声優・大空直美がマンガの描き方を猛勉強!「大空直美 マンガ家への道」|企画裏はうれしい! 楽しい♫ カワイイ♡がいっぱい オリジナルグッズも受注販売スタート!

「大空直美 マンガ家への道」という連載企画が、月刊ドラゴンエイジ(KADOKAWA)の誌上で2021年6月号より展開されている。アニメ「宇崎ちゃんは遊びたい!」の宇崎花役などで知られる声優の大空直美が、マンガ家デビューを目指してマンガ作りを学んでいくという異色のコーナーだ。大空は連載を通じて、デジタルソフトでのイラスト執筆ができるように。また学んだことを生かして描き上げたイラストのいくつかが、今回グッズとして受注販売されることになった。

コミックナタリーでは大空にインタビューする機会を得て、彼女のマンガ執筆にかける思いを聞き、企画の背景に迫った。この企画が始まる前から機材を揃え、マンガに挑戦していたという大空。連載を重ねるうちに変わったマンガの読み方とは? 教えてもらって目からうろこだったことは。同時期に始めたファッションの勉強もグッズ制作に役立った! ここだけのトーク、そして今しか手に入らないオリジナルアイテムの数々お見逃しなく。

取材・文 / 鈴木俊介撮影 / 宮川朋久ヘアメイク / 八巻明子(e-mu)

「大空直美 マンガ家への道」とは?

「大空直美 マンガ家への道」第4回より。

月刊ドラゴンエイジ(KADOKAWA)で展開されている連載企画。アニメ「宇崎ちゃんは遊びたい!」の宇崎花役などで知られる声優の大空直美が、マンガ家デビューを目指してマンガ作りをイチから学んでいくコーナーだ。講師を担当するのは「かんどちゃんには触っちゃダメ!」の稲葉白。これまで大空は、ストーリーのネタ出しをする、キャラクターデザインを考える、デジタルソフトで扉絵用のカラーイラストを描いてみるといった授業に取り組んできた。

そして今回、デジタルソフトの扱い方を覚えた大空によるイラストの数々が、オリジナルグッズとなって登場! 彼女の思いがたっぷりと詰まった、ここだけのアイテムをお見逃しなく。

受付期間:2021年9月9日(木)10:00~10月15日(金)23:59
お届け時期:2021年12月初旬より順次出荷予定

大空直美インタビュー

マンガを描こうと机に向かっては、何度も挫折してきた

──「大空直美さんがマンガを描くってどういうこと?」と感じている読者もいると思うのですが、そもそも今回の企画はどんなきっかけでスタートしたのでしょうか。

ドラゴンエイジさんが、私がイラストを描くのが好きということを知ってくださっていて、「何か一緒に楽しいことをやりませんか?」と声をかけてくださったんです。私は、実はずっとマンガが描きたいと思っていたので、その最初の打ち合わせのときに「こういうマンガを描きたいと思ってるんですけど……」と企画書みたいなものを持ち込んで(笑)。担当さんも驚かれていましたが、じゃあそれを形にしましょうとおっしゃってくださって、始まった形です。

──最初のお声がけはドラゴンエイジさんからだったものの、マンガを描くという企画自体は大空さんの情熱から生まれたんですね。

もう、本当にずっと「マンガが描きたい!」と思っていたんです。でも独学でやるのはすごく難しくて、何度も挫折してきたので、これはいい機会かもしれないと思いました。

大空直美

──独学でマンガに挑戦したことはあるんですか?

何度か、画材屋さんでGペンと原稿用紙セットを買ってきて、“これでマンガ家になれる”みたいな本を参考に練習してみたりしたんですけど、コマ割りのやり方もよくわからないし、Gペンの使い方もヘタっぴで、結果的に原稿用紙を墨で汚しただけで終わりみたいな感じで……。ノートに鉛筆で描いてみようと思っても、こんなにたくさんマンガを読んでるのに、コマ割りさえうまくできない。やっぱりマンガ家さんってすごいんだな、簡単にはできないんだなと思いました。

──Gペンを買いに行かれたなんて、本気度が高いですね。今回も、この企画でデジタル作画に挑戦するにあたって、ペンタブなどの機材を一式揃えられたと聞いたんですが……。

デジタルに挑戦しようという気持ちは以前からあったんですよ。だからペンタブを買い、Macを買い、Photoshopを入れ……。で、がんばろうと思ったんですけど、やっぱり自分だけじゃわからない、できないって思ってたところに、ドラゴンエイジさんからお声をかけていただいて。もう……「渡りに船だぜ!」みたいな気持ちでした。今回の企画で、マンガを描くのにいいソフトだとクリスタ(CLIP STUDIO PAINT)を教えていただいて、機材の使い方から何から説明していただけたので、本当に感謝しています!

