TVアニメ「RE-MAIN」上村祐翔(清水みなと役)×西山宏太朗(岡栄太郎役)×木村昴(城島譲役)鼎談|水球経験者の西田征史総監督が自身の経験を生かして描き出すただの青春群像劇ではない新しい“水球アニメ”

毎週土曜日、テレビ朝日系全国24局ネットで放送中のTVアニメ「RE-MAIN」は、岡山県倉敷市を舞台に、廃部寸前の高校水球部で巻き起こる青春群像劇だ。コミックナタリーでは、TVアニメ「RE-MAIN」放送にあわせ、記憶を失くした元天才水球選手・清水みなと役の上村祐翔、みなとの熱烈なファンであり中学時代の後輩・岡栄太郎役の西山宏太朗、県立山南高校水球部の陽気なキャプテン・城島譲役の木村昴の鼎談を実施。水球経験者の西田征史総監督が自身の経験を活かし描き出した「RE-MAIN」の魅力を語りあってもらった。

取材・文 / サタケコズエ 撮影 / 武田和真

「RE-MAIN」

STORY

清水みなとは水球の天才プレイヤー。チームメイトとともに全国大会で優勝した中学3年の冬、その日応援に来ていた母の運転する車で帰宅する途中、事故に遭い意識不明の重体となる。それから203日。ようやく目を覚ましたみなとは中学時代のすべてを失っていた。人間関係や自分が何をしていたのかという記憶、そして鍛え上げた肉体も……。それから8カ月後、なんとか高校に進学したみなと。自分に憧れている元後輩・岡栄太郎もみなとを追って入学し、さらに廃部寸前の水球部のキャプテン・城島譲にも気付かれ、水球部入部を迫られるみなとだが……。

CHARACTER

清水みなと(CV:上村祐翔)

清水きよみずみなと(CV:上村祐翔)

事故で中学3年間の記憶を失った元天才水球選手。常に前向きで明るい性格。山南高校に進学し、栄太郎や譲に水球部入部を迫られる。

岡栄太郎(CV:西山宏太朗)

岡栄太郎おかえいたろう(CV:西山宏太朗)

みなとの中学時代の後輩で、熱狂的なファン。過去のみなとを知る人物。1歳年下だが山南高校に進学してみなとと同級生に。生真面目な性格だが、打算的な面もある。

城島譲(CV:木村昴)

城島譲じょうじまじょう(CV:木村昴)

みなとが入学した山南高校の陽気な水球部キャプテン。ドジなところもあるが、憎めないキャラクター。みなとを水球部に入れようとする。

清水みなと役上村祐翔×岡栄太郎役西山宏太朗×城島譲役木村昴鼎談

「RE-MAIN」のおかげで、水球の選手がどれだけすごいことをやっているのかを知れた(木村)

──「RE-MAIN」は水球をテーマにした作品ですが、皆さんは水球という競技はどれぐらいご存知でしたか?

木村昴 存在は知ってましたけど、あまり詳しくはないですね。「水中の格闘技」っていう印象です。

上村祐翔 そうですね。激しいスポーツのイメージはやっぱりあります。

西山宏太朗 あと体力勝負。

左から木村昴、上村祐翔、西山宏太朗。

木村 細かなルールとか、実際にどんなスポーツなのかはまったく知らなかったです。僕はてっきり(水中では)足が着いているんだと思っていたぐらい。でも競技の詳細を知れば知るほど、もともと激しいスポーツっていうイメージはあったけど、より激しいスポーツって認識に変わりましたね。

上村 はい、「RE-MAIN」に参加してから印象がガラッと変わりました。

木村 「RE-MAIN」のおかげで水球をやっている人たちが、どれだけすごいことをやっているのかということが知れたので。「水中の格闘技」って言葉に、改めて納得。

上村 アフレコの合間に、実際に水球の試合の映像を観させてもらって。選手の人たち、止まることなくずっと動いてて。

木村 マジですごい。

上村 浮いた状態のままずっと泳いでいるって、よく考えたらとんでもない体力だなって。水球の厳しさをより痛感しました。

西山 だからこそ現役の選手はもちろん、「RE-MAIN」に登場するキャラクターたちへのリスペクトがすごく湧いてきましたね。これを日々生活の中でやっているなんてすごすぎるし、率直にカッコいいなって思います。

「みなとをみんなから愛される主人公にしていこう」と話していた(上村)

──では作品についてもお伺いしていきたいのですが、「RE-MAIN」には個性豊かなキャラクターがたくさん出てきます。皆さんが演じるキャラクターの好きなところを教えてください。

TVアニメ「RE-MAIN」より。

上村 みなとは、なんとか高校に入学することができましたが中学校3年間の記憶を失くしてしまっているので、メンタルの部分ではまだ小学6年生のままなんですよね。だから、そういうあどけなさというか、観ている人にみなとがとてもかわいらしい印象になったらいいなと思いながら演じました。

木村 記憶を失ったことで、ちょっと天然っぽく見えるというか。周囲の人たちが想像するみなとと、みなとが自覚している自分とのギャップがある。でもその中で、めげることなく一生懸命みんながイメージして求める“みなと”に少しでも近付こうと奮闘するがんばり屋さんなところは、やっぱり応援したくなるよなあ。

