コミックナタリー Power Push -征城悠馬「ロング・ディスタンス」

新條まゆ×SCREEN mode 話題の駅伝BL、“謎の作家”はまゆたんだった! 新たなスタートと、スクモとのコラボを語る

もう、どうなっちゃうんですか!?

勇-YOU- 1巻を読み終わって、最後の最後で陵介くんが言った言葉がめちゃめちゃ引っかかってます! そこまではソフトな陵介くんだったのに、もうどうなっちゃうんですか!? 印象的な発言だったから、続きが気になります。

1巻は、陵介の印象的なモノローグで終わる。

新條 ありがとうございます。さあ、どうなるんでしょうね?(笑)1巻の最後まで、陵介のモノローグは一切なかったんですけど、ここで初めて出てくるんです。

勇-YOU- あー、そっかあ。確かに陽太くんしか(モノローグでは)話してないですもんね。

──雅友さんの「ロング・ディスタンス」を読まれてみての感想も伺えますか?

雅友 え? 感想?(読んでいた「純欲」から顔を上げて)

勇-YOU- ちょっと! 集中してください!(笑)そっちじゃないです!

雅友 あ、完全に意識がこっちにいってました。そうですね、テーマ曲を手がけることもあって連載でもずっと追って拝読してたんですけど、改めてまとめて1巻を読むと、物語の流れにまた違った意味があるように思えて。早く2巻が読みたいですね。途中だから気になります。

──今回、「ロング・ディスタンス」のPVにSCREEN modeが楽曲を提供されたんですよね(参照:謎の作家・征城悠馬の駅伝BL、公式サイト開設!SCREEN modeが楽曲提供)。そもそもどういったきっかけでこのコラボが実現したんでしょうか?

雅友 きっかけは、SCREEN modeのプロデューサーがもともと新條先生と「快感♥フレーズ」のころからお付き合いがあって。今回、新條先生が名義を変えて新しい作品をやっていこうというのと、SCREEN modeもこれからというバンドなので、歩調を合わせてコラボできるんじゃないかというご提案をいただいたって感じですね。

「ロング・ディスタンス」より。

新條 そのプロデューサーさんには「新しい作品をやるんですよ」というお話はしていたんですけど、たまたま1話を雑誌で読んでいただいたみたいで。「1話目の雰囲気がすごくよかった。これは絶対にSCREEN modeと雰囲気や曲調が合うからぜひ」と言っていただきまして。私もびっくりしました。あと私、「黒子のバスケ」大好きなので。

──SCREEN modeさんはTVアニメ「黒子のバスケ」第3期第2クール帝光編ED主題歌を担当されてましたね。

勇-YOU- ありがとうございます。「聞こえますかー?」ってやってます。

新條 あはは(笑)。だからスクモって聞いたときは、「『アンビバレンス』だ!」って思いました。

できるだけ新條先生とシンクロしました

──楽曲はどうやって作っていかれたんでしょうか?

雅友 こういうイメージソングだったり、作品に寄り添うような音楽を作るときは、とにかくまず作品を読むんですよ。この話はよくしているんですけど、作品をたくさん読むことによって、その人になったかのような気持ちで音楽を作ることができる能力というか、特技というか、手法が僕にはあるんです。

勇-YOU- 「黒子のバスケ」で言うと、(黄瀬が)一度見た技はすべて自分のものにできる、みたいな。

雅友 「北斗の拳」のケンシロウが戦った相手の技を使える、みたいな。似たような感じで、原作を読むことによって近いようなことが僕の場合はできるんです。

左から新條まゆ、勇-YOU-(Vo)。

勇-YOU- 今、できるって言い切りましたからね(笑)。

新條 ふふふ(笑)。

雅友 曲を書くときに、原作が2話までしかなくてですね。新條先生の過去の作品もいろいろ見させていただいて、できるだけシンクロできるようにしました。

勇-YOU- SCREEN modeの曲は、雅友さんが先に楽曲を作ってその後詞を作るんですけど、最初に音を聴いたときは、すごく「ロング・ディスタンス」に合ってるなと思いました。儚さというか、寂しさというか、そういう空気感に包まれている作品だと思ったので。ぴったりだと。

