音楽ナタリー Power Push - KANA-BOON

「ジャンプ」編集者と語る「NARUTO」への熱き思い

KANA-BOONが、映画「BORUTO -NARUTO THE MOVIE-」の主題歌「ダイバー」を8月5日にシングルとしてリリースした。

「BORUTO -NARUTO THE MOVIE-」は「週刊少年ジャンプ」で連載されていた人気マンガ「NARUTO -ナルト-」の主人公・ナルトの息子・ボルトが主役の長編アニメで、原作者である岸本斉史が製作総指揮を務め、脚本を執筆している。

アニメシリーズ「NARUTO-ナルト- 疾風伝」のオープニングテーマとして制作した「シルエット」が、岸本と「ジャンプ」で担当編集を務めていた大槻譲氏の耳に留まり、映画主題歌を依頼されたというKANA-BOON。このオファーを受け「NARUTO -ナルト-」ファンのメンバーは、映画のために「ダイバー」を書き下ろした。

今回音楽ナタリーではこのコラボに際して、KANA-BOON、大槻氏、「NARUTO -ナルト-」初代担当編集者の矢作康介氏(現「ジャンプSQ.」編集長)との座談会を実施。「NARUTO -ナルト-」への思いを語り合ってもらった。

取材 / 成松哲 文 / 中野明子 撮影 / 上山陽介

 
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岸本先生を泣かせたバンド・KANA-BOON

──昨年11月に「シルエット」がリリースされた際にKANA-BOONの皆さんと大槻さんの座談会を行いましたが(参照:KANA-BOON「シルエット」特集)、そのときに大槻さんが「『シルエット』本当に好きです。めっちゃいい曲です」と言ってらっしゃって。

大槻譲 ええ。編集部にも「ジャンプ」読者から曲に対する感想が届きましたね。

──普段からアニメの主題歌に対するリアクションって編集部に届くものなんでしょうか?

大槻 確かに珍しいことなんですけど、「シルエット」は反響がありましたね。

──なぜ「シルエット」はそこまで「NARUTO -ナルト-」ファンに刺さったんでしょうか?

KANA-BOON

谷口鮪(Vo, G) 俺らが「NARUTO -ナルト-」好きやからだったと思うんです。その思いがちゃんと聴く人にも届いたのかなと。

古賀隼斗(G) あとアニメの映像を想像しながら作ったというのもあるでしょうね。僕らが思い描いていた「NARUTO -ナルト-」に対するイメージがうまくハマったのかなとは思います。ただ、いつもはそういう作り方はしてなくて、映像を想像しながら作ったのは「シルエット」が初めてだった気がします。

矢作康介 「シルエット」のCDをいただいて自宅でかけてたんですけど、うちの娘が「それって『NARUTO -ナルト-』の歌?」って聞いてきたんですよね。娘は受験で一時期アニメの「NARUTO -ナルト-」から遠ざかっていたのに。

──曲自体から「NARUTO -ナルト-」の雰囲気が漂っていたと。今回は映画版の主題歌としてKANA-BOONが「ダイバー」を書き下ろしたわけですが、どういう経緯でこのコラボが実現したんでしょうか?

大槻 先生に映画主題歌の相談をしに行ったときに、「KANA-BOONに主題歌をお願いしたい」という話になって。2人とも映画版の主題歌もKANA-BOONでという思いがもともとあったんですよね。

KANA-BOON一同 ありがとうございます!

大槻 ホントに「シルエット」が「NARUTO -ナルト-」にぴったり合ってたというか、「NARUTO -ナルト-」を好きになってくれる方々にちゃんと響くメッセージが歌詞に盛り込まれていたんですよね。それは岸本先生もおっしゃっていて、「シルエット」を聴いたときに「泣いた」っておっしゃってましたから。

大槻譲(集英社「週刊少年ジャンプ」編集部)

矢作 私の中では岸本先生、滅多に泣かない方ですよ。

谷口 「岸本先生を泣かせたバンド」って名乗ってもいいかな(笑)。

大槻 先生、「悔しいと思った」って言ってましたから。「俺も歌いたかったし、『シルエット』で歌ってるようなテーマを俺が思い付きたかった」って。KANA-BOONの発想がうらやましいと思ったみたい。

谷口 泣いた理由って、そっちなんですね(笑)。

──岸本先生と大槻さんとの間で「BORUTO -NARUTO THE MOVIE-」の主題歌をKANA-BOONに依頼することになってから話はスムーズに進んだんでしょうか?

