コミックナタリー PowerPush - 将良「思春期ビターチェンジ」

“長期型”男女入れ替わりドラマ 作者×えのきづのWEB作家共感対談

数ある男女入れ替わり作品の中でも、心と体がもとに戻らないまま歳を重ねる“長期戦”を描き注目を集めるのが、将良(まさよし)の「思春期ビターチェンジ」だ。WEBマンガサイト・COMICポラリスで連載されており、その単行本レーベルであるポラリスCOMICSより1月15日に第2巻が発売される。

コミックナタリーでは2巻の発売を記念し、将良と「琴浦さん」で知られるえのきづの対談をセッティングした。WEB発マンガ家の“先輩×後輩”による共感トークをお楽しみいただきたい。

取材・文・撮影/井上潤哉

WEBマンガを始めたきっかけがまったく一緒(えのきづ)

──今日は将良さんと、将良さんにとってWEBマンガ界の先輩にあたるえのきづさんにご登場いただきました。お二方とも個人サイトで描き始めたマンガが評価を集め、その作品ごと商業媒体へ移ったという共通の経歴をお持ちです。お互い、WEBマンガはどのような経緯で始められたのでしょうか。

写真左からえのきづ、将良。

将良 小さい頃から絵を描いたりマンガを描いたりっていうのが好きだったので、最初はアナログでノートに描くところから始まったんですけど、WEBに載せるようになったのは、パソコンとインターネットを手に入れて自分のホームページを持ったことがきっかけですね。マンガ家に憧れつつも目指すところまではいってなかったので、オリジナル作品をみんなに見てもらおうとマンガやイラストを載せ始めました。

えのきづ もう、私もまったく同じですね(笑)。私もプロになる意識なんてまったくなくて。はじめは趣味としてマンガの腕を上げたくて、同人イベントに出展したりしてたんですよ。でもイベントって年に数回しかないんで、あんまり描く練習にならない。で、イベントとは関係なく個人的に描き溜めてたんですけど、せっかくなんでそれをWEBに公開したっていう流れですね。将良先生は公開してから、どのぐらいで反響がありました?

将良 反響は割とすぐにいただけた気がします。WEB拍手だったり、メールフォームからの感想だったり。数人ではありましたけどね。0時に1日1ページ更新というのを目標にやってたんですけど、朝方になるとすでにコメントが付いたりして。そういうダイレクトな反応が楽しかったですね。

えのきづ 私は反響を感じたのは1年ぐらいしてからだったかな。最初は数人しか見てなくて、それもこれ、全部知り合いだなみたいな(笑)。でも毎日更新だったり、WEBマンガはそういう細かい動きが読者を引き付ける要素なんですよね。だから私も4コマを始めたのは、無理なく更新できるからっていう理由があって。

このコマ割りは初めて見ました(えのきづ)

「思春期ビターチェンジ」1巻より。

将良 読者が付いてきてくれるようにシンプルなコマ割りにしたくて、4コマならぬ5コマという形で統一しました。それに始めた当時のWEBマンガはまだ縦スクロールが主流で。

えのきづ はいはい、今みたいに擬似的にめくって読むビューアはまだなかったんですね。

将良 1枚の絵でマンガを読ませるとなると縦スクロールだったので、その名残ですね。

えのきづ 読みやすさを追求した形がこのコマ割りだったという。5コマという割り方は初めて見る形式だったんで、新鮮でした。

将良 4コマにすると、4コマ目で絶対オチを付けなきゃいけないっていうイメージがあったので、それは避けたいなと。でもあんまりコマを細かく割りすぎてもひとコマが横長になりすぎちゃうので。

えのきづ そういう理由からなんですね。

将良 ただ全身がなかなか描けないので、構図には毎回苦労してます。かと言って普通にコマを割るのはちょっと大変なので、今のままがいいんですが(笑)。一度普通のマンガみたいにコマを割って1話作ってみたこともあったんですよ。でも担当さんと読み比べてみて、5コマ割が案外気にならない、「むしろ、このままのほうがテンポいいね」という話になって。

えのきづ ええ、今どきは割と大丈夫だと思いますよ。みんなすぐ慣れちゃいますから。

将良 そうみたいですね。単行本の表紙が普通のストーリーマンガ風なので、開いた瞬間がっかりされないかなっていうのは結構心配したんですけど、読者さんはまったく気にせず読んでくれてるみたいです。

「思春期ビターチェンジ」カット

えのきづ むしろ今、若い子の中にはちゃんとしたコマ割りだと読みづらいとか、読めないっていう人もいるんで。逆にこういう形のほうがいいかもしれないですね。

将良 ちなみにえのきづ先生は今、フルデジタルで描かれてますか?

えのきづ はい、紙はまったく使わないです。描き直したくないんで(笑)。コミスタ(ComicStudio)がなければ、多分今マンガ描いてないですね。

将良 私もアナログしかなかったら、描けなかったと思います。

ポラリスCOMICS
えのきづ

WEBコミック[COMICポラリス]発の単行本レーベル。2013年10月創刊。
「男子が読んでも面白い」作品を毎月15日刊行中。

将良「思春期ビターチェンジ」2巻 / 1月15日発売 / 630円 / ほるぷ出版
将良「思春期ビターチェンジ」2巻
あらすじ

入れ替わって1000日──。
小学生の時に心と身体が入れ替わってしまった、ユイとユウタ。気が付けば、入れ替わり生活も3年目。友情、家族……そして、恋。お互いの心や身体の変化が、切ない季節を加速させて──?

将良(まさよし)
将良

2月24日生まれ、神奈川県出身。2011年2月より、自身のサイトにて「ちぇんじ」の発表を始める。2012年11月からは同作をベースにした「思春期ビターチェンジ」を、WEBマンガサイト・COMICポラリスにて連載開始。

えのきづ
えのきづ

2010年、マイクロマガジン刊の「琴浦さん」で商業デビュー。「琴浦さん」はもともと自身のWEBサイトに掲載していた作品だったが、マンガ投稿サイト・マンガごっちゃに連載を移し2013年にはTVアニメ化を果たす。そのほかまんがタイムジャンボ(芳文社刊)にて「桜乃さん迷走中!」、月刊アクション(双葉社)にて「アクレキ」、まんがくらぶ(竹書房)にて「トラロッコ」を連載中。