コミックナタリー PowerPush - アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」

ついに第3部のアニメ始動! スタッフが明かす奇妙な映像化の秘密

荒木先生も元の色は決めていないと聞いていたので

──画面の色味については、1、2部と第3部ではどう変わっていくんでしょうか。

津田 今回は全体的にだいぶ色を抑えてますね。特に日本なんかは、ともすれば地味に見えるかもしれません。急に色が変わるシーンのことをシーン特色と呼んでるんですが、そのシーン特色を、前回ほど使い過ぎないようにしています。使うとガーっと盛り上がるんですけど、前回は使いすぎたなというところもあって、そこも反省点のひとつだったんですよね。

鈴木 シーン特色から切り替わって、また違うシーン特色という流れを結構やってたんですけど、よくよく考えてみたら、元の色がわからなくなるというデメリットもあって。

「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」より。

津田 まあ荒木先生も元の色は決めないという話を聞いていたので、そういう作りにしてたんですけどね。でも第3部は、読者が結構色のイメージを持ってるんじゃないかなと思っているので。なので基本色はきっちりあったうえで、シーン特色は1話数に1、2回に抑えようとしています。ない話数もきっと出てきますね。

──やはり1、2部と第3部はガラリと印象を変わるんでしょうか。

津田 そのつもりです。まあ1部と2部もガラッと変えるつもりでやっていたので。第3部も当然変わらなきゃいかんと思ってやってますよ。

第3部は重要なターニングポイント

──第3部はこれまでと違い、舞台も現代になります。

津田 そう、荒木先生がまんま現代の時間軸を描いてたのって、第3部だけなんですよね。第4部になると、連載当時からしたら未来なので。あ、強いて言うならいま連載している第8部も現代の時間軸ですが。

鈴木 そうですね。

津田 まあでも、そういう意味で言うと実は第3部って、荒木先生の中で結構重大なターニングポイントになってたのかなとも思っています。あとは資料探しが大変です。現代と言っても1987年と27年前なので、一番資料がない時期なんですよ。10年前だったらネットで探しやすいんですけど。

第3部の舞台は現代。

鈴木 古本屋で当時の外国の写真集買ってきたりね。同じあるような建物でも、いまとは雰囲気や空気が違ってたりするし。だから美術設定を描いてもらうスタッフには、いまの写真は見ないで描いてねとは言ってます。当時はないランドマークが写り込んでる可能性もありますから。

──日本ならまだしも、承太郎たちは世界を旅するわけですから。

津田 そうなんですよね。まあ困ったら最終的には原作に帰ればいいという大義名分もあるんですが。

スタンドを突っ立ってるだけにはしない

──下準備も大変そうですが、先ほどもお話に出ていた通り、やはり第3部といえばスタンド戦がどうなるのかが気になります。

津田 第3部といえばスタンドですからね。スタンドの表現は本当に大変ですよ。スタンドが目立たないといけないんで。

──ええ。

津田 スタンドが出てるときはスタンドを操っている人間も当然そこにいるわけですよね。マンガだと同じ場面でもスタンドや人間、どちらかを描いたり描かなかったりということが自由自在なわけですが、アニメは一定で時間が流れているので、絶対にいないといけない。マンガ的論法に映像を落とし込もうとしても、逃れられないところがどうしても出てくるんです。ここにどうしてもスタンドがいないといけないけど、どこに置こうか、とか。スタンドって攻撃してないときは何もしないで棒立ちですけど、突っ立ってるだけというのもねえ、って鈴木さんと話してて……。

承太郎のスタンド・スタープラチナと、アブドゥルのスタンド・マジシャンズレッドが戦うシーン。

──ちょっと間抜けな感じがしてしまいますね。では画面に中にずっといるときはどういう処理を?

津田 そうですね、完全に止まってしまうということはなるべくしてないです。スタープラチナだったら髪の毛がなびいてたり。あと撮影処理で光がふわふわと、スタンドが淡く光ったりとか。

TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」

TOKYO MXにて、2014年4月4日(金)より毎週24:30スタート

その他放送局:毎日放送、中部日本放送、東北放送、RKB毎日放送、BS11、アニマックス

津田尚克(つだなおかつ)

アニメーション監督・演出家。「戦う司書」や「侵略!イカ娘」「ベン・トー」など、各話の絵コンテや演出を担当。2012年に「妖狐×僕SS」で監督デビューを果たし、前シリーズの「ジョジョの奇妙な冒険」に続いて、「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」が監督3作目となる。

鈴木健一(すずきけんいち)

アニメーション監督・演出家。「HELLSING OVA」や「SD ガンダム三国伝 Brave Battle Warrious」では監督を務め、前シリーズの「ジョジョの奇妙な冒険」に続いて、「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」でもシリーズディレクターを務める。

荒木飛呂彦(あらきひろひこ)

1960年6月7日宮城県生まれ。1980年、週刊少年ジャンプ(集英社)にて「武装ポーカー」でデビュー。その後「バオー来訪者」を経て、1987年「ジョジョの奇妙な冒険」を連載開始。ほかに類を見ない異質なビジュアル、独特のキャラクターやセリフ回し、特徴的な擬音やキャラのポージングが熱狂的なファンを生み、同誌で15年以上続く長期連載として人気を博した。2005年よりウルトラジャンプ(集英社)に活動の場を移し、ジョジョシリーズ第7部に相当する「スティール・ボール・ラン」を、2011年には第8部に相当する「ジョジョリオン」を連載。