新條 私もデモを聴いたとき、すごく感動して。もう泣いちゃいましたね。ぴったりでした。

音数に合わせるのは難しかった

──歌詞は新條さんが書かれたということですが、久々に歌詞を書いてみていかがでしたか? おそらく「快感♥フレーズ」のΛuciferの楽曲以来だと思うのですが。

新條 難しかったですね……! 「快感♥フレーズ」のときは詞先だったんですよ。曲が先じゃなくて。要はただのポエムなんです、それって。

勇-YOU- ああ、なるほど。

新條まゆ

新條 当時は「快感♥フレーズ」の原稿にも追われていたので、締め切りギリギリまで歌詞の部分部分を空白で空けておいて、残り30分しかない!っていうときにうわーって慌てて書きましたね。でもそれが、ポエムなんでできるんですよ。なんとなくリズムっぽくなってたら大丈夫だった。でも今回は、先に音があって、その音数に合わせないといけなかったので。

勇-YOU- 音数に合わすと、やっぱり限定されちゃいますもんね。難しさは絶対ありますよね。

新條 なんとなくこれ当てはまらないな、とか。書きたい文章とか表現したい言葉があってもハメられなかったり。もう、難しいー!って。なので結構、時間がかかりました。

雅友 新條先生に書いていただいたのを拝見して、音楽的にハマりがいいのはこういう形ですよってアドバイスしたり。

勇-YOU- キャッチボールで作っていきましたね。まさに共作というか。

新條 テクニカルな部分も教えていただいたりしましたね。「ん」を使うときは気を付けるとか。

雅友 「ん」は口を閉じますからね。伸ばすと言いづらいじゃないですか。

勇-YOU- 効果的なところは必ずあるんでしょうけどね。

雅友 あと、「ん」を使うと4分音符が8分音符に聞こえたりする瞬間があるので。そうするとひとつの流れだったフレーズが、休符が入ったように分割されて聞こえてしまう場合がある。音楽としてカクッとなっちゃうときがあるんですよね。

征城悠馬「ロング・ディスタンス(1)」 / 2015年10月23日発売 / 648円 / ホーム社
<作者名>「作品名(n)」

「これ以上… 俺から何も 奪わないでくれ──……」

高校駅伝の全国大会・通称「都大路」で活躍し、大学駅伝界からの注目を集めている佐藤陽太と信堂陵介。複雑な家庭環境に置かれながらも、兄弟の世話をしながら練習に励む陽太。一方、地方の大病院の一人息子である陵介は、将来は医師になることを父親から義務付けられている。幼馴染でチームメイトでもある2人は、同じ大学に進み、憧れの「箱根駅伝」でたすきを繋ぐことを夢見ていた。しかし…2人を待ち受けるのは、非情な未来だった──。

新條まゆ(シンジョウマユ)
新條まゆ

1973年1月26日、長崎県生まれ。1994年、少女コミック増刊(小学館)にて「あなたの色に染まりたい」でデビュー。人気ロックバンドのボーカリストと普通の女子高生のラブロマンスを描いた「快感♥フレーズ」が1000万部を超える大ヒットとなり、海外13カ国でも翻訳出版される。作品に登場するロックバンド・Λuciferは、実在のミュージシャンでバンドを編成しデビューを果たした。その後、過激な性描写を交えて描く「覇王愛人」や「ラブセレブ」などヒット作を生み出し、デビュー14年目に小学館より独立。りぼん、マーガレット、ジャンプスクエア(すべて集英社)、月刊ASUKA、月刊ガンダムエース(ともに角川書店)、月刊ヤングマガジン(講談社)など、多くのマンガ誌で精力的に作品を発表する。現在は初のボーイズラブ作品に挑戦。「教師の純情 生徒の欲望」と、「ロング・ディスタンス」(征城悠馬名義)の2作品をWeb連載中。

SCREEN mode(スクリーンモード)
SCREEN mode

サウンドプロデューサー・雅友(太田雅友)と、洋画吹替やアニメ、ゲームへの出演で活躍する声優・勇-YOU-(林勇)によるバンドとして2013年に結成。「SCREEN mode」というバンド名は「音の『SCREEN』を、さまざまな『mode』に変化させながらリスナーの心に焼き付けていきたい」という思いから名付けられた。2013年11月にシングル「月光STORY」でメジャーデビューして以来、アニメソングを数多く手がけ、コンスタントにシングルを発表。2014年10月には1stミニアルバム「NATURAL HIGH DREAMER」をリリースし、同年11月には東京・渋谷CLUB CRAWLで初のワンマンライブを開催。チケット即完のプレミアムライブとなった。2015年4月に通算5枚目となるシングル「アンビバレンス」、7月に1stフルアルバム「Discovery Collection」をリリース。11月には初のワンマンライブツアー「SCREEN mode LIVE TOUR 2015 ~Discovery Collection~」を行う。