コミックナタリー Power Push - アントンシク「リンドバーグ」

キャラデザからデジタル処理まで 門外不出!若き実力派の創作現場

プロット~ラフ~ネーム~下描き~ペン入れ

原稿の作成に至るまでに、文字のみで作られたプロット、プロットを元に組まれるラフ、プロットとラフをあわせたネームが作られ、構成が練り込まれていく。そしてネームを元に原稿用紙への下描き、ペン入れがなされる。その一連の工程を見せてもらった。

プロット

プロット

アントンシクはまず文字のみでプロット(あらすじ)を組んでいく。「最初にテーマや設定などを書き出します。そこにあらすじや、思いついたセリフも一緒に書き込んでいきます」このプロットの段階でストーリーはほぼ固まっているという。「だいたい1話分で、A4の紙に3枚くらい」。横に書かれた数字はそのシーンが割り当てられるページ数を指している。[画像を拡大

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ラフ

ラフ

プロットを元にざっくりとコマ割りを描き出したのがラフだ。「プロットの段階でこういう絵を入れたいというのが頭にあるので、それをコマ割りに組み立て直していく感じです」。プロットからラフを作るのが最も時間を要する作業だという。[画像を拡大

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ネーム

ネーム

ネームを描くのはB5サイズの大学ノート。「ここでセリフを入れていきます。プロットを読みながら、ここは大ゴマにしてみようとか、印象的なカットにしたいなと考えながら」。ストーリー、セリフなどはこの前段階で担当編集と詰めの打ち合わせをして、しっかりと作り込まれているため、ネーム段階での修正はコマの調整程度だという。「僕はネームにすごく時間がかかるので、ネームを描いてから何ページにもわたって直されるのはちょっと……(笑)。心が折れかねないというか(笑)」[画像を拡大

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下描き

下描き

ネームが描かれた大学ノートをスタンドに立てて、それを見ながら原稿用紙に下描きする。人物と背景の区別ができるよう、人物は鉛筆、背景は青のダーマトグラフを使用。興が乗るまでに時間がかかるが、絵を描く作業は楽しいと語る。「ネームを切っているときは『早く絵に入りたい入りたい』って思っているんですが、絵に入ったら入ったで大変です(笑)」。[画像を拡大

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ペン入れ

ペン入れ

「『ガゴゼ』は和、『リンドバーグ』は洋、という意識があったので、『リンドバーグ』では、和のテイストが強く出てしまう筆は極力使わずにいました。だから前回(8話)の作画はほぼミリペンです」。ところが一変、今回(9話)では筆での作画が増えた。「やっぱり筆が自分の持ち味のように思えて。筆で描いているのって気持ちいいですし、筆を使っても洋っぽくできないかなと考えつつ……」と揺れる想いを語ってくれた。[画像を拡大

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道具

道具

ペン入れに使っているのはGペンとミリペン、そして筆。筆は憧れの安彦良和が使っている銘柄を使用。1本200円という安価なところと、軸の太さが気に入っているとか。最近多用するようになったミリペンはカラーマッキー。インクはGペンを使うときは製図用インク、筆を使うときは開明墨汁と使い分けている。[画像を拡大

アントンシク「リンドバーグ」 / 2009年12月12日発売 / 460円(税込) / 小学館 ゲッサン少年サンデーコミックス / ISBN: 978-4-09-122105-6

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アントンシク「リンドバーグ」(1)

あらすじ

周囲を“ボーダー”と呼ばれる絶壁に囲まれた、高地の国・エルドゥラ。空を飛ぼうとすることが禁じられたその王国で、プラモと名付けた不思議な生き物と暮らす少年ニット。そんな彼の前に、突然、外の世界から空を飛んでやってきた怪しげな男・シャークが現れて…!!??

誰も見たことのない、未体験アドベンチャー巨編!

アントンシク

アントンシク

4月2日生まれ。愛知県出身。血液型O型。「Webコミック幻蔵」2006年1月号より「ガゴゼ」で連載デビュー。幻冬舎バーズコミックスより全5巻が発売されている。2009年5月、ゲッサン創刊号(小学館)にて「リンドバーグ」の連載をスタートした。