劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」キャラクターソング集 Eternal Collection 今千秋(監督)×月蝕會議(「Moon Effect」作詞・作曲・編曲)|テーマは愛・夢・希望! エターナルセーラー10戦士のキャラソン「Moon Effect」の魅力と誕生秘話に迫る

「君に会いたいな でもこの夢叶えるまでは」は
ちびうさに歌わせたかった

エンドウ. 実は僕たち、楽曲と映像が組み合わさった状態で完パケしたものをまだ観ていないんですよ。

 スタッフさんが用意してくれたので、ぜひ今一緒に観ましょう!

(クライマックスシーンを視聴)

一同 はあー……! これは、素晴らしい!(拍手)

エンドウ. 音だけではなく絵と一緒に観ないと意味ないってくらいのシーンになってますね。感動しちゃいました。やってきたことが全部報われたなって。

タクヤ 歌が入っているから、セリフとぶつからないだろうか、実際どうなるんだろうって心配だったんです。でも物語を支えるようにうまく溶け込んでいましたね。本当によかった。

月蝕會議・Billy(G)

Billy 曲の構成、バッチリでしたね。曲とセリフのバランスをミキサーさんが調整してくださったんだなって。ありがたいです。

 よかったです! このラストシーンは本当に難しくて。展開がめまぐるしいんですよね。ドレス姿になったり、10人が一気に変身したり……アニメーターの負担も大きくて、正直アニメ化するの難しいなあって思ってたんですけど、もう力技でいくしかないなって(笑)。そこをこの1曲が素敵な感じでまとめてくれたと思っています。

タクヤ 今回の映画は戦士1人ひとりにフォーカスするシーンがあるじゃないですか。全員のエピソードを追ってきて、クライマックスで10人が揃った歌を聴けるというのは、けっこう感慨深いものがありますね。1人で歌うのとはまた違う、みんながそこにいるんだっていうのがいい。息が詰まるというか、もう無呼吸状態で見入ってしまいました。

──エターナルセーラー10戦士の歌割りはどのように決めたんでしょうか?

エンドウ. 最初に僕らのほうで音域をイメージして割り振ったんですけど、その後で作品の方向性とか内容に添うよう、監督に赤を入れていただきました。

タクヤ めちゃくちゃ入り組んでるんですよ、歌割り(笑)。

劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」場面カット

 1番は5戦士でまとめて、2番から外部戦士のソロを入れていって。ムーンをどう振ろうか、けっこう悩みました。あとはちびうさとサターン、プルートとサターンというように、縁が深いところを組み合わせたり。

──監督的に「このワードは絶対この人に歌ってほしい」とか、こだわった部分はありましたか。

 「君に会いたいな でもこの夢叶えるまでは」というところは、ちびうさに歌ってほしいと思いましたね。

ウラヌス役・皆川純子からの提案

──ちびうさの恋と成長は今回の映画の軸でもありますからね。しかし人数も多いし、皆さん人気声優さんなので、さぞかしレコーディングも大変だったと思いますが……。

エンドウ. はい。まず、全員のスケジュールを合わせるのが大変で(笑)。曲自体は早くにできあがっていたんですけど、歌が全然乗せられなくて。

月蝕會議・楠瀬タクヤ(Dr)

タクヤ 一番手が皆川純子さんだったんですけど、そこで「ウラヌスのキャラにはこの音域は高いと思う」ってご提案をいただいて、1オクターブ下で歌っていただくことにしたんです。

エンドウ. キャラクターの声で歌っていただくわけですけど、実際にそのキャラクターをどこまでの音域なら再現できるかは毎回ご本人との相談で。ただそれによってほかの方のキーを変えることはできないので、そこは難しかったですね。皆川さんに歌っていただいたらアクセントとしても面白いなと思ったので、ご提案通りに1オクターブ下げていくことにしました。

 「Crystal」の3期(アニメ「『美少女戦士セーラームーンCrystal』<デス・バスターズ>編」)のエンディングテーマ「eternal eternity」はウラヌスとネプチューンが2人で歌ってたんですけど、そのときも皆川さんが1オクターブ下で歌ってましたね。今回のは、ハモってもらうのもアリでしたかね?

エンドウ. 確かにその手もありましたね。じゃあ次回はハモっていただきましょう(笑)。皆川さんの後もどんどん録り進めていったんですけどなかなか全貌が見えなくて、7人くらい録ったところで「おお、なんだか見えてきたぞ!」という感覚がありました。録り漏れがないか何重にもチェックしながらやって。実際漏れがあったりもしたんですけど(笑)。最後、小清水(亜美)さんを録り終えたときは、「終わったー!」って感慨深かったです。

──声優さんたちとのレコーディングで、何か印象的だったエピソードなどもあれば伺いたいです。

月蝕會議・エンドウ.(G)

エンドウ. やっぱり歌の技術的な部分はさすがというか、皆さん全然問題なかったので、キャラクターとか雰囲気とかそのシーンとかにどうマッチするのかをディレクションしていた感じです。印象的だったのは、終盤の3サビで「これで最後なんで思いっきりお願いします」ってお伝えして録ったあと、さらに転調して4サビが来るので、「もう一段階上げてクライマックスお願いします」ってお願いしたら、皆さん「どこまで上げればいいの!」って言いつつ、かなりがんばってくれたことですかね。

タクヤ 「さっき最後って言ったじゃない!」って(笑)。4サビでエターナルに変身するんですよね。

エンドウ. 「勝ちを確信した感じでお願いします」ってリクエストしました。サビは全員で歌っているので、明るい感じでテンション上げて歌ってほしくて。

──4期ってシリアスなシーンが多い章で、映画も特に後編は全体的に緊張感があると思うんですけど、「Moon Effect」は曲調が明るいので、聴いているとエターナルセーラー10戦士が背中を押してくれてるような気持ちになりました。監督は初めて「Moon Effect」を聴いたとき、どんな感想を抱きましたか?

 当時作業の真っ只中で、一番しんどい時期だったのですが、デモをいただいて聴いた途端、ポロ……(涙)って。報われたというかなんというか、みんなありがとうございます! 私がんばります!! っていう気持ちになりました。

エンドウ. やったー!!

今千秋

 アフレコのとき、しょこたん(ダイアナ役の中川翔子)も、「挿入歌が入ってる! 熱いですね!」って言ってましたよ。セーラームーンを愛するしょこたんが言うんだから、熱いのに違いないです。1つだけ残念なポイントとしては、最後の「夢中で……Yeah!」ってムーンが歌っているところが、本編映像では聴こえにくいという。

タクヤ ブシューーッ! バシャーーッ!っていう効果音にかき消されちゃってますから(笑)。

エンドウ. ネヘレニアが断末魔の叫びを上げてましたしね。

 なので、そこはCDを買って聴いてください(笑)。

──キャラクターソング集のほかの楽曲はお聴きになりましたか?

エンドウ. まだしっかり聴けてないんですが、1曲目のムーンの曲「ETERNAL MYSTAR」からサーカスに誘ってくれる華やかな感じで、引き込まれましたね。

──ほかのキャラクターの楽曲もとても個性豊かになっているので、ぜひ楽しんでいただきたいです。ちなみに監督は、幼い頃からずっと「美少女戦士セーラームーン」シリーズがお好きだったということですが、何か印象的な楽曲はありますか?

 さっきも話題に出したんですけど、劇場版「美少女戦士セーラームーンR」の「Moon Revenge」ですね。あれは今でも自分の原点だな、と思います。心は常に「Moon Revenge」です!