声優としての、お芝居へのアプローチにも変化が

──以前からマンガが描きたかったとおっしゃいましたが、そのお気持ちの部分を詳しくお聞きできますか。

子供の頃からマンガやアニメ、ゲームが大好きで、ずっとコンテンツを作る人になりたいと思っていて、大学も映像学部を選んだんです。特にマンガは、父がマンガ好きだったので、家の納戸にずらーっと父が集めたマンガがあって。それを好きに読める環境で育ったので、マンガを描く人には自然と憧れました。

──うらやましい環境です。子供の頃に愛読してた作品は?

鳥山明さんの「DRAGON BALL」とか。「DRAGON BALL」はベジータに恋までしてしまって……。

大空直美

──大空さんのベジータ愛は、ファンにはよく知られたところかと思いますが、じゃあベジータの絵を描いたりも?

あっ、してました! イラストは昔から好きだったので、ベジータの絵ばっかり描いてました。マンガが描けないからって、ベジータがタイムスリップするみたいな小説を書いたこともあります(笑)。初恋の相手がベジータで、のめりこんじゃって、なんで私はベジータに会えないんだろう、どうして生きている次元が違うんだろうと悲しくて泣いたことも……。

──そこまで(笑)。でも、創作することは幼少期からやられていたんですね。声優とマンガ家では創作へのアプローチがかなり違うと思いますが、両方に挑戦されてみて、それぞれの魅力や大変なところをどんなふうに感じていらっしゃいますか。

マンガはまだ、ようやくネームを描き始めている段階で、1本描き切ってすらいないので、知ったようなことは言えないんですけど、それでもやっぱり全然違うんだなって感じます。声優の場合は、原作付きのアニメであればマンガや小説の先生とか、オリジナル作品でも脚本の方がいて、キャラクターもすでに存在しているので、我々がやることは脚本や原作マンガを読んで、きっとこういう声に違いないとか、こういう考え方をしていて、こういうしゃべり方をするんじゃないかとか、肉付けしていく作業だと思うんです。解釈と想像力の世界ですね。そこに「もっとこういう解釈でお願いします」ってディレクションが入って、方向修正して。キャラクターの魂を担当しているという思いはもちろんありますが、キャラクターは私1人のものじゃなくて、作品作りのチームワークの中で、みんなで作り上げていくものだという感覚があるんです。だから読解力とか、解釈をアウトプットする表現力とか、そういうのが要になっている気がします。

──なるほど。

大空直美

マンガは、本当にゼロから、何も手がかりがない真っ暗闇の中から世界を生み出す作業ですよね。完成形もわからないし、ちゃんと頭の中にあるように完成するのかさえもわからないところから、1つひとつ組み立てていく作業なんだと思って、声優とはまったく別ものだなと感じます。アイデアを生み出し、あとは絵でお芝居もし、演出もし……。だから監督でもあり、演者でもありますよね。しかも連載を始めたら締切があって、限られた期日の中で完成させて、それで読者のみんなの心を掴んで。最強のエンターテイナーですよ。私は1話完成させるのにも苦労しているのに、世のマンガ家さんって本当にすごい方々なんだなって、改めて思いました。

──本気で挑戦してみているからこそ、偉大さが身にしみていらっしゃるというか。

そうですね。そして、マンガの読み方や、声優としてのお芝居へのアプローチの仕方にも、この企画を始めたことで影響があったと思います。行間を読むというか、1コマ1コマにはちゃんと意味があるということを感じて。このカットでは何を伝えたいんだろうとか、めちゃくちゃ深く読み込んで考えるようになりました。表情1つにも意味があって、その1コマを入れた意図がきっとちゃんとあるはずだって。これは描いてみたからこそ気付けたことかもしれません。

連載を重ねて、帯を締め直す気持ち

──「大空直美 マンガ家への道」の連載も第5回まで来ましたが、お話を伺っていると、企画が始まる前と今とでは、心境の変化もありますか?

