ゲーム「とある魔術の禁書目録 幻想収束」特集 阿部敦(上条当麻役)インタビュー|本編アニメ、原作小説、外伝に映画も!「とある」シリーズすべてが交差する、”夢の饗宴”が開幕

「とある魔術の禁書目録」をはじめとする「とある」シリーズのスマホゲーム「とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト)」がリリースされた。アニメの映像や場面カットがふんだんに使用された本作では、本編のみならず、外伝や映画から、作品の垣根を超えてキャラクターが集結。ファン必見の“夢の饗宴”を体感することができる。さらにシリーズの入門編としての役割も持ち、アニメのメインシナリオを追体験することが可能だ。

コミックナタリーでは本作の配信を記念し、2008年のアニメ放送から10年以上にわたり「とある魔術の禁書目録」の主人公・上条当麻を演じてきた阿部敦にインタビューを実施。意外なキャラクターの名前も挙げながら「とある」シリーズの思い出をたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 粕谷太智 撮影 / 星野耕作

上条さんは僕の理想のヒーロー

──取材にあたり、事前にゲームをプレイさせていただいたのですが、TVアニメ第1話の冒頭から丁寧にストーリーを追える作りになっていますよね。

阿部敦

ゲームでは、アニメと同じシーンでもボイスを新たに収録し直しているんです。アニメの第1話なんかは、改めて演じながら当時のことを思い出したりして、懐かしさを感じましたね。約10年前と同じシーンをもう一度演じられるというのは、これだけ続いてきた作品ならではですし、貴重な体験をさせていただきました。

──アニメ第1話からストーリーをなぞっていくということで、収録の分量も多かったのではないですか。

上条さんは特に主役という立ち位置なので、どの話にも関わってきますし、分量はやっぱり多かったと思います。作品的にもキャラクター数が多いので、収録されているボイスの量もかなり多いんじゃないですかね。

──改めて収録し直して、ご自身の演技に変化は感じられましたか?

「とある魔術の禁書目録 幻想収束」より。

10年経って、自分ももちろんそれなりにはレベルアップはしていますから、今だから出せるものも、もちろんあると思うんです。でもその一方で当時の自分にしか出せない色もきっとあって、それが成長ではあると思うんですけどね。リアルに10年過ぎている作品ってなかなかないので、経年変化というか、そういったところを観てもらうのも面白いのかな。

──TVアニメ放送当時はどんなことを考えながら収録していたのでしょう?

あまり難しいことは考えていなかったと思います。上条さんが熱血漢なキャラクターなので、技術でうまくやろうというよりは、全身全霊でぶつかっていく、みたいな方向性を大事にしていました。

──改めてTVシリーズと同じシーンを収録し直して、上条当麻の魅力はどこにあると思いますか。

上条さんは、自分の弱さを自覚しているキャラクターだと思うんですよ。能力を打ち消す右手首から先は最強かもしれないですけど、それ以外は普通で。決して最強と呼べるキャラクターではないですし。

──作中では当麻を指して「最強」「最弱」といった言葉が使われることもありますよね。「弱さを自覚している」というのはどのあたりから感じられたのでしょう?

特に初期ですかね。上条さんは強い敵に出会えば怖いと思うし、「死ぬかもしれない」と逃げ出すことが頭をよぎるキャラクターだったんです。ステイルの登場シーンなんかがそうですけど、魔術という知らない技を出す強敵に出会って一度は逃げ出すけど、それでも震える足を抑えて戻ってくるっていうのが、グッとくるんですよね。

──これまでいろいろなキャラクターを演じられてきたと思いますが、阿部さんにとって10年以上を共にしてきた当麻は、どういったキャラクターですか?

上条当麻

僕の理想に近い人だと思います。熱血ヒーロー、熱血キャラ、主人公ってこうあってほしいなっていう1つの理想像ですかね。だから演じる際にも、きちんとキャラクターを理解して演じるっていうこともしているんですけど、僕のこうあってほしいっていう理想を多分に乗っけている。それが反映されているキャラクターなのかなと思います。

何気ないセリフが、生き様を象徴している

──「とある」シリーズと言えば、当麻の「その幻想をぶち殺す」をはじめとした印象的なセリフも多いですよね。阿部さんのお気に入りのセリフはありますか?