上村祐翔

上村 西田さんとも「みなとをみんなから愛される主人公にしていこう」って話していたんです。彼はまっすぐでピュアで、とにかく優しい。

西山 わかる。優しいし、1話目で妹の明日海ちゃんの精神的な成長に気付けるところをみて、人の気持ちをちゃんと汲み取ることもできる人なんだろうなって感じました。

上村 みんなのことをよく見ている子なんですよ。ほかにもそういう描写がいっぱい出てくるけど、そのあたたかくてかわいらしい部分を見つけるたびに、みなとのことを好きだなって思います。

西山 他人の意見をすぐに跳ね除けないで、受け入れる部分もいいところだよね。

木村 みなとにならついていけるというか、一緒についていった先にはいい未来が待っているんだろうなって思わせる安心感も“主人公!”って感じ。みなとのこと知ったらみんな絶対好きになっちゃうでしょ。

上村 栄太郎は、見ていて気持ちいいぐらいに水球への思いが前向き。それがかわいさでもあり、一種の狂気を感じるところでもある(笑)。

TVアニメ「RE-MAIN」より。

一同 (笑)。

西山 まあ、みなとの熱烈なファンで全力で追いかけるキャラクターだから、なかなか圧がすごいですよね。

上村 1話でみなとに向かって走ってくる栄太郎はちょっと怖かったです(笑)。はりついたような笑顔のまま全力でやってくるので。でも、それだけ思いが強いんですよね。あと冷静にみんなの能力を分析したり、水球の知識をもとにアドバイスをしたり、自分の考えを持てるところもすごいと思います。

西山宏太朗

西山 栄ちゃんはかわいいんですよ。自分の知っている知識を自慢しちゃうというか(笑)、そういう一面もあって。みんなが水球のことやプールのことについて知らないときにもさり気なく補足してあげたり。そういうところが3話以降でもけっこう出てくるけど、そこがクセになって好きなところでもある。

上村 なかなか一言では言い切れないから、もっと知りたくなるキャラクターですね。

木村 僕も、栄ちゃんが持つ愛の重さが魅力だと思う。つまりは好きなことにまっすぐってことですから。「水球が好き! みなと先輩が好き!!」って猛進している姿を見ると、自分もちょっと見習いたいなって思わせてくれる。でもなんか最近、スタジオの中でも西山くんから栄ちゃんみたいな雰囲気がだんだん出てきてない?

西山 そうですか?(笑)

木村 愛の重さが、(西山から)栄ちゃんと重なる部分が出てきたなと。みなとを「せんぱーい♪」って持ち上げるときみたいに、いい感じにいつもスタジオでみんなをあげてくれるじゃん。

上村 確かに。一緒にいるとなんだかいい気分になります。「今日、僕の声ちょっと調子いい感じかも」とか。

西山 調子が悪くなったとかじゃなくてよかった(笑)。

譲は「なんだかほっとけない人」(西山)

西山 昴さんは、城島譲のどんなところが好きですか?

木村 譲はですね、彼の見た目や話す言葉からにじみ出る、とにかくポジティブで前向きで、明るくて元気なところが魅力のひとつだと思う。だけど、3話以降で明るいだけじゃない譲もたくさん出てくるんですよ。明るい面の裏にある彼の葛藤とか、失ったものとかもあって、そのコントラストが、譲の人間くささというか人間らしいもうひとつの魅力なんじゃないかと。

TVアニメ「RE-MAIN」より。

上村 僕も譲の見たまんまのポジティブな雰囲気もありつつ、垣間見える「水球なめんなよ!」っていう、水球をやっていることへの意地や、水球への思いがちゃんとあるんだぞっていうところが好きです。みなとがいるクラスに部活勧誘に来たときも、「マイナーかメジャーかで部活決めねえで、やりたいかどうかで決めろよ」って言うシーンがあったけど、それまで見せていたあっけらかんとした様子からは想像もできない芯のある言葉で。決して嫌味とかじゃないんですよ。

西山 なんだかほっとけない人、って感じしません? まわりを引っ張って1歩目を踏み出す力はあるんだけれど、2歩目を考えていないというか。みんなはその1歩目を踏むのが苦手だけど、譲が1歩目を踏み込んでくれるからついていけるし、2歩目はみんなで支えたくなる、そのほっとけなさを持っている。どうにかして助けてあげたい。

上村 譲がいると安心するというか、「やっぱり水球部のキャプテンはこの人! この人がいないとはじまらない」っていうのは思い知らされますね。存在感の大きさにいつもほっとしてます。

木村昴

木村 まじめなシーンでギャグを言ってみんなほっこり和やかにしてくれるってところや、空気読めるところがすごく彼のいいところでもあるしね。

西山 あとなんか憎めない。空気を読んだうえでその場の空気をいい感じに崩してくれるからある意味ムードメーカーにもなっているし、色気にもつながっている気がする。

上村 飄々とした余裕のある感じが色っぽさになっているのかも。

木村 なるほどなるほど。みんなの意見面白いね。