ありますね、始める前は単純に、「よっしゃ、これでマンガが描けるようになるぞ!」「バリバリ描くぞ!」って思ってました(笑)。でもいざやってみると、プロットの段階でも驚かされることばかりで。編集さんと稲葉先生の話を聞いていると、“描きたいものを描く”ってだけじゃなくて、そこにプラスアルファして、読者の人にどう楽しんでもらうかということをすごく考えていらっしゃったんです。そのためにいろんな工夫をしたり、「これじゃ弱い」ってアイデアを練り直したり。プロの目線って本当にすごいんです。だから「バリバリ描くぞ」ってよりは、私は今すごいことに挑戦していて、完成に向かって丁寧にがんばらなきゃいけないぞって帯を締め直す気持ちです。

──技術だけでなく、そうした心構えの部分まで教わっているんですね。

技術のほうも、私は習得するスピードがなかなかゆっくりで。毎月宿題を出していただいて、そこに向かって1カ月間がんばって……という感じで進めているので、皆さんに毎月お時間を割いていただいて、本当にありがたいと思っています。

──宿題にはどんなものが?

例えばネームの授業をするので、まずはネームの1ページ目を自分で描いてみてくださいとか、扉絵用のカラーイラストを描くので、そのラフを描いてきてくださいとか。それを先生に見ていただいて、こうしたらもっとよくなるよってアドバイスをいただいてます。

左から、大空直美による線画、稲葉白によるアドバイス、アドバイスを受けて大空直美が修正した線画。

──稲葉さんから教わって驚いたこととか、アドバイスをもらったことですごくやりやすくなったことを1つ挙げるなら?

毎回たくさんの驚きがあります! キャラクターの身体の重心を考えることはとても勉強になりました。これまで顔を描くことは好きだったのですが、身体を描くのが難しいなと思っていて。椅子に座ってるポーズを描くにしても、最初に描いたラフのイラストだと、座っていても本当に棒立ちでした。人間って肘掛けに手をついたら腰もちょっと曲がるし、体の向きもちょっと変わる。光が当たる方向とか、体ってこうなるとか、絵にリアリティを持たせるためのアドバイスをたくさんいただいて、現実への観察力が大事なんだと思いました。

声優ならではの知識・経験を活かしたストーリーに

──大空さんが今取り組まれているマンガは、声優が異世界転生するストーリーだそうですね。

完成した扉ページ用イラスト。

ある雑誌の撮影で訪れたスタジオが、教室風の背景とか、ファンタジー世界風の背景とか、いろんな背景で写真が撮れる場所だったんです。そのときは学校のイメージでの撮影だったので、制服を着ていて、教室風の背景で撮影をしていたんですけど、部屋の一角に異世界っぽい空間があるのが目に留まって。魔王みたいな椅子があって、小道具として武器が置いてあったんです(笑)。休憩時間に、声優仲間とそこに座ったり、武器を持ったりして写真撮影をしていたら、どんどん楽しくなってきて。そのときに「もし今、私が異世界転生したらどうなるんだろう? 何かできることはあるのかな?」って考えて、「あっ、これをマンガにしたらどうだろう?」って思いついたんです。家に帰って、ワクワクしながらさっそく机に向かったんですけど、いざ描こうとしたら全然描けなくて……。仕方がないのでアイデアだけノートに書き溜めていました。

──以前から温めていたアイデアなんですね。異世界転生ものだとどんな作品がお好きですか?

「このすば(この素晴らしい世界に祝福を!)」が好きです。

──そうすると、大空さんが描かれる異世界転生ものも、ギャグ満載になるんでしょうか。

うーん、でもギャグはセンスが必要だから……! 「このすば」のギャグは素晴らしいですよね。ああいうテンポがよくて、クスッと笑えて、登場人物1人ひとりが愛おしくなるような作品、私の好みにピッタリで。主人公のカズマくんも、すごく人間らしくて好き。愛すべきキャラ、魅力的なキャラがいっぱいですよね。

──例えば冒険を描いてワクワクを感じてほしいのか、キャラクターのやり取りでクスッと笑ってほしいのか、大空さんが描くうえで大切にしたいと思うのはどんな部分ですか?

マンガ家さんってご自身の経験だったり、取材をして聞いた話だったり、そういうものを種に話を膨らませてマンガを描かれますよね。私の場合は声優っていう、ほかのマンガ家さんとは違う知識や経験があるので、せっかくなら自分の持っている知識とか、経験してきた声優あるあるみたいなものを、ちょっとコミカルにお届けしたら、みんなに私の経験したこととかを共有できたりして楽しいかなって思っています。あとは、異世界ファンタジーならではの非日常感みたいなものも盛り込んで、笑いやワクワクを届けられたらうれしいなと考えています。