大槻 進みましたね。

矢作 そういう決まり方はあまりないですよね。映画は映画を作る方たちのものなんで、こちらから指名とかしちゃいけないという思いもありますし。

谷口 そうなんですね。「シルエット」のときは「『NARUTO -ナルト-』のオープニングテーマが作れる!」ってうれしい一心で制作に挑みましたけど、映画主題歌の話をいただいたときはハードルがあって。「映画に合う曲を書きたい」っていう気持ちと、「自分たちの歌としてもきちんとしたものを作りたい」っていう思いを持って制作を始めたんです。映画に媚びてるわけでもなく、かと言って自分たちのワガママでやってるわけでもなく……ちゃんとバランスがとれた曲になるように心がけました。

──KANA-BOONは「シルエット」をリリースしたあと、「NARUTO -ナルト-」ファンであろう子供たちがライブに来てくれるようになって、客層が変わったとおっしゃってましたよね。そういう状況になったことで、音楽に対する気持ちや意識に変化はありましたか?

谷口 ありましたね。今までとは違う方向のやる気が出てきたというか。おそらく、KANA-BOONがその子たちにとって初めて見聴きするロックバンドになる可能性もあるから。そこへの責任感だったり、ありがたみだったりを感じるようになりましたね。

ナルト視点で書いた「ダイバー」

──矢作さんは「ダイバー」を聴いたとき、どんな感想を抱きました?

矢作康介(集英社「ジャンプSQ.」編集長)

矢作 子供の頃から「NARUTO -ナルト-」を読んでいただいて、一生懸命バンドやって、がんばって成功されて……その人生の中の片隅にずっとナルトを置いてくださっていたからこそ生まれた曲なのかなと感じました。皆さんが自分たちのこれまでを振り返った上で、ナルトという人間を主観で語ってくれてる感じがして。これまでのアニメのオープニングやエンディングテーマって、ナルトが置かれている状況や、ライバルの存在や忍者といったキーワードをピックアップして客観的にカッコよく書いていただくことが多かったんですけど、「ダイバー」は主観でナルトとボルトを語ってくれてるなあと。これは初めての経験だったので感動しましたね。連載開始から15年が経ったから、こういう歌が聴けるんだなと思いましたし。パッと作れるものじゃない。私が歌詞を読んでもけっこうくるものがあった。どの世代でも感動できる曲だと思います。

谷口 「主観的な曲」というのはホントにその通りで。主人公になりきる、というかマンガの世界に自分もいるような感覚になれたのは「NARUTO -ナルト-」が初めてなんですよね。

──谷口さんはソングライターなので、言葉や音で「NARUTO -ナルト-」に対する思いを表現できますが、プレイヤーである古賀さん、飯田さん、小泉さんはその気持ちをどう共有して表現したんでしょうか?

古賀 「シルエット」のときと同じく、アニメの映像をイメージしながら、その映像に合う音を見つけてアレンジしていくというか。「NARUTO -ナルト-」ありきでアレンジしてましたし、その熱は音に出てると思います。

小泉貴裕(Dr) 僕もそうですね。気持ちでけっこう音は変わるんですよ。「NARUTO -ナルト-」を観ていたときの気持ちとか、好きだったバンドがテーマソングやってたときのワクワクした気持ちとかを込めましたね。

飯田祐馬(B) けっこうスタジオの雰囲気が曲に出るんですけど、今回は映画主題歌の話をいただいたときのうれしい気持ちだったり、「俺らが主題歌を作るんや!」みたいな気合いがレコーディング中にあって。その雰囲気をちゃんと音に出せたかなと。

KANA-BOON(カナブーン)
KANA-BOON

谷口鮪(Vo, G)、古賀隼斗(G)、飯田祐馬(B)、小泉貴裕(Dr)からなる4人組バンド。高校の同級生だった谷口、古賀、小泉を中心に結成され、のちに飯田が合流して現在の編成となり、地元大阪を中心に活動を始める。2012年に参加した「キューン20イヤーズオーディション」で4000組の中から見事優勝を射止め、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブのオープニングアクトを務める。2013年4月には活動の拠点を東京に移し、同年9月にシングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューを果たし、10月に1stフルアルバム「DOPPEL」を発表した。2014年はテレビ東京系アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のオープニングテーマ「シルエット」を含め精力的に新作を発表する。2015年1月にはメジャー2ndアルバム「TIME」をリリース。さらに3月には大阪・大阪城ホールおよび東京・日本武道館にて初のアリーナワンマンライブを行い成功を収めた。5月には資生堂「アネッサ」CMソングの「なんでもねだり」を、8月に映画「BORUTO -NARUTO THE MOVIE-」の主題歌として書き下ろした「ダイバー」をシングルとして発表。