オルソラを助けに行ったときのセリフなんかは印象に残っていますね。

──アニェーゼ率いる部隊にオルソラが囚われてしまうところですね。当麻は魔術サイドとは無関係なこともあり、インデックスにも「無理に関わらなくていい」と言われますが、そのお人好しな性格からコンビニに行くふりをして助けに向かうという。

阿部敦

敵が何百人もいるところに囚われているのはわかっていながら、ステイルたちは対立が起こることを恐れて、組織的には助けに行けない。上条さんもステイルに助けに行くのを一度止められるんですけど、敵の中に単身突っ込んでいって。そこでアニェーゼに「何をすべきかわかっているか」って言われたときに、「助けるに決まってるんだろうが」って言えるそのひと言がすごく好きなんですよね。

──いわゆる決めセリフ的なものよりも、そういったシンプルなセリフに思い入れがあるというのは意外です。

名言の多いキャラクターだし、そういう決めのひと言もめちゃくちゃ好きですけど。何気ないところからぽろっと出てくるセリフが、割と上条さんの生き様を象徴している感じがして個人的には心に残ることが多いですかね。

──確かに、出会ったばかりのオルソラでさえ助けて当たり前という感じが、自己の犠牲も省みない当麻の性格を表しているような気がしますね。

阿部敦

上条さんは正義の人ではないと僕は思っているんです。基本的には、自分の許せないものは何を言われても許せないし、自分のしたいことをするっていう。言ってしまえばちょっとエゴイズムの人だとは思うんですね。ただその行動が世の中で善とかいうカテゴリーに属する人なだけで。オルソラを助けにいくシーンなんかは、自分が許せないから突っ走っちゃうっていう上条さんらしさがある気がしますね。

──ほかにもお好きなエピソードやセリフがあればお聞かせください。

あとは、風斬とインデックスが友達になるエピソードが切なくて好きですね。

──風斬氷華は当麻の学校へ転校生としてやってきた少女ですが、その正体は各能力者が無意識に発生させているAIM拡散力場によって生じた人ならざるものというキャラクターです。

「とある魔術の禁書目録 幻想収束」より。インデックスを助けるため敵に立ち向かう風斬氷華。

風斬は自分が人間じゃないっていうことを自覚していなくて、でもある瞬間に気付いてしまうんですよね。友達になったインデックスもそのことを知らなくて。人間じゃないことが知られたらきっと嫌われてしまう、化け物だと思われてしまうって気持ちがあるんだけど、正体を明かしてでもピンチになったインデックスを助けにいくっていうのが切なくて。

──初めてできた友達のために、涙を流しながらも決意を固める風斬の姿が印象的なシーンですよね。

「とある魔術の禁書目録 幻想収束」より。

そのあとに上条さんが風斬を助けに来るんですけど、少し遅れてくるのが個人的にはすごくグッときて。読者も風斬のことを「お前は化け物じゃない」ってみんな心の中で思っていたと思うんですけど、アニメで演じたときは読者代表みたいな感覚でしたね。僕も「お前は化け物じゃない」ってその気持ちを乗っけました。

「とある魔術の禁書目録 幻想収束」
配信中 / SQUARE ENIX
「とある魔術の禁書目録 幻想収束」

【価格】
基本プレイ無料(アイテム課金制)

【対応プラットフォーム】
iOS / Android

【ジャンル】
学園異能バトルRPG

シリーズ累計3100万部を超える小説「とある魔術の禁書目録」をはじめとした「とある」シリーズのスマートフォン向けアプリゲーム。原作小説、外伝コミカライズをはじめ、劇場版などに登場したキャラクターたちが作品の垣根を越えて集結。アニメのメインストーリーをなぞりながら、名シーンの数々をもう一度堪能できるだけでなく、3D演出による迫力の戦闘も展開される。

TVアニメ「とある科学の一方通行」
放送情報

AT-X:2019年7月12日(金)より、毎週金曜22:00~ほか 

TOKYO MX:2019年7月12日(金)より、毎週金曜25:05~

MBS:2019年7月12日(金)より、毎週金曜26:55~

BS11:2019年7月12日(金)より、毎週金曜25:30~

スタッフ

原作:鎌池和馬+山路新

キャラクター原案:はいむらきよたか・山路新

監督:鎌仲史陽

シリーズ構成:杉原研二

キャラクターデザイン:八重樫洋平

美術監督:鈴木朗

色彩設計:舩橋美香

撮影監督:高橋昭裕

編集:後藤正浩(REAL-T)

音響監督:明田川仁

音楽:井内舞子

アニメーション制作:J.C.STAFF

キャスト

アクセラレータ:岡本信彦

ラストオーダー:日高里菜

エステル=ローゼンタール:久保ユリカ

禍斗:渡部紗弓

シスターズ:ささきのぞみ

黄泉川愛穂:甲斐田裕子

菱形幹比古:逢坂良太

菱形蛭魅:真野あゆみ

阿部敦(アベアツシ)
3月25日生まれ。栃木県出身。主な出演作に「とある魔術の禁書目録」(上条当麻役)、「だがしかし」(鹿田ココノツ役)、「バクマン。」(真城最高役)、「火ノ丸相撲」(潮火ノ丸役)など。

2019年7月4日更新