Netflixでの配信を経て、地上波でも放送された3DCGアニメーション「ULTRAMAN」が、このたびのオンエアで最終回を迎えた。同作はシーズン2の制作も決定しており、新たにタロウ役として鈴木達央が出演することも発表された。
まだまだ盛り上がりを見せる「ULTRAMAN」のBlu-ray BOXが、8月27日に発売されることを記念し、早田進次郎役の木村良平、諸星弾役の江口拓也、北斗星司役の潘めぐみにインタビューを実施。Blu-ray BOXに付属する特典映像「これぞ我らのウルトラマン」の魅力を中心に語ってもらった。「このボックスには愛が詰まっている」「ファンならば買う理由がある」と木村が熱弁する、充実の内容とは。さらに3人には、シーズン2の展望についても話を聞いているので、こちらも必見だ。
取材・文 / 松本真一 撮影 / 曽我美芽
ボックス特典の描き下ろしコミック、これはエモいですよ(江口)
──「ULTRAMAN」のBlu-ray BOXが、いよいよ8月27日に発売されます。
木村良平 正直、アニメ自体は配信でも地上波録画でも観られるじゃないですか。そこをわざわざボックスを手に取ってもらえるなら、こんなにうれしいことはないですよ。
──今日はボックスの実物を用意したので、皆さんに特典映像などの感想を語ってもらおうかと。
木村 (手に取って)ああ、まずジャケットのデザインがいい! 単純にキャラクターの全身が描かれているだけではないところがいいですよね。
江口拓也 いやー、オシャレですよね。センスを感じます。
──変身時のスーツ装着シーンというのはアニメオリジナル演出なこともあり、そのスーツ装着の瞬間を清水栄一先生、下口智裕先生が描き下ろしたそうです。そしてこちらが、Blu-ray BOX特典のコミック。描き下ろしエピソードが収録されています。
潘めぐみ これ、顔にアザができてるのはイデさんですよね? バルタン星人のときの。
江口 この絵だけでわかるんだ?
──さすが「ウルトラマン」好きの潘さん。特撮版「ウルトラマン」でバルタン星人が初登場する第2話は、イデ隊員にアザができたシーンから始まるんですよね。おそらくはそこがモチーフであろうイラストです。
潘 表紙から胸アツですよ。イデさんといったらこういうチャーミングな表情だと思うんですけど、それがイラストからにじみ出ていますね。
──「ULTRAMAN」は「ウルトラマン」のその後を描いた世界のお話ですが、この表紙でイデさんと肩を組んでいるアラシ隊員と、後ろにいるムラマツキャップは、これまでマンガに描かれていませんでした。この記事では特典マンガの詳細は書けないんですけど、表紙からいろいろと想像してもらえれば。
江口 (中身を読んで)いやー、これはエモいですね。あの頃のメンバーがある場所に集結していて。そして今の「ULTRAMAN」の世代が戦っているというのが、「受け継いでる」感が出てますよ。これは「ウルトラマン」を観ていた世代の方が読んでも、ぐっとくるものがあるんじゃないかな。
「だからSEVENはカッコよかったんだ!」というのがわかる映像(木村)
──続いては特典映像の、「これぞ我らのウルトラマン」と題したドキュメンタリーの紹介です。
- 「ULTRAMAN」メイキングドキュメンタリー「これぞ我らのウルトラマン」
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監督インタビュー:神山健治×荒牧伸志
原作者インタビュー:清水栄一×下口智裕
キャストインタビュー:木村良平(早田進次郎役)、江口拓也(諸星弾役)、潘めぐみ(北斗星司役)、諸星すみれ(佐山レナ役)
モーションアクターインタビュー:山崎勝之(早田進次郎役)、笠原紳司(諸星弾役)、芝井美香(北斗星司役、佐山レナ役)、小川輝晃(早田進役、エド役)、曽世海司(井手光弘、ベムラー役)インタビュー
音楽担当インタビュー:戸田信子×陣内一真
──Blu-ray BOXには、作品制作に携わったさまざまなプロフェッショナルの方々がその制作秘話を語るメイキングインタビューが収録されています。まずは音楽を担当した戸田信子さん、陣内一真さんのインタビューをダイジェストで観てもらいましょう。監督からどういうオファーを受けたのか、そしてどういうイメージでキャラクターのテーマ曲を作ったのかが語られています。
一同 (映像を見終えて)おおーーー。
江口 いや、面白いですね。こうやって音楽へのこだわりを話してくださると、なんであんなにキャラクターとピッタリ合っていたんだろうという部分がわかるというか。こういう映像があると、アニメを深く楽しめるきっかけになりますよね。
木村 2人(SEVEN、ACE)のテーマがなんでそうなったかがわかると愛着が湧きますよね。「SEVENのテーマはそういう由来で和のテイストがあったんだな」とか、「ACEのテーマは星司のバックボーンまで考えられてるんだな」とか。
潘 星司のこれまでの人生のことまで考えた結果、明るいメジャー調の楽曲ではなくなったというお話は、なるほどなと思いました。やっぱり、その曲を聴いただけで「この“マン”が来たな」ってわかるのは、“特撮み”を感じますよね。
──ヒーローとテーマ曲ってセットみたいなところありますからね。
木村 そうですね。耳に馴染んできた音楽って気持ちいいですよ。「あー、ここで来るか!」みたいなところでかかったら熱いし。
──「この曲がかかったらもう勝つだろう」ということもあると思います。
潘 そうですね、うん。
──続いては、モーションアクターさんたちに関する映像です。山﨑勝之さん、笠原紳司さん、芝井美香さん、小川輝晃さん、曽世海司さんのインタビューだけではなく、実際にモーションキャプチャを使っての撮影シーンも観ることができます。
木村 (映像を観終えて)なるほど、面白いですね。
──撮影時の映像を観ると、すごく手間がかかってるな、と改めて感じました。モーションキャプチャというとアクションのためのものというイメージがあったんですが、教室などの日常シーンもちゃんと撮っているんだなと。しかもモーションアクターの皆さんが、セリフまで全部入れてるんですね。
木村 アニメになる前に、もはや映像作品を1本作ってるんだもんね。この映像は、特にボックスを手に取ってくださるような方にとっては、本当に面白いと思いますよ。
潘 うんうん。
──声優陣のアフレコの際は、アクターさんの動きをもとにしたCGに声をあてていると伺いました。アクターさんの演技を観るのは、これが初めてですか?
木村 いや、アフレコのときに(CGになる前の映像が)そのまま残っていたりもしたので、ちょこちょことは観たことがあります。でもアクターさんにどこまで(演技プランの)裁量があるのかはわからなかったから、それは今回の映像で初めて知りましたね。
──諸星弾役の笠原さんは殺陣を得意とされていて、刀についての所作がわかっているのでアクションシーンではある程度自由に動いてもらって、それを監督が見て動きをアニメに活かしているというお話が映像の中でありました。
江口 監督さんの中で「そういう方法があったんだ」って感じた結果、何かが生まれるという。化学反応みたいな感じでいいですよね。
木村 「だからSEVENはカッコよかったんだ!」ってことが、この映像を観てわかりました。
江口 笠原さんの動きからアニメに取り入れられた、スペシウムソードについた敵の血を腕で拭うSEVENのあの動作、いいですよね。あれがあるかないかで、確