鉄鍋のジャン!!2nd|熱い!ひどい!美味い! 伝説のド外道料理人・ジャンの中華を再現

1品目:ラー油炒飯チャーハン

「鉄鍋のジャン!」に登場するラー油炒飯を再現。
材料

ラー油

  • 韓国産唐辛子、八角、シナモン、花椒、クローブ、米油

チャーハン

  • ご飯、卵、ネギ、醤油、塩こしょう、サラダ油、醤蘿蔔
作り方

1熱々に熱した米油と、そのほかの材料を混ぜてラー油を作る。

2卵チャーハンを作り、1センチ角に切った醤蘿蔔を添え、①のラー油を混ぜる。

──まず作っていただくのは「鉄鍋のジャン!」の第2回全日本中華料理人の準々決勝、調味料対決でジャンが作ったラー油炒飯です。今井さんは普段から、作中に登場したこのラー油を自作しているとか?

ラー油の具材。ここに熱した油を注ぎ、冷ますことでラー油が完成する。

今井亮 そうですね。市販のラー油は辛みがしっかりしてるのでたまに自分で作るんです。1回で市販のビン数十本分くらいかな。自作のラー油はたくさん唐辛子を使っているので、通常の物より赤くて、服とかに付いたら全然落ちないんです。もちろん、ラー油以外にも「鉄鍋のジャン!」の料理を作ることはありますよ。

──生粋の「鉄鍋のジャン!」好きなんですね。

今井 はい。僕は今30歳なんですけど、学生時に「鉄鍋のジャン!」を読んでいました。当時、ほかにも「中華一番!」や「美味しんぼ」、「将太の寿司」などの料理を扱ったマンガを読んでいましたが、「鉄鍋のジャン!」は血しぶきが飛ぶし、1作目でジャンが最後に作ったダチョウ料理なんて、ねえ……。

──固いダチョウ肉のサシ(脂肪分)として、肉の繊維に生きたウジ虫を潜り込ませたシーンですね。

「鉄鍋のジャン!」の第2回全日本中華料理人決勝戦より。ダチョウ肉の淡白な味を保ったまま、コクを与える手段としてジャンが選んだのはウジ虫だった。

今井 「こんな料理もありなんだ!」と衝撃を受けたことが強く脳裏に残っています。

──そんな一読者としての立場から、「2nd」では監修として参加されるようになりました。

今井 共同で監修している料理研究家のムラヨシマサユキさんからお話をいただきました。ムラヨシさんはパン・お菓子系の研究家で、ヨーロッパの料理に強いので対戦相手側の料理を主に考え、僕がジャンたちの作る中華料理を担当しています。

──ファン冥利に尽きる話ですね。話を戻しまして、作中でジャンが作ったラー油は真っ赤な見た目より辛くないのが売りで、「飲めるラー油」ということでした。それを証明するために審査員に無理やり飲ませていましたね。自分は辛いものが苦手なので、読んでいるだけで汗をかいたシーンです。

今井 実際に、全然辛くないんですよ。飲んでみればわかります、どうぞ。

辛さだけではない、唐辛子本来の香りが詰まった韓国産の辣粉(ラーフェン=唐辛子粉)を使っているため、苦しむことなく飲める。

──……確かに、辛いですが普通に飲めます。ひと昔前に流行った食べるラー油より何年も前に、こんなものを作っていたジャンはすごいですね。そんなラー油を、今回は炒飯に入れました。

今井 原作だと炒め油代わりにラー油を使っていますけど、コンロの火力が違うので今回は仕上げに使いました。炒飯の具は卵、ネギ、醤蘿蔔(ジャンローポウ=大根の醤油漬)だけ。すごくシンプルです。

──では1品目をいただきます……ラー油と同じく、見た目ほどは辛くないですね。香りもいいです。

今井 あと醤蘿蔔が効いてるんですよ。歯ごたえがあってアクセントになるし。

老舗の中華料理店で働いていたというだけあり、今井の炒飯を作る手つきは手慣れたもの。

──うむむ、あとから少し辛味が来ました。しかし、やはりプロの料理人だけあってチャーハン自体もパラパラに仕上がってますね。このキッチンスタジオと同じような家庭のコンロでも、簡単にパラパラの炒飯を作る方法を教えてください。

