映画「アウトレイジ 最終章」 PR

ヨネダコウが語る「アウトレイジ 最終章」|刮目して見よ、男たちのナルシシズムの極北を!

ヤクザ描写の魅力は、エンタメとしての暴力

──現実には、ヤクザは近くにいてほしくない存在ですが、フィクションになった途端に、人の心を捉えるものがあります。なぜこんなに、一般人がフィクションとしてのヤクザに惹かれるんでしょう。

「アウトレイジ 最終章」より。

普通のヤクザ映画なら「男同士の熱い情」「ヤクザとして生きるやるせなさ」とかって答えるかもしれませんが、「アウトレイジ」に関しては私は一番は、暴力だと思うんですよ。しちゃいけないこと、できないことだからこそ観たい。どれだけ酷いことをしてくれるんだろうと。ただ暴力を描くわけではなくて、世間話しながら相手を撃つようなクールさとコミカルな笑いを交えてくれる。例えば「アウトレイジ ビヨンド」では、加瀬亮さん演じる石原がバッティングマシーンによる殴打を受けて殺されたり。「あ、今回は野球がテーマなんだな」と(笑)。

──たしかに「アウトレイジ」の殺し方には、毎回テーマがあります。

暴力をエンタメとして面白く描けるのって、ヤクザだからだと思うんですよ。ほかのジャンルだと、ほんとにただの暴力になっちゃうし、誰を痛めつけるか、というところが大事になる。アウトレイジは基本全員「悪」として描いてくれてるから、誰がどんな目に遭ってもある意味心穏やかでいられますし、行為そのものをエンタメに昇華できるんじゃないかと。ヤクザの人間的な情や優しさをできるだけ排除してるところに潔さを感じます。

──ヤクザものだからこそ不条理が許されるんでしょうね。普通なら「なぜここで死ぬんだろう」と、理由を求めますから。

「アウトレイジ 最終章」より。

物語にはある程度プラスマイナスを求めたくなりますよね。例えば誰かが病気になったりして不幸になったら、同じくらい「いいこと」が起きなきゃ読後気分が晴れなかったり。だけどそれをしなくていいのが「アウトレイジ」。ほかのヤクザ映画、今までのヤクザ映画だと、ヤクザになるまでの不遇な幼少期や、仁義だとか、親子同士の心のつながりみたいなものを描くことで、そこを保ってきたと思うんです。でも「アウトレイジ」の場合、ぜんぶ不条理なんですよね。突き抜けて、誰にも共感させないで、エンタメとしての暴力とか、ヤクザ同士のやりとりの滑稽さを描いてるんだと思うんです。だから「ゴッドファーザー」ともまた違うし、「仁義なき戦い」なんか、対極くらいにあるんじゃないのかな。

「あ、淫乱の『受』だから『攻』はインポだ……!」

──同じく「ヤクザもの」である「囀る」では、主人公の矢代は、ヤクザの若頭で頭も切れる強い男ですが、「ドMで変態」「淫乱ネコ」「幹部の公衆便所」という強烈なキャラクターです。

「囀る鳥は羽ばたかない」1巻より。

「囀る」の序章にあたる「Don't Stay Gold」は、もともとヤンキーものを描こうと思って考えた話でした。だから最初は、影山と久我はヤンキーで。でも考えているうちに、影山は町医者にしようという話になり、そこに腐れ縁のヤクザとして矢代を登場させることになったんです。で、何か面白い形で描けないかなと思ったときに、矢代は「攻」っぽく見せといて実は「受」みたいな感じにしようと。言動はインテリヤクザっぽいのに実はネコ、ってちょっと面白いんじゃないかなと思って。

──なるほど。

その後、続きを描くことになり、この人の抱える矛盾を描くには、まずは高校時代の短編を描かなければ読者さんに理解してもらえないと思ったんですよね。単行本の収録順は1巻の最後にしちゃいましたけど。その後、連載の「囀る」が始まるんですが、あるとき、ふと「あ、淫乱の『受』だから『攻』はインポだ……!」と思いついて。すぐ編集さんに「淫乱の『受』には、インポです!」ってメールして。

──(笑)。

編集さんも「いいですねえ」と言ってくれたので、「じゃあ来月から描きます」って感じで連載を開始したんです。いきなりだったので、多分予告にも載ってなかったんじゃないかな(笑)。

「アウトレイジ 最終章」
2017年10月7日(土)全国ロードショー
「アウトレイジ 最終章」
ストーリー

元はヤクザの組長だった大友は、日本東西の二大勢力であった山王会と花菱会の巨大抗争のあと韓国に渡り、歓楽街を裏で仕切っていた。日本と韓国を股にかけるフィクサー張のもとで働き、部下の市川らとともに海辺で釣りをするなど、のんびりとした時を過ごしている大友。そんなある日、取引のため韓国に滞在していた花菱会の幹部・花田から、買った女が気に入らないとクレームが舞い込む。女を殴ったことで逆に大友から脅され大金を請求された花田は、事態を軽く見て側近たちに後始末を任せて帰国する。しかし花田の部下は金を払わず、大友が身を寄せる張会長のところの若い衆を殺害。激怒した大友は日本に戻ろうとするが、張の制止もあり、どうするか悩んでいた。一方、日本では過去の抗争で山王会を実質配下に収めた花菱会の中で権力闘争が密かに進行。前会長の娘婿で元証券マンの新会長・野村と、古参の幹部で若頭の西野が敵意を向け合い、それぞれに策略を巡らせていた。西野は張グループを敵に回した花田を利用し、覇権争いは張の襲撃にまで発展していく。危険が及ぶ張の身を案じた大友は、張への恩義に報いるため、そして山王会と花菱会の抗争の余波で殺された弟分・木村の仇を取るため日本に戻ることを決めるが……。

スタッフ

監督・脚本・編集:北野武
音楽:鈴木慶一

キャスト

大友:ビートたけし
西野:西田敏行
市川:大森南朋
花田:ピエール瀧
繁田:松重豊
野村:大杉漣
中田:塩見三省
李:白竜

白山:名高達男
五味:光石研
丸山:原田泰造
吉岡:池内博之
崔:津田寛治
張:金田時男
平山:中村育二
森島:岸部一徳

※「アウトレイジ 最終章」はR15+作品

ヨネダコウ「囀る鳥は羽ばたかない④」
発売中 / 大洋図書
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ヨネダコウ
ヨネダコウ
12月28日生まれ。2007年にデビュー。執筆作に「どうしても触れたくない」「囀る鳥は羽ばたかない」など多数。現在、ihr HertZ(大洋図書)にて「囀る鳥は羽ばたかない」、BE・BOY GOLD(リブレ)にて「レイニーデイズ、イエスタデイ」、イブニング(講談社)にて「Op -オプ- 夜明至の色のない日々」を連載中。「囀る鳥は羽ばたかない」5巻とファンブックが11月30日、「Op」1巻が2018年1月23日に発売。また画業10周年を迎え原画展などが催される。