コミックナタリー Power Push -征城悠馬「ロング・ディスタンス」
新條まゆ×SCREEN mode 話題の駅伝BL、“謎の作家”はまゆたんだった! 新たなスタートと、スクモとのコラボを語る
ポエムモードに自分を持っていくのが大変
──普段はされない、マンガ以外のお仕事はどうでしたか?
新條 頭を切り替えるのが結構大変でしたね。ポエムモードみたいなものに自分を持っていかないといけなくて、それができないと前に進めなかったりするんですよ。考えつかないからって何かほかの作業もできなくて。布団の中でゴロゴロしながら考えたりしてました。
勇-YOU- 俺は1回煮詰まるともう先に進めなくなってしまうので、とりあえず散歩に行きますね。1回景色を変えてみます。俺、よく煮詰まる男なんで。
──PVの楽曲も、最初にインストが公開されて(参照:「ロング・ディスタンス」予告動画)、次にスキャット入り(参照:「ロング・ディスタンス」第5話 予告動画)、そして歌入りと(参照:「ロング・ディスタンス」コミックス第1巻 予告動画)、徐々に楽曲の全貌が明らかになっていくという、少し変わったものでした。
勇-YOU- スキャット入りだけの楽曲を公開するというのは珍しいですよね。SCREEN modeでも初めての経験でした。こういったバラードだと、囁いた感じのスキャットで始まるのが通常だと思うんですけど、思いの強さみたいなものが作品の根底にもあるので、張り上げた感じの声でドラマを作っていったほうがいいんじゃないかと、いろいろ意見交換しながらやりましたね。
監督も「そう言えば駅伝ってBLっぽいね」って
──「ロング・ディスタンス」に登場する陽太と陵介は幼なじみで、なおかつ高校駅伝部のチームメイトと、深い絆のある2人です。駅伝をテーマに選んだ理由を伺えますか?
新條 駅伝はそんなに詳しくはなかったんですけど、ずっと前から興味はあって。一度ガッツリ勉強してハマってみたいと思っていたんです。「ロング・ディスタンス」のベースみたいなものは5、6年くらい前からあったんですよ。それは駅伝ものではなかったんですけど、駅伝を描いてみたいという思いとうまく合致したので、そのベースと一緒にしたというか。
──駅伝は、やはり箱根駅伝を見て?
新條 そうですね。箱根駅伝はダイジェストが大好きで。倒れこんだりとか、バッて抱きしめたりとか、泣き出しちゃったりとか、低体温症になってフラフラになっちゃったりとか。ドキュメンタリーが本当に萌えるんですよね。そんなにわかだったんですけど、最近はそれだけじゃダメだと思って、いろいろ見出して勉強してます。もうどんどんハマっていっちゃって。描いてるうちにハマっていくもんですね。
──では、この帯文の「私もこれで駅伝にハマりました!!」は、まさにその通りだと。
新條 そうなんです!
勇-YOU- ははは(笑)。確かに。
新條 例えばマンガ家が編集者さんに「この世界面白いよ」って提案されて、「じゃあ描こうかな」って調べてるうちにすごくファンになってしまうパターンって、本当にいくらでもあるので。
──駅伝をBLで描こうとしたのは?
新條 駅伝っていわゆる「技」とかも使わないし、チームワークではあるんですけど走ってる最中はずっと1人なので、それを面白くマンガにできるんだったら、BLかなと思うところがあって。箱根駅伝のために1年間がある人たちだから、そこをドラマにしたいなと。
──タスキを繋ぐというのは、確かにBLに向いている題材な気がします。駅伝を勉強していく中で、ここは描きたいと思ったところはありますか?
新條 筋肉ですかね! 優勝監督がテレビでお話しているのを見てると、選手の筋肉を見て選ぶという人たちが多くて……。体を見て選ぶって、どういうこと!?って(笑)。監督も「サラブレッドと駄馬がいる」「サラブレッドは体を見たときにうっとりする」と言っていて、「エロいなー」って(笑)。
勇-YOU- あははは(笑)。マンガの中でも、陽太くんの美脚がベタ褒めされてますよね。
新條 取材をさせていただいたりもしたんですけど、監督の話がもうエロ過ぎて出せないくらいですよ(笑)。逆に監督に「そういえば駅伝ってBLっぽいね」って、「改めて気付いた」って言われちゃって。「BLじゃないけど、それに近い話はいくらでもあるよ」って、いっぱい教えてもらいました。もう、ネタの宝庫ですよ。こんなにオイシイ世界があったのかと。いろんなカードがあります。
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「これ以上… 俺から何も 奪わないでくれ──……」
高校駅伝の全国大会・通称「都大路」で活躍し、大学駅伝界からの注目を集めている佐藤陽太と信堂陵介。複雑な家庭環境に置かれながらも、兄弟の世話をしながら練習に励む陽太。一方、地方の大病院の一人息子である陵介は、将来は医師になることを父親から義務付けられている。幼馴染でチームメイトでもある2人は、同じ大学に進み、憧れの「箱根駅伝」でたすきを繋ぐことを夢見ていた。しかし…2人を待ち受けるのは、非情な未来だった──。
新條まゆ(シンジョウマユ)
1973年1月26日、長崎県生まれ。1994年、少女コミック増刊(小学館)にて「あなたの色に染まりたい」でデビュー。人気ロックバンドのボーカリストと普通の女子高生のラブロマンスを描いた「快感♥フレーズ」が1000万部を超える大ヒットとなり、海外13カ国でも翻訳出版される。作品に登場するロックバンド・Λuciferは、実在のミュージシャンでバンドを編成しデビューを果たした。その後、過激な性描写を交えて描く「覇王愛人」や「ラブセレブ」などヒット作を生み出し、デビュー14年目に小学館より独立。りぼん、マーガレット、ジャンプスクエア(すべて集英社)、月刊ASUKA、月刊ガンダムエース(ともに角川書店)、月刊ヤングマガジン(講談社)など、多くのマンガ誌で精力的に作品を発表する。現在は初のボーイズラブ作品に挑戦。「教師の純情 生徒の欲望」と、「ロング・ディスタンス」(征城悠馬名義)の2作品をWeb連載中。
SCREEN mode(スクリーンモード)
サウンドプロデューサー・雅友(太田雅友)と、洋画吹替やアニメ、ゲームへの出演で活躍する声優・勇-YOU-(林勇)によるバンドとして2013年に結成。「SCREEN mode」というバンド名は「音の『SCREEN』を、さまざまな『mode』に変化させながらリスナーの心に焼き付けていきたい」という思いから名付けられた。2013年11月にシングル「月光STORY」でメジャーデビューして以来、アニメソングを数多く手がけ、コンスタントにシングルを発表。2014年10月には1stミニアルバム「NATURAL HIGH DREAMER」をリリースし、同年11月には東京・渋谷CLUB CRAWLで初のワンマンライブを開催。チケット即完のプレミアムライブとなった。2015年4月に通算5枚目となるシングル「アンビバレンス」、7月に1stフルアルバム「Discovery Collection」をリリース。11月には初のワンマンライブツアー「SCREEN mode LIVE TOUR 2015 ~Discovery Collection~」を行う。