19歳のナルトは、息の仕方が変わった

──「THE LAST」は忍界大戦から2年後が舞台、ナルトは19歳です。竹内さんは子どものナルトから大人のナルトまですべて演じてこられたわけですが、演技で変えているところはありますか？

正直、声のトーンに関しては変えようがないので、途中からはそういうことを気にしすぎないようにしています。やっぱり身長が高くなってる分、男性ホルモンが増えてると思うし、声帯にどういう変化があるのかっていうのは考えるわけですよ。でも、さすがに私が19歳の男の声をやるのは無理がありますから、実際に演じる際にはそこばかりを気にするわけではなく。

──ええ。

私が自分の中にボイスチェンジャーを持っていれば、トーンを変えてから、そこで気持ちを込めたりするんでしょうけど、そのボイスチェンジャーに頼るんじゃなくて、人間の心を大事にして表現しようと思ってます。声のトーンを気にするよりも、そこでどう伝えるか、のほうが大事。

──19歳のナルトは、これまでとどんなところが変わりましたか？

息の仕方が変わったなと思いますね。ゆったり息を吸って吐いていると思えたんです。それが見ている側にどう作用するかというと、落ち着いて感じられる、ということになると思うんですが。あまり人から自分がどう見られているかというのを意識しなくなって、余裕や落ち着きが生まれたんだと思います。でもそれって、環境の変化もあると思うんですよね。17歳のときは戦いばっかりだったので、そういう人とのコミュニケーションを意識する前の段階だったと思うんです。

──日常に戻って余裕が生まれたんですね。

なんてったって、戦争が終わってますから。ただ年齢を重ねて成長しただけではなくて、そういう環境の変化もあると思います。

リアクション音を少なくするほど、強く感じられる

──「THE LAST」は恋愛要素も多いですが、バトルシーンもしっかりカッコよかったです。

ええ。ヒナタが連れ去られていくシーンで、ナルトが影分身をバンバン出して戦うのもカッコよかったですね。今まで私が演じてた子供の頃のナルトくんって、リアクションややられる音をたくさん入れてたんですけど、このシーンではほとんど入れてないんです。「おりゃー！」とか「わー！」とか「うぇっ」とか。そういうのを入れれば入れるほど、強さって減っていくように見える。例えば、当時のサスケくんはあまりそういう音は入れてない。カカシ先生なんて、ほとんどないです。

──ああ、確かに！

ナルトくんが一番、声を出し過ぎるくらい出してたんです。でもそれがどんどん減っていって。だからすごくカッコよく感じられる。スピード感もありましたよね。ラストの月での戦いなんて、もう人間の戦いじゃなくなってましたから。全然忍んでないし（笑）。

──戦いの舞台は月ですし、スケールがものすごく大きくなってますね。ヒナタの月での花嫁衣装も印象的でした。

黒い花嫁衣装ですね。かわいいですよねえ。戦うごとに、どんどんはだけていくのもいいですよね。

──エンドロールのナルトとの結婚式では、ヒナタは着物でしたね。

月での衣装が洋装だったから、お色直しでしょうか（笑）。でも着物というのは想像通りでしたね。白無垢とか色打ち掛けでもない。行き過ぎてない、清楚さをすごく感じました。

──代々、日向家に受け継がれていそうな。

そんな感じがしますねえ！ 次、ハナビちゃんが着るのかな。ナルトはヒナタに合わせて紋付袴なのかと思えば、タキシードなのが意外です。ちょっと木の葉仕様なタキシードですね。

──結婚式までいくと、1人の息子の成長を見届けた感じがします。

ホントに。知らない間にどんどん成長しやがって、って感じですね。