいい曲できちゃったな」って思ったので(笑)。歌詞ができあがったときも「早くモブファンの人に読んでほしい!」と思ったので、そこも注目してほしいです。

MOB CHOIR feat. sajou no hana
「99.9」
2019年3月6日発売 / ワーナー・ホーム・ビデオ
MOB CHOIR feat. sajou no hana「99.9」DVD付盤

DVD付盤 [CD+DVD]
1944円 / 1000740815

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MOB CHOIR feat. sajou no hana「99.9」通常盤

通常盤 [CD]
1296円 / 1000740816

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CD収録曲
  1. 99.9[作詞・作曲・編曲:キタニタツヤ]
  2. いきるひとびと[作詞・作曲・編曲:キタニタツヤ]
  3. 99 –sajou no hana arrange-[作詞・作曲:佐々木淳一 / 編曲:渡辺翔・キタニタツヤ]
  4. 99.9(Instrumental)
  5. いきるひとびと(Instrumental)
DVD付盤DVD収録内容
  • 「99.9」アニメオープニング映像
sajou no hana「メモセピア / グレイ」
2019年3月6日発売 / ワーナー・ホーム・ビデオ
sajou no hana「音楽作品タイトル」DVD付盤

DVD付盤 [CD+DVD]
1944円 / 1000740817

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sajou no hana「音楽作品タイトル」通常盤

通常盤 [CD]
1296円 / 1000740818

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. メモセピア[作詞・作曲:渡辺翔 / 編曲:キタニタツヤ]
  2. グレイ[作詞・作曲・編曲:キタニタツヤ]
  3. 目蓋の裏[作詞・作曲:渡辺翔 / 編曲:キタニタツヤ]
  4. メモセピア(Instrumental)
  5. グレイ(Instrumental)
  6. 目蓋の裏(Instrumental)
DVD付盤DVD収録内容
  • 「メモセピア」アニメノンクレジットエンディング映像収録
「モブサイコ100 Ⅱ vol.001」
2019年4月3日発売
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
「モブサイコ100 Ⅱ vol.001」初回仕様版 Blu-ray

初回仕様版 [Blu-ray2枚組]
9396円 / 1000741621

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「モブサイコ100 Ⅱ vol.001」初回仕様版 DVD

初回仕様版 [DVD2枚組]
9396円 / 1000741628

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初回仕様版特典
  1. イベントチケット先行購入抽選申込券(昼の部)
  2. 亀田祥倫描き下ろしアウターケース
  3. デジパック仕様
  4. ライナーノーツ
  5. 特典CD「塩中放送部」新規録り下ろし
商品仕様
  • 音声特典:オーディオコメンタリー(伊藤節生、櫻井孝宏、立川譲)
  • 映像特典:未定

ライブ情報

sajou no hana 1st ONE MAN LIVE
「沙上の夜 act1」
  • 2019年5月4日(土) 東京・新宿Marble
    START 18:00

イベント情報

「モブサイコ100 Ⅱ」サイコヘルメット教の集い・スペシャルイベント2019夏(仮)
  • 2019年7月7日(日) 埼玉・春日部市民文化会館 大ホール
    昼の部 START 14:30(予定)
    夜の部 START 18:00(予定)
    <出演者> 伊藤節生、櫻井孝宏、sajou no hanaほか
sajou no hana(サジョウノハナ)
sajou no hana
数々のアニメヒットソングを手がけてきた渡辺翔、多数のアーティストへ楽曲提供しシンガーソングライターとしても活動するキタニタツヤ、2014年にスマイルカンパニー主催のアニメ限定オーディションに合格し、TVアニメ「モブサイコ100」のオープニングテーマを歌唱した経歴を持つボーカリストsanaからなる3人組バンド。2017年11月に始動し、2018年8月にTVアニメ「天狼 Sirius the Jaeger」のエンディングテーマ「星絵」を表題曲とした1stシングルをリリースした。10月に東京・新宿MARZで初ライブを経験し、12月に配信限定シングル「あめにながす」を発表。2019年1月よりTVアニメ「モブサイコ100 Ⅱ」のオープニングテーマとエンディングテーマを担当し、3月にMOB CHOIR feat. sajou no hana名義のシングル「99.9」と、sajou no hana名義の両A面シングル「メモセピア / グレイ」をリリースする。
立川譲(タチカワユズル)
アニメ監督、演出家。「BLEACH」「キルラキル」「進撃の巨人」などのアニメ作品の絵コンテや演出を担当。2013年には自身が原作、脚本、監督を手がけたアニメ「デス・ビリヤード」が全国の映画館などで公開された。2015年1月には自身が原作、監督、シリーズ構成を担当したアニメ「デス・パレード」がオンエア。2018年には劇場版「名探偵コナン ゼロの執行人」で監督を務め、同作は興行収入が91億を超える大ヒットを飛ばした。現在は第1期から引き続きアニメ「モブサイコ100 Ⅱ」の監督を担当している。
松田章男(マツダアキオ)
アニメプロデューサー。「モブサイコ100」のほか、主な作品に「ハヤテのごとく!」シリーズ、「神のみぞ知るセカイ」シリーズ、「赤髪の白雪姫」シリーズ、「ひそねとまそたん」「劇場版 はいからさんが通る」前・後編などがある。