コミックナタリー Power Push - アントンシク「リンドバーグ」
キャラデザからデジタル処理まで 門外不出!若き実力派の創作現場
ゲッサン創刊号から連載中の「リンドバーグ」は、飛ぶことを禁じられた王国・エルドゥラを舞台に、空に憧れを抱く少年・ニットの冒険を描くSFアドベンチャー。描くのは圧倒的画力と個性的な絵柄で注目の新鋭、アントンシクだ。今回コミックナタリーではこの若きテクニシャンの仕事場に潜入。キャラクターデザインからネームの作成、デジタル仕上げまで、その制作過程を追った。
取材・文/増田桃子 編集・撮影/唐木元
キャラクターデザイン
まずはマンガ作りの基本となるキャラクターデザイン。「リンドバーグ」に登場するメインキャラクターの中から、ニット、プラモ、シャークの3人の設定画について、アントンシクのコメントとともに紹介する。
ニット
四方を“ボーダー”と呼ばれる絶壁に囲まれた秘境の国・エルドゥラで生まれ育った少年。空を飛ぶ行為が禁じられた国で空を飛ぶことに憧れを抱く。
早い段階でキャラクターが完成していたというニット。しかし初期設定画では女の子として描かれている。「これは『ガゴゼ』の連載をやったときに描いたものです。最初は女の子がいいかなと思っていました。一人称が「僕」の女の子っていうイメージでした。今より等身も小さめです」。[画像を拡大]
プラモ
ニットと、ニットの亡き父が見つけた謎の生物。次第に空を飛ぶ能力を発揮し始める。
プラモの設定画その1。現在の可愛らしいプラモとはだいぶ違った造形だが、目元の優しさは残っている。「プラモは最初こんな変な生き物だったんですよ。ちょっとメカっぽいですよね。可愛くしようとも思っていたんですけど、これはこれで不気味でいいかなと」。[画像を拡大]
プラモの設定画その2。ニットと比べ、プラモはキャラが固まるまでに時間がかかったという。「犬っぽい生き物をイメージしてパグみたいなのも描いたんですけど、なんとなく犬と飛行っていう要素が結びつかず、なかなか決まらなかったんです。これは迷っていた頃の絵で、サメっぽいですね(笑)」。[画像を拡大]
プラモの設定画その3。なかなか決まらず悩んでいたところ、担当編集から「(手塚治虫の)ユニコ的な造形はどうか」とアドバイスを受けた。「それだ、と思いました。ユニコみたいに可愛くてちっこいのがちょろちょろしてたら面白いんじゃないかと」。[画像を拡大]
あらすじ
周囲を“ボーダー”と呼ばれる絶壁に囲まれた、高地の国・エルドゥラ。空を飛ぼうとすることが禁じられたその王国で、プラモと名付けた不思議な生き物と暮らす少年ニット。そんな彼の前に、突然、外の世界から空を飛んでやってきた怪しげな男・シャークが現れて…!!??
誰も見たことのない、未体験アドベンチャー巨編!
アントンシク
4月2日生まれ。愛知県出身。血液型O型。「Webコミック幻蔵」2006年1月号より「ガゴゼ」で連載デビュー。幻冬舎バーズコミックスより全5巻が発売されている。2009年5月、ゲッサン創刊号(小学館)にて「リンドバーグ」の連載をスタートした。