私は大丈夫! みんなも大丈夫! OK!
前川 私はもともと歩き方とか立ち方がすごいガニ股で、みんなからよく「ペンギンみたい」って言われるんですけど(笑)。
田中 ペチペチ歩くんですよ(笑)。歌音ちゃんが役と一番かけ離れてるかもしれない。
──セラミューを観劇したときは「まさに亜美ちゃん!」と思ってたんですが、その後皆さんのインスタライブを観ていたら、前川さんが一番元気にしゃべってましたね(笑)。
前川 もう大阪の血が騒いでべらべらしゃべっちゃって! みんなが私に振るのもあるんですが、やっぱり「乗らないと!」って思っちゃう(笑)。亜美ちゃんとは中身も動きも全然真逆なんです。そんなに気の利いたこともできないし、賢いことも言えないし、動きも含めていかに自分を封印できるかが鍵でした。亜美ちゃんのちょっと内股気味の立ち姿が難しくて、最初は内股気味でちょっと立つだけでフラフラしちゃって。階段を降りるシーンがあるんですが、稽古中に映像で観てみたら1、2段目までは内股でいけたんですけど3段目からもうガニ股で「亜美ちゃんじゃないー!」って(笑)。だからポージングや表情はアニメやマンガを見たり、フィギュアのポーズとかを自分と見比べたり、とにかく亜美ちゃんっぽい動きを意識しました。
小林 私もアニメとマンガをひたすら見ました。アニメとマンガでちょっとレイちゃんの性格が違うんです。アニメではしょっちゅううさぎと喧嘩するけど、マンガではけっこうクールだったり。なのでとにかくどっちも取り入れて、自分の思ったレイちゃんを演じようと思って。このときのレイちゃんはこう思うんだろうなとか感情を整理して1つひとつ大切にして、マンガとアニメのどっちかに似せるというよりはどっちもリスペクトして取り入れようと。
田中 れいちゃんは真面目で、楽屋でもひとつのセリフを気が済むまでずっと言ってるんですよ。
小林 みんながマーズのセリフを覚えてすぐ言えちゃうくらいだったよね。私はレイちゃんに大人っぽいイメージがあったから、言葉を発するとき冷たい印象になりがちだったんです。レイちゃんは大人っぽいけどみんなと同い年の女の子。だからきつくなりすぎないように重点的に練習しました。
──松村さんは、声がすごく透き通るような美しさですよね。まこちゃんというと長身の怪力キャラだけど実は家庭的、というイメージが一般的だと思いますが、松村さんのジュピターは、女らしさや乙女感が際立って表現されていると感じました。
松村 わー、うれしいです! まこちゃんはかわいらしいところとカッコいいところ、その2つが両立してるのが魅力だと思ってたので、そこを演じられるように原作とアニメを見直して。ジュピターは役柄的に殺陣が激し目なんですが、私は最初明らかに弱そうだったんです(笑)。
小林 パンチしたら、腕のほうが折れちゃいそうだった(笑)。
前川 みんなで枕を持って、「ここを殴ってみて!」ってやってました。
松村 みんなから「肩からパンチしたほうがいい」とかいろいろアドバイスをもらって、鏡の前で何度も確認して「カッコよく、強く見えるように!」と意識しましたね。セーラージュピターは立ち姿もカッコいいので、シルエットだけでもセーラージュピターってわかるように演じたいと思ってて。
牧野 私は原作とアニメを観て、私自身も美奈子ちゃんと同じでけっこう明るいなって気付いて。
小林 役と一番近い気がします。
牧野 今までアイドル活動をしてて、本当に美奈子ちゃんみたいな感じでステージに立ってたんです。ファンの皆さんに「セーラーヴィーナス役に決まりました」と報告したときも「まんまだね」って言ってくれる方が多くて。だから演技をするというよりは、美奈子ちゃんと私が重なる部分をうまく見せられたらいいなってがんばりました。
小林 真鈴ちゃんも美奈子ちゃんと同じくリーダーっぽいんですよ。まとめてくれる。
牧野 違うの違うの!(笑) 今まではリーダーっぽくなくて。ずっとふざけてるタイプで、どっちかっていうと歌音ちゃんみたいな感じだったんだけど。
前川 え、私は前のグループでリーダーしてたよ!
牧野 あはは(笑)。美奈子ちゃんがリーダーだったから、そういうカッコいいところも身に付けなきゃなって思ってリーダーっぽくしたの。
前川 外部戦士の皆さんとコミュニケーション取るときとか、お芝居のことで話し合うときとかも私たちのことをまとめてくれて、本当にリーダーだったよ。
牧野 リーダーになれてたみたいです(笑)。
小林 舞台の袖ではずっとしゃべってるよね。
田中 緊張すると口数が多くなるんだよね。
牧野 違う違う、みんなの緊張をほぐそうと思って!
田中 「私は大丈夫! みんなも大丈夫! OK!」ってね(笑)。
脚本・演出の三浦香は“愛のある体育会系”
──これまでセラミューの演出補佐を手がけていた三浦香さんが、今回の「かぐや姫の恋人」から脚本・演出として指揮を執られました。三浦さんはTwitterで「細すぎて戦えんのか?結果ボール投げて声出すところからハジマリ。…強くなったなぁ」と感慨深そうに書いていますが、三浦さんと一緒に舞台を作り上げていく過程はいかがでしたか?
小林 愛のある体育会系でした(笑)。稽古の最初のときも、私たちが弱そうすぎるからって思いっきりボールを投げて声を出すとか、とにかく走るとか、運動部みたいなことをしてましたね。
前川 香さんに「そんなんじゃ敵に負けるぞ!」って言われながら(笑)。
牧野 舞台での演技の前に、まずは立ち姿や目線で戦士の強さを出せないといけないって、体づくりから始まったんです。本当に私たちのことを思ってやってくれてるんだなと感じました。
田中 香さん、私が稽古中に喉を壊してしまったときにはコソッと「これ、喉にいい飴だから」って袋ごとくれたり。
松村 エネルギー系のゼリーを3つ、私の椅子に置いてくれたり。
田中 そういうふうにツンデレな感じで来てくれるから「香さん……‼︎」ってなっちゃう(笑)。
小林 千秋楽には全員に、プレゼントと手紙をくれたんです。しかも手紙には各キャラのイメージカラーのシールを貼ってくださってて。
田中 香さんがシールを貼ってる姿を思い浮かべると本当に愛しくてね。
牧野 香さんが私に「ここがダメだったよ」と言ってくれようとしてたんですけど、聞くのが怖くて逃げ回っちゃったことがあって。そしたら香さんから「私のこと嫌いなんでしょ」って言われちゃって、それが悲しくて……! 「嫌いじゃないのにい!」「本当に好きなんですう!」ってめっちゃ泣いた(笑)。
一同 あったねー!(笑)
牧野 その後「真鈴が泣いてるのは私のせいじゃありません」ってホワイトボードに貼ってありました(笑)。
小林 そんな感じで、香さんにも振り付けの(當間)里美さんにも鍛えていただきましたね。
田中 歌唱指導の市川祐子さんにも。すごく優しいんですが、ニコニコしながら「不協和音だね」「もっとがんばろうね」って。でも最後にはお手紙をくださって、愛で包んでもらいました。本当に皆さんのおかげで舞台に立てたんです。
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