今井 それは私が以前出演した料理番組「きょうの料理」を観てほしいところですが(笑)。ただ、番組では冷凍ご飯を使う方法を紹介したんですけど、温かいご飯でも、先に油やマヨネーズを絡めておくとパラパラになりますよ。

2品目:油爆海鮫ユウバオハイジャオ(サメの丸ごと1匹揚げ)

「鉄鍋のジャン!」に登場する油爆海鮫を再現。
材料

サメの唐揚げ

  • サメ、塩こしょう、醤油、紹興酒、片栗粉

  • サメ(細切り)、もやし、人参、しいたけ、タケノコ、醤油、オイスターソース、紹興酒、塩こしょう、砂糖、鶏がらスープ
作り方

1サメ肉に下味、片栗粉をつけて揚げる。

2餡にはサメ肉の細切り、野菜の細切りを炒めてスープを加え、味ととろみをつけ、1にかける。

「ブヨブヨしている」というサメを、唐揚げ用に厚めに切る。

──続いて第2回選手権準決勝で、ジャンが作った油爆海鮫です。原作ではアンモニア臭をいかに消すかがポイントになりました。

今井 サメの肉は死後、体に溜めている尿素が微生物によってアンモニアに分解されるので、臭いが出てきます。なので今回は新鮮なものを使います。

「鉄鍋のジャン!」より。ジャンは会場内の設備を破壊し、それを利用してサメを丸揚げした。

張亘 原作ではサメを丸ごと揚げていましたが、さすがにキッチンスタジオであんなことはできないので、今回は切り身の野菜あんかけです。ちなみに5kgで2500円でした。

──意外に安いですね。あまり食べられないからでしょうか?

今井 地域によっては当たり前に食べるんですけど、避ける人も多いですよね。身が柔らかくて美味しいですよ。僕も今回、初めてさばいたんですが、すごくブヨブヨしていました。

──原作では、もやしにフカヒレやサメのすり身を詰めていましたが……。

「鉄鍋のジャン!」より。冷凍庫にこもってもやしにすり身を詰めるジャン。これにより味だけでなく食感も変化する。

今井 注射器を使ってすり身を1本1本詰めるのはさすがに大変なので、今回はやめておきました。でも、揚げずにそのまま炒めた切り身も入れたので、サメをダイレクトに味わえると思います。

──食べてみましたが、サメはさばいていたときの印象通り柔らかく、揚げても弾力がありますね。あとは少し酸味を感じます。

今井 まあ、普通に美味しい白身魚のあんかけですね。

──身も蓋もないことを言ってしまえばそうですが(笑)。サメも、こうして食べるとゲテモノ感がありませんね。

 サメ自体は、西条先生も自分で買ってきて娘さんと食べたそうです。先生は普段あまり料理しないんですけどね。でも食べるのは大好きで、「鉄鍋のジャン!」に登場した料理も、虫以外はほぼ食べているらしいです。この間も僕が「バロット(孵化直前のアヒルの卵。東南アジアで好んで食される)が美味しい」という話をしたら興味津々だったので翌週の打ち合わせに持っていったんですけど、「思ったほど美味しくない」と言われました(笑)。

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「神の舌」大谷日堂の店にクレーマー現る!そのクレーマーこそ、中華の覇王「秋山醤」と「五番町キリコ」の息子にして、訳あって「ジャン」を名乗る少年であった!新たな世代による、ド級の料理バトルが開幕する!

西条真二(サイジョウシンジ)
11月25日生まれ。1992年に「怪奇同盟」で週刊少年チャンピオン(秋田書店)にてデビュー。代表作は「鉄鍋のジャン!」など。2017年5月現在、月刊ドラゴンエイジ(KADOKAWA)にて「鉄鍋のジャン!!2nd」を、近代麻雀(竹書房)にて「鉄牌のジャン!」を連載中。