コミックナタリー PowerPush - 藤子不二雄(A)「まんが道」
お宝発掘! 初収録満載の愛蔵版 A先生が語る青春と友情の日々
藤子不二雄(A)の「まんが道」が、小学館クリエイティブの復刊シリーズGAMANGA BOOKSから登場した。マンガに対する情熱が詰まった半自伝的ストーリー、そして手塚治虫をはじめとしたレジェンドの素顔に迫る内容で、長きにわたり熱烈な支持を受け続けている名作中の名作だ。
コミックナタリーでは、未収録原稿もサルベージしファンのツボを押さえた愛蔵版の仕様を徹底紹介。さらに藤子(A)が自らの歩んだ「まんが道」を振り返り、作品に込めたメッセージを語ったインタビューを掲載する。
取材・文/門倉紫麻 撮影/唐木元 編集/淵上龍一
藤子不二雄(A)をモデルにした満賀道雄と、藤子・F・不二雄をモデルにした才野茂。2人のマンガ少年は、同世代の若いマンガ家たちと切磋琢磨しプロへの道を歩んでいく。マンガ家の聖書とも言われる「まんが道」が、全10巻の愛蔵版として蘇った。
小学館クリエイティブの復刊シリーズ「GAMANGA BOOKS」版の「まんが道」は、読みごたえある四六判(182mm×128mm)。文庫版に物足りなさを感じていたファンは、大きなサイズで作品の魅力を堪能してほしい。また雑誌掲載時のフォーマットを意識した造本は、おまけ要素もたっぷり。藤子(A)も太鼓判を押す「まんが道」の決定版だ。
ファンのプロ作家による豪華寄稿
各巻の巻末には「まんが道」の熱烈なファンが登場。2巻には作家の鴻上尚史、3巻にはハロルド作石、4巻には小畑健、5巻には江口寿史、6巻にはあらゐけいいち、7巻には島本和彦、そして10巻には藤子(A)本人による寄稿を収録する。
「バクマン。」のことを“平成の「まんが道」”と言ってくださる方もいますが、恐れ多い話です(笑)。「バクマン。」を描いているときはかえって「まんが道」は読めなかったんですよ。読まなくても私のなかでこの作品は血となり肉となっていたので、それでよかったんです。
「バクマン。」で主人公が出来上がった原稿を捨てるシーンが出てきますが、「まんが道」で二人が完成した原稿を電車から投げ捨てる場面へのオマージュです。原作の大場先生ももちろん、「まんが道」を読まれていて、どこかで“恩返し”したかったのかもしれません(笑)。
「まんが道」を読み直すと、時代も社会もちがうのに、(夢に向かってひたむきに生きる登場人物が)「自分たちと同じなんだな」と共感できるんです。クリエーターだけでなく、どんな職業の人が読んでも胸を打つものがあると思います。そして、これほど自分の人生とリンクできた作品はほかにありません。
この寄稿の全文、そして小畑が描き下ろした「まんが道」のイラストは、4巻の巻末に収録されている。満賀道雄、才野茂、手塚治虫、トキワ荘の面々を描いた愛ある1枚絵は必見!
幻のカラーページ、扉を初収録
従来の単行本・文庫版ではモノクロになっていたシーンを、カラーで初収録。また1巻と9巻には、単行本には収録されていなかった扉ページのギャラリーが付く。イラスト上に配置された煽り文なども残しているため、リアルタイムで雑誌を読んでいなかったファンには貴重な特典だ。
手塚治虫と藤子不二雄(A)思い出のツーショット写真
満賀道雄と才野茂が編集者に案内され、手塚治虫の住む並木ハウスを訪れる1シーン。そのときに撮影された記念写真は、藤子(A)の宝物として仕事場に大事に飾られている。この歴史を証明する貴重なショットを、GAMANGA BOOKS版1巻に封入。昭和29年当時の手塚と藤子(A)、若かりし日の2人を収めた写真はファン必携といえよう。
(A)先生のサイン入り万年筆
全巻購入者には藤子(A)のサインが刻印された、特製万年筆をもれなくプレゼント。詳しい応募方法は最終10巻で発表されるので、希望者は見逃しのないよう注意しよう。
GAMANGA BOOKS サポート店
GAMANGA BOOKSのサポート店では、全巻購入の予約をした人に「コロコロコミック版 まんが道」が収録された冊子をプレゼント。サポート店のリストは特設サイトにて確認を。
藤子不二雄(A)(ふじこふじおえー)
1934年3月10日富山県氷見市生まれ。本名は安孫子素雄(あびこもとお)。1944年、のちに藤子・F・不二雄となる藤本弘と共作を始め、1952年に毎日小学生新聞に投稿した4コママンガ「天使の玉ちゃん」が掲載されデビューとなった。以降、藤子不二雄としてコンビで作品を発表していくが、1987年にコンビを解消し藤子不二雄(A)として新たに活動を始める。代表作に「怪物くん」「忍者ハットリくん」や「笑ゥせぇるすまん」がある。1995年より「まんが道」の続編にあたる「愛…しりそめし頃に…」をビッグコミックオリジナル増刊(小学館)にて連載中。