未来の世界で流行っているアニメまで想像し、設定する
──ここまで主にアニメについて語っていただきましたが、ゲームのほうの話もお聞きできたらと。
ゲームのほうは操作面から未来感を感じてもらいたいというのがあって、ものすごく動き回れるんですよね。画面の中をキャラクターが360度飛び回るというか。
──従来のアプリゲームとは、遊び方から違うものになっていると。
実現まで大変でした。企画初期から「キャラクターが動き回るゲームにしたい」というのがあったんですけど、今までにない発想でゲームを作るということで、1つひとつ手探りでした。あとACT(アクト)のデザインにも苦労しましたね。
──なかなか決定稿が出なかったということでしょうか。
先ほどの「2037年の文化を想像する」という話に関連するのですが、ACTの外見って持ち主の好きなキャラクターが反映されるんです。現代で言えば「DRAGON BALL」が好きだったら悟空、「ONE PIECE」が好きだったらルフィという感じに。そうすると2037年の若者が思い入れあるキャラクターってどんなだろうって、その時代で流行っているであろうドラマやアニメの設定を考えることになって。
──リアリティを追求すると、決めなければならないことがどんどん増えていくと。
だからリリースまで4年もかかったんですよ(笑)。
──ゲーム内で強制的にチームを組まされ、共通の目的を持たされる「クラスタ機能」も特徴的な機能だと感じました。
ユーザー同士が共有できる体験をゲームに盛り込みたくて。一定期間でクラスタは解散されて、また別のクラスタになるんですけど、今っぽいじゃないですか。ずっと同じ人といるわけじゃなくて、何かあったらまたネットの世界で繋がっていくというイメージですね。
ユーザー自身が物語を作るから「レイヤードストーリーズ “ゼロ”」
──アニメ、ゲームと媒体の垣根を越えて展開される「レイヤードストーリーズ ゼロ」ですが、今後の展開は。
まずは小学館さんのアプリ「マンガワン」で、コミカライズがスタートしました(参照:撹張現実犯罪に刑事とAIのバディが立ち向かう近未来SF「LayereD Eve」開始)。ここではアニメ、ゲームよりも少し前の時代、LayereD技術がそこまで確立していない時代が描かれます。
──ゲーム、アニメに続いてマンガと。複数の媒体で、作品を展開する狙いというのは?
僕らが作っているのはマンガだけでもゲームだけでも、もちろんアニメだけでもなく「レイヤードストーリーズ」という世界なんです。この企画では、ユーザーも含めてみんなで一緒に作品を形作っていこうと思っていて。そのために設定を広く公開したり、キャラクターモデルを配布したりします。
──事前にうかがったお話では、キャラクターを使った2次創作も許可されるとか。
この企画は、最低10年間やろうと思っているんです。でも10年間、我々が一方的にユーザーに「これいいでしょ!?」と言っていったら、作品は育たない。なので一緒に作品を育ててくれるユーザーを探しているんです。
──ユーザーが2次創作で考えた設定が、公式に逆輸入される可能性は。
あると思います。だから「レイヤードストーリーズ “ゼロ”」なんです。ここを始まりとして、物語の「1」だったり「2」だったりは、みんなに考えてほしい。キャラクターデザイン、キャスト、主題歌などを公募にしたのも、みんなで一緒に作品を作っていくというコンセプトがあってのことです。
──今挙げた要素って、作品を作る上でかなり重要なものですよね。それを一般から募るというのは正直、不安もあったのでは?
めっちゃありましたよ! 誰も応募して来なかったらとか、レベルが低かったらどうしようとか(笑)。ただ最初にキャラクターデザインのオーディションをやって、そのクオリティがものすごく高かったんですね。応募数も多くて。それで、日本にはまだ埋もれている才能がいっぱいいるんだな、そういう人たちに光を当てたいとあらためて思いましたね。
──ゲームとアニメで主役を演じるおふたりは、これが声優デビューになるとのことですが。
演技のレッスンを受けたこともない、完全にただの大学生でした。
──それなのに違和感のない演技ですね。
いろんなところで、「人生2周目」って言われてますよ(笑)。
──転生したらチートスキルが備わっていた、的な。
超大物ですよ。アフレコのとき、主役はブースの真ん中に座るっていう業界のルールがあって。現場慣れしていないのにみんなの中心にいるなんて、緊張しちゃわないかなってブースから心配して見ていたら、普通に喋ってるんですよ。ほかのアニメやゲームで主役をやるような人気声優さんたちと。
──それだけ新人離れしていると、先輩の声優さんからいじられたりは。
ニコ生とか見てもらうとわかるんですが、ユウト役の柳くんは「100万(オーディションの賞金)よこせよ!」とか、かなりいじられてますね(笑)。
──アニメのOPには、実写も混じっていますよね。アニメ、ゲーム、マンガと来たら、実写ドラマや映画などの展開もありえそうですが。
基本的に「どうですか?」って言われたら、僕たちはなんでもやりたいって言います。なので「オファーお待ちしております」ということで(笑)。あ、今ちょうどテレビCMを作っているところなんですがそれは実写です。すごくいい感じに仕上がっているので、期待していてください。(注記:発言は取材時点のもの、CMは12月28日より公開中)
──実写化とは違いますが、現実に20年後の世界はやって来るわけで。最低10年と言わず「レイヤードストーリーズ ゼロ」とともに、2037年を迎えてみたい気もしますね。
2017年生まれのキャラクターもいたりして「こいつもう生まれてるっ(笑)」って驚いたんですよ。20年後っていう、現実とのレイヤード感を味わえる絶妙なラインも楽しんでいただければ。ユウト生誕祭みたいなのもやりたいですね。彼の生まれる2020年6月3日をお楽しみに!
- 「レイヤードストーリーズ ゼロ」
- 配信中 / 提供元:BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
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【価格】
無料(app内課金あり)【対応プラットフォーム】
App Store / Google Play【ジャンル】
オルタナティブRPG
「レイヤードストーリーズ ゼロ」は同一の世界で繰り広げられる物語を、アニメとゲームで楽しむことができるスマートフォンアプリ。物語の舞台は2037年の渋谷。そこはLayereD技術によりインターネットが可視化され、イメージできることは全て実現可能な自由な世界。アニメとゲーム、それぞれの主人公の物語が1つに重なり合うオルタナティブRPG!
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
- 手塚晃司(テヅカコウジ)
- バンダイナムコエンターテインメント所属のプロデューサー。「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」「ONE PIECE トレジャークルーズ」「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストシューターズ」「ギルティドラゴン 罪竜と八つの呪い」などのスマートフォンアプリを主に手がけてきた。