斉藤壮馬はwebtoonにハマれるのか?ヨコ読みマンガ愛好家がタテ読みマンガを読んでみたら…LINEマンガで大検証 (2/2)

予想外の出会い方をしたい

──では結論を伺います。「斉藤壮馬はwebtoonにハマれるのか?」という命題に対する回答は?

えーと……限りなくハマれはしたんですけども、「ハマりました」というよりは「ハマりたいと思いました」という言い方が正確かな、という感じですかね。まだまだ入口に立たせてもらったくらいの段階なので、これからより深くハマっていく余地を残しておきたいというか。なので「きっとこれからハマると思います」という回答でお願いします。

──ありがとうございます。結局のところ、読み手にとって重要なのは作品の内容ですもんね。

はい。今後このLINEマンガという新しい入口を通して、まだ見ぬ表現方法や物語、キャラクターたちに出会っていけたら、いつしか自然とハマっているだろうと思うので。それを楽しみに、いろんな作品を読み進めていこうと思います。

──ちょっと身も蓋もないお話になりますが、どんな作品であれフラットな目線で見ることのできる斉藤さんからすると、正直マンガがヨコだろうがタテだろうがどうでもいいというか(笑)、あまり気にされない部分もあるんじゃないでしょうか。

そうですね。これは自分に言い聞かせる意味もあるんですけど、新しいものに触れたときに「俺の知っているものと違うから認めない」という態度を取るのはもったいないことだなと思っていて。もちろん、自分が本来的に持っている好き嫌いは大事にするべきだと思うんですけど……これは古来からいろんな形で繰り返されてきていることじゃないですか。例えば「こんなものは文学じゃない」みたいな。でも、その文学だって元をたどれば「低俗な娯楽だ」とされていた時代もあったわけで。そんなふうに、高尚さであるとか正しさというものは絶対的なものではないから、そういうことよりも「面白い」という気持ちに正直でいたいなと思っていますね。

──一言一句同感です。では最後に、LINEマンガを使ってみた感想を教えてください。

すごくいいなと思ったのは、タイトルやパッと見の印象だけで判断せずに「とりあえず何話か読んでみる」ができるところなんですよね。僕の場合、「失敗したくないから読まない」という選択をするよりは「まず読んでみて判断する」という姿勢で常にいたいので。

斉藤壮馬

斉藤壮馬

──LINEマンガには70万点以上もの作品があるそうですしね。幼少期の斉藤家のような、あらゆる種類のマンガがそこにあって出会い放題だった状況に似たものがあると。

まさに(笑)。

──「ここがもっとこうなっていたらいいのにな」と思ったところなどはありました?

いやー……けっこう使いやすいな、としか。

──特に不満は感じなかったわけですね。

そうですね。だから不満ではないんですけど、やっぱり「タップミスでたまたま開いた作品が面白かった」みたいな予想外の出会い方が僕は好きなので、そういう仕組みが用意されていたらよりうれしいなと思いますね。例えば完全ランダムでサジェストしてくれる機能であったり、普通に使っていたらまずたどり着かないであろう作品に出会えるような。

──なるほど。ダーツの旅じゃないですけど。

そうそう、そんな感じで。「LINEマンガからのおすすめ」みたいなことではなく、意図がまったく介在しない形で未知の作品を掘り起こせたりしたらすごくいいなと思いますね。求めるものに確実にたどり着けるのはもちろんすごくありがたいことですけど、それしかできないのは寂しいというか(笑)。

【検証結果】斉藤壮馬はwebtoonに「きっとこれからハマる!」

斉藤壮馬セレクト
続きが読みたくなるwebtoon 5選

現在LINEマンガにて掲載中のwebtoon作品の中から、斉藤のセレクトによる5作品を紹介。無課金で読める話数までを実際に読み進めたうえで、「この作品だったらお金を払って続きを読みたい」と感じたものを選んだという。斉藤による感想コメントと併せてチェックしてもらいたい。

斉藤壮馬

「わかっていても」

「わかっていても」

「わかっていても」
ジョンソ

美術大学に通う内田蝶華(あげは)は、恋人と別れた直後に学科の飲み会で滝村凪佐と出会う。端正な外見と人当たりのよさを備える凪佐に、振り回されながらも次第に惹かれていく蝶華だったが……。2021年に実写化され人気を博した韓国ドラマの原作。

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斉藤壮馬コメント

いわゆる青春恋愛ものがもともと好きなんですよ。この作品には「こういう大学生活を送りたかったな」という気持ちにさせられますね。セリフがかなり少なくて雰囲気で見せていくところが特徴的な作品ですが、僕はこういう詩情豊かな作品がすごく好きでして。例えばマンガ家さんが初期短編集などを出されるときに、ちょっとポエティックな同人作品が収録されるケースがありますよね。そういうものと似た要素をすごく感じます。画の雰囲気や色遣いはスタイリッシュなんですけど、すごくポップというよりはどこかウェットな感じで、曇り空の日に1話ずつじっくり読みたくなる作品ですね。フランス映画だったりミニシアター系の映画が好きな人にもハマるんじゃないかな。


