コミックナタリー PowerPush - 種村有菜「猫と私の金曜日」
マーガレットで新境地!りぼん卒業後を語る
絵柄のルーツは楠桂先生
──種村先生がりぼん卒業を発表した記事を出したときは、大きな反響がありました。そのあたりのお話もお伺いできますか。
まあ卒業するくらいの歳ですので(笑)。もうりぼんで描きたいことはやり尽くした感もありましたし、ちょっと気分を変えて、違うステージで、違う読者さんにアピールしたかったんです。自分のマンガに変化をつけたかったですし。そんなに連載を増やしたいというわけではなかったんですが、やっぱりちょっと身軽になりたかったというのはあります。
──身軽に。
専属で描いていると、責任というものが結構重くて。雑誌を背負わなくてはなりませんし、無言のプレッシャーがずっと付きまとっているような感じで。そういうものから外れて、自分の好きなものだけを純粋に追い求めたかったというのはありますね。
──最近では同人活動も積極的にされてらっしゃいますね。
同人活動をきちんと始めるようになってから、仕事に関係のない落書きをするのもすごく楽しくなりました。絵を描くことが、前より好きになったというか。前は、仕事以外で絵を描くなんてことはなかったんです。嫌でも仕事で描けるし、それに仕事以外の絵を描きたくないというのもあって。描くなら仕事にしたかったんですね。でも同人活動を始めてから、もっと絵を描くのが楽しくなった。前はそんな楽しみ方できなかったので、始めてよかったなと思ってます。
──ちなみに種村先生がデビューされた当時、すごく新しい絵柄で「りぼんの異端児」とも呼ばれていました。先生の絵柄のルーツはどこにあるんでしょうか?
私、りぼんで好きな作家さんが楠桂先生だったんです。ああいうすっきりした絵が好みだったんですよ。その当時から、線のはっきりしたアニメ絵みたいな感じがかっこいい、おしゃれだと思っていたんです。なので、こういう絵になったのは楠先生の影響かな、と。でもデビューしたら「新しい」とか「りぼんの異端児だ」って言われたりして、「私は普通にりぼんで育ってきたのに!」って不思議でした(笑)。
できるだけ全部の過程を自分でやりたかった
──同人活動では、作詞と歌唱を担当したCD「純愛天使」もリリースされました。
最初の1枚目は、友達とワイワイ文化祭みたいなことをしたいなと思って、趣味で作っただけだったんです。今年3月に出した「Princess Tiara」は、レコード会社さんからお声がけをいただいて。もう一度同じスタッフでできるならと、チャレンジしました。
──「猫と私の金曜日」の曲も収録されていますね。マンガ家さんが作詞のみならず歌まで担当するのって、珍しいのでは。
もう、なんで歌ってるんだろうって感じですけど(笑)。いつかちゃんと声優さんに歌いなおしてほしいという願望もあります。
──ご自身で歌われたのは、どういう理由だったんでしょう。
できるだけ全部の過程を、自分でやりたかったんです。やっぱりマンガでも、例えばアニメ化とかされると、どうしても人が関わってくるものなので、人のものになっちゃうじゃないですか。ちょっと私の思ってたものとは違うな、というところがどうしても出てきちゃう。それはそれで楽しいんですけど、そこをなくしたものを1回作ってみたかったんです。人が歌うとニュアンスが変わってきたりするので。
──マンガ家気質ですね。
そうなんです。マンガ描きのいいところは最初から最後まで自分でできるところなので、それに慣れちゃってるんですね。
──歌は今後も続けていきたいですか?
いやー、もう充分ですね(笑)。でも機会があれば作詞は続けていきたいです!
「猫と私の金曜日」のテーマソングも!種村有菜が歌うCDアルバム「Princess Tiara」全曲試聴
愛にとって金曜日は特別な日。図書室で、大好きな芹沢先輩に会える日。そして猫太くん(いとこの小5)の家庭教師の日。大好きな先輩に告白しようとしたら、猫太くんに邪魔をされ……さらに本気で告白された!? 小学生男子、高1のオトメ女子、高2の先輩のマジ恋三角関係がはじまる!
種村有菜(たねむらありな)
1996年、りぼんオリジナル6月号(集英社)に掲載された「2番目の恋のかたち」でデビュー。1997年にはりぼんにて「イ・オ・ン」を初連載し、その後「神風怪盗ジャンヌ」が大ヒットを記録する。同作や「満月をさがして」はTVアニメ化もされた。詩的かつ印象的なセリフまわしや、こだわりのある美しい絵は、日本のみならず海外でも人気が高い。2011年にりぼんとの専属契約を終了し、フリーに。マーガレット(集英社)では2011年に「風男塾物語」を短期集中連載し、2013年2月より「猫と私の金曜日」をスタートさせた。