水球選手の方に再現してもらっている動画を西田さんが撮っているんです(上村)
──皆さん一緒に収録される機会もあるそうですが、アフレコでかけあいをするときに気を付けていたことはありますか?
西山 「RE-MAIN」ってけっこう「あっ」とか「えっ」とか気付きの演技が多くて、言葉自体は同じだからこそ、一緒にアフレコができるとニュアンスの差をつけやすいですね。特に1、2話では、栄太郎と譲が一緒にあわせてリアクションするシーンが多くて。ここはコミカルにいったらいいのかとか、それともシリアスにいったほうがいいのかとか、そういうのは一緒に録れたからこそできたなと思います。
木村 昨今の収録って1人でやることや、少人数でやることが増えて、だんだん僕らの中でもそれが当たり前になってきちゃっている。かえって大人数でやるほうが慣れないなっていうのを僕は実感しているんです。でも、1人の収録は効率はいいけれどやっぱり相手のセリフ(のニュアンス)がわからないから、完成を観たときに「そんな感じだったなら、こうすればよかったな」ってことがいっぱいあるなと思うんですよね。
上村 まわりの雰囲気がコミカルなのか、それともシリアスなのか。どういう温度感で行くべきなのかとかの判断は、ほかの共演者がいないと本当に難しいです。だから、キャストの皆さんが同じ空間にいるってことは、本当に心強いことで、一緒に演技をすることができるありがたみはすごく感じています。
木村 ありがたかったなあ。
西山 ありがたかったですね。
──西田総監督は水球の経験者だとお聞きしましたが、水球のシーンなどで特別なディレクションを受けることはありましたか?
木村 水球の練習のシーンで、巻き足の場面では水の中でどうなっているのかなど、事細かに状況を教えてくれます。「水球する前のストレッチではみんなこういう感じ」とか「このシーンはこんな格好をしているから、息遣いはこんな感じで」とか、「プールの壁は蹴れないからターンをするときはこうね」とか、西田さんが身振り手振りで説明をしてくれるから想像しやすい。どうしてもアフレコの段階では、映像が完成してないときもありますから。西田さんが経験者ならではの説明をしてくれるのはとても助かります。
上村 動きがわかりにくいシーンでは、実写の映像も一緒に出してくれるんですが、それを撮影しているのが西田さんなんですよね。
西山 そうそう。
上村 どんなアクションをしているのかわかるように、水球選手の方に再現してもらっている動画がアフレコ用の映像に使われていたりするんです。
木村 わざわざこの作品のために撮ってきてるんだよね。アニメとまったく同じ動き、同じ角度で。めちゃくちゃわかりやすい!
ほら、水の抵抗って水球をやってるから気になるじゃないですか?(木村)
──もしアフレコ中の裏話があれば教えてください。
木村 裏話としては、毎回差し入れをいただくけど、その差し入れが鬼ほどうまい!
上村 確かに、毎回超絶うまいですよね(笑)。
木村 みんなで差し入れを食べながら、その日の収録の感想を伝えあって和気あいあいとすることでさらに絆も深まるから、差し入れの力マジでスゴイ!
西山 そういえば、昴さん、差し入れのドーナツ食べて声ガラガラになってました。ノドの水分、全部ドーナツに持ってかれて(笑)。
木村 って、食べ物以外のエピソード誰かないの?
上村 えっと……(笑)。
西山 あ、あります! 昴さんが現場で紅茶を飲まれていて、その紅茶のティーバッグを出していたんですね。カップから、ちょっとゆらして色を出していて。そのティーバッグがくるくるくるって回っているのを、真顔でじっと見てたんですよ。その様子がちょっと怖かったです(笑)。
木村 ああ、あれね。ってよく見てんなあ(笑)。
西山 いや、視界に入ってくるんですよ(笑)。フッて見たら、ずっとくるくる回っているティーバッグを死んだ目で見てるんですもん。
木村 いや、死んでない死んでない。ティーバッグってどのスピードまで回せんのかなって気になってたの!
西山 あれ、実験中だったんだ!?
木村 そう! 事前に糸の部分をむちゃくちゃねじって。それを、持ち上げたらギューって回りだすから、どのスピードまでいけるのかなって。ほら、水の抵抗って水球をやってるから気になるじゃないですか?
一同 (笑)。
西山 ちゃんと水球につなげてきた!(笑)
上村 すばらしい!(笑)
木村 水の中から手を出してボールを投げるシーンがアニメにあって、譲はキーパーじゃん? 水から飛び出して、むちゃくちゃ水の抵抗があるうえに、蹴る地面がないってどういうこと!?って思って。ちょうどお茶を飲んでいたらティーバッグが回りだして、空中だとめっちゃ早く回るんだけど、やっぱり水の中につけると止まるんだよ。この水の抵抗ってすごいなと。じゃあどこまでねじったらいけんのかなって。
上村 身の回りのものからそうやって考えられるのって、すごいですね。さすがキャプテン!
木村 だろ?(笑)
上村 (笑)。あ、僕もエピソード思い出しました。たぶん2話目の収録の頃だったと思うんですけど、確か昴さんも一緒だったと思います。ちぬがとにかくかわいいって話をしていたときがあったじゃないですか。
木村 (畠中)祐ちゃんと?
上村 そう。祐がちぬのかわいさを熱っぽく話し出したら、よくわからないノイズがずっとマイクに入っていて、収録が一時中断になって。
木村 あったね。セリフではないその音のことを僕らは「ノイズ」って言うんですけれど、誰も出していないような音がずっとマイクで拾われていて。僕ら全員黙ってるのに音がなぜか入っているっていう。あれは(畠中の)トキメキの音だったんじゃないかな。
一同 (笑)。
木村 僕はアニメのキャラクターに「うわっ!かわいい!!」って思うことってあまりないんですけど、「ちぬちゃんはかわいいよね」って言ったら、「僕もそう思うっす!!」って畠中くんが急に入ってきて。
上村 あのとき祐の様子が急におかしくなったんですよね(笑)。
木村 するとちょうど機械も止まったのよ。
上村 タイミングよすぎました(笑)。僕らの雑念みたいなものが、ノイズになっちゃったみたいな。不思議な時間でしたね。思いが強すぎて……。
木村 「RE-MAIN」にかける思いがね、これで明らかになったんじゃないでしょうか!
西山 いや、明らかになったの下心ですから(笑)。
お父さんの髭はやっぱり気になりますよね(西山)
──さて、「RE-MAIN」にかける思いが明らかになったところで(笑)、6月13日に実施された先行上映会で完成したアニメを初めてご覧になったと思うのですが、そのときの感想を教えてください。
西山 アフレコの段階でも1話目には絵がほとんど入っていましたけど、音楽とかアニメーションの動きなどもブラッシュアップされていて、すごくキレイだなって思いました。
上村 そうそう!
西山 臨場感が違ったよね。
上村 音や間の入り方が、自分達が収録したときよりもより印象的になっていました。さらにドラマチックな感じがして。それはやっぱりこれまで西田さんがいろんなところで培ってきた経験が活かされているんだろうなって感じました。
西山 映画みたいだったよね。
木村 僕は音楽が入らないで静かに描かれているシーンも、際立っていて惹きつけられたなあ。
上村 事故の場面でクラシックがバンバン流れていたり、小6の回想シーンでは「ふぉんふぉわんふぉわん」ってゆるめのBGMが流れていたりするけど、急に静かに会話の部分を聞かせるとか、その緩急がすごくて。でも、改めて完成したものを観ると、自分たちが思い描いていたものを、さらにもう一段階あげて映像化してくださったという印象がありました。
木村 一緒に収録できたグループ以外の人たちの演技がどうなっているのかなって思っていたんだけど、完成すると全体が見渡せるから、観ていてワクワクしましたね。西田さんが上映会で「もう少しブラッシュアップするのでオンエア楽しみにしていてください」って言ってた部分が、どんなふうに進化していくのか、さらに楽しみになりました。
上村 (先行上映会では)1、2話続けて、しかもOPとかEDがほぼ無い状態だったから、一瞬どこから2話目が始まったのかわからなかったです(笑)。
木村 一瞬、ちぬちゃんがみなとに2回続けてほっぺにチューしたなって思ったもん。
一同 (笑)。
木村 あとはやっぱりみなとのお父さんの髭でしょ。
西山 お父さんの髭はやっぱり気になりますよね(笑)。すごい髭多いですよね。
上村 みなとは将来、毛深くなるのかな?
木村 きっと何か(西田さんの)思惑があるはずだから。例えばシンプルに西田さんのお父様がそうだったとかなのかとか。いやでも、やっぱり物語の伏線という可能性も。そこは西田さんだからさ。
上村 そうですね。上映会をしてみて、西田さんがどこまで伏線を貼っていて、どこまで隠し球を持っているのかも気になっちゃいましたし。
西山 最終話まで録ってないから、僕たちもまだわからない。最終話で、お父さんの髭が物語のキーポイントになるかもしれないし……。
木村 でもお父さんの髭ってさ……。
西山 一旦離れません? お父さんの髭から(笑)。
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絆を深めていく過程を、ぜひとも忘れずに(木村)