「チーズ・イン・ザ・トラップ」

「チーズ・イン・ザ・トラップ」

「チーズ・イン・ザ・トラップ」
Soonkki

真面目で不器用な大学生・赤山雪は、誰からも慕われる先輩・青田淳が実は“裏の顔”を持っていることを知ってしまう。しかしある日、素っ気なかった淳の態度が豹変。突然優しくなった淳を雪は怪しんでいたが……。2016年にパク・ヘジン主演でドラマ化され、2018年には映画化も果たした大ヒット作。

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斉藤壮馬コメント

自分が読んできたマンガに近い手触り、と言ったらいいんですかね……ちょっと言い方が難しいですけど、“古き良きマンガ”のテイストも感じられる作品です。個人的に絵柄がめっちゃ好きですし、キャラクターの味付けもポップでいいですよね。特に主人公のキャラがよくて、「わかっていても」と同じように翻弄される女性ではあるんですけど、こちらは割とモノローグでいろんな考えを巡らせますし、若干の諦念もあったりして。そのドライな感じや生々しさが素敵だなと思いました。ストーリー的にはミステリーのような雰囲気もあって、画面の色調もそんなに明るくないんですよね。こういうトーンでアニメ化されるとしたら、自分も出てみたいな。


「空腹の夕食」

「空腹の夕食」

「空腹の夕食」
ノリとタマゴ

食べることが大好きな空服美は、高校入学を機にイケてる女子高生を目指して食を我慢するようになる。しかし、我が道を突き進む一風変わったクラスメイト・饅頭こと村井美寿との出会いが、服美の日常を思わぬ方向へ導いていく。

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斉藤壮馬コメント

読み始めたときは「絵柄はほんわかしているけど、実はいじめ系とかの重い話なのかな?」と想像していたんですが、思いもよらぬ方向へ連れて行かれましたね。「そっち?」みたいな(笑)。このオフビート感がたまらないです。キャラも物語展開もかなり独特で、この先生固有のグルーヴなんだろうなと。ちょっと金田一蓮十郎さんの「ジャングルはいつもハレのちグゥ」(スクウェア・エニックス)のような手触りもあるというか。とにかく饅頭ちゃんのキャラがオンリーワンすぎて、彼女の人間性によってギリギリのバランスでギャグが成立しているんですよね。かと思いきや、実は主人公の服美ちゃんもなかなかのキャラで(笑)。ずっと2人を見守りたい気持ちにさせられます。なんならクラスメイトになりたい(笑)。


「チート・ギャンブルー謀略博戯ー」

「チート・ギャンブルー謀略博戯ー」

「チート・ギャンブルー謀略博戯ー」
作画:玉置一平 脚本協力:中川勇樹

IR実施法の成立により日本に誕生したカジノ「カジノ・アルテミス」には、非合法の裏カジノ「カジノ・ハデス」が伏在していた。そこで“景品”にされている少女・向井早苗を救うため、流鏑馬和也は命を賭けたギャンブルに身を投じていく。

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斉藤壮馬コメント

タイトルですでに「チート」と言っていますし、どうやら主人公は明らかにイカサマをしているわけです。僕はけっこうギャンブルマンガが好きでいろいろ読んでいるんですけど、イカサマありのギャンブルものの場合は「どういうイカサマをするのか」「それをいかに魅力的に描くか」というところがポイントになると思うんですよ。まだ3話までしか読んでいないので現状そのカラクリは明かされていませんが、どうやら誰かと対話をしているような描写もあったりして、「スピ系なのか? テクノロジー系なのか?」と妄想がはかどりますね。今後そのチートっぷりがどう爽快に描かれていくのか、とても気になります。課金はチートせずに、ちゃんとお金を払いましょう(笑)。


「入学傭兵」

「入学傭兵」

「入学傭兵」
作画:rakhyun 原作:YC

幼少期に遭った飛行機墜落事故で奇跡的に生き残り、異国の地で傭兵として育った帯刀(たてわき)壮馬。10年の時を経て帰国した壮馬は祖父、妹とともに日常生活を送り始めるが、編入先の学校でヤンキーたちに目を付けられてしまう。

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斉藤壮馬コメント

まず、主人公の名前が「壮馬」というところに惹かれました(笑)。しかも最初、「帯刀壮馬」を「たいとうそうま」と読むのかと勘違いして、「これは!」と思ったんですけど……あははは。もちろん内容もすごく面白くて、いい意味でテンプレート的な設定をうまく利用した物語構造なんじゃないかなと思います。なんとなくの印象に過ぎませんけど、webtoon作品の傾向として「壮大な世界観の作品ほど、登場人物の対立構造などは逆にシンプル」というのがあるような気はしましたね。冒頭3話だけを読んだ現時点での感覚で言うと、今後の展開としてコメディ路線もシリアス路線もあり得る感じだなと思ったので、どういうふうに転がっていくのか楽しみです。


斉藤壮馬

斉藤壮馬

プロフィール

斉藤壮馬(サイトウソウマ)

4月22日生まれ、山梨県出身。81プロデュース所属。主な出演作に「憂国のモリアーティ」(ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役)、「オリエント」(鐘巻小次郎役)、「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」(レーン・エイム役)、「佐々木と宮野」(宮野由美役)など。