バッドエンドが好きなんです（将良）

将良　あんまりマンガ的なキャラクターになりすぎない、身近に「こういう人いるよね」って共感してもらえる人物を作りたいなと思っています。とりあえず性格を対照的にさせることを前提に、授業中もうるさい男子と、委員長とかやっててちょっと出しゃばりな女の子という、クラスに1人はいそうなキャラを主人公にしました。

えのきづ　男の子はみんないい子ですよね。そのあたり、「琴浦さん」も同じような構成で親近感を覚えたんですよ。女の子が色々悩んでてて、男の子がしっかりしてるという。

将良　そこは異性だから理想的な感じに描いてるんですかね。女の人は裏表あるからな……。

えのきづ　実感のこもった発言ですね（笑）。

将良　でも作者の主観が入らないようにはしたいなとは思っているんです。私すぐドロドロした話を考えがちなので、油断するとついカラッとした元気なキャラまで思い悩ませたりしてしまうので。

えのきづ　将良先生はシリアスが得意なんですか。

将良　どうしても暗いものばっかり考えちゃいますね。私バッドエンドがすごい好きなんです（笑）。野島伸司さんのドラマとか、ここまで落とすかっていうようなドラマを見て育ってきたことが影響してると思うんですけど。

えのきづ　そうなんですか、大丈夫ですかね佑太と結依は（笑）。私はバッドエンドダメなんですよ。1週間ぐらい立ち直れなくなるんで。

将良　それがいいみたいで。後を引くというか、もやもやが残るのがよしみたいな（笑）。佑太と結依の今後は、自主制作で私のサイトで公開しているものとどんどん変わっていくかもしれませんね。

ペンネームが男性名なのは作品と関係が？（えのきづ）

えのきづ　真逆ですね。私は読み終わったらもう忘れてもらっていいという考えですから。「ああ面白かった」で終わり、ぐらいのマンガを目指してるんです。

将良　その割には「琴浦さん」も重い展開がありますよね（笑）。

えのきづ　そうなんですけどね。シリアスは無理やり入れてるんですよ。ちょっとここんとこギャグばっかり続いたから、違う方向にも盛り上げなきゃ、みたいな強迫観念に駆られて。緩急を付けるというか。

将良　じゃシリアスを描くのは結構苦労されてるんですか？

えのきづ　そうですね、ギャグ描きたいなーとか思いながらやってますね。これ4コマなんで、シリアスな展開になるとどうしてもオチをつけられないコマがずーっと続くんですよ。それがギャグ畑の人間としては「こんなものを描いていいんだろうか」と胸が苦しくて。

将良　意外な舞台裏が知れました（笑）。

えのきづ　ところで将良先生はペンネームが男性名ですけど、何か理由があるんですか？

将良　深い意味はなくてですね、でも、ちょっと誤解されたら面白いなと思って。

えのきづ　そうなんですね。女性なのに男性名を使っているのも、作品と繋がるようなところがあって面白いなと思ったんですよ。

将良　あ、それ初めて言われました。それ今度、PRか何かで使わせてもらってもいいですか（笑）。えのきづ先生も性別が分かりづらい名前ですね。私、最初に「琴浦さん」を読んだとき、作者は女性なのかなと思ったんですよ。女の子の心理描写がたくさん出てくるじゃないですか。

えのきづ　昔はよく言われましたね。ちょっと少女マンガっぽいところもあったりするので。でも「思春期ビターチェンジ」を読んで、将良先生にお会いしてやっぱり本当の女性には敵わないなと思いました。男の子と女の子の心情をうまく描かれていて。そこは私も見習わなきゃなと反省しながら読んでました（笑）。

将良　そんなそんな、恐れ多いです。

──まだまだ共感トークをお聞きしていたいのですが、残念ながらお時間が来てしまいました。最後にそれぞれ新年の目標をお聞きして締めくくりたいと思います。

将良　えのきづ先生、今日はありがとうございました。2014年も、「思春期ビターチェンジ」を1話でも長く描けるように頑張ります。

えのきづ　こちらこそありがとうございました。とりあえず私はマンガ家として生き残っていけるように頑張らないと……読者の皆さん、よろしくお願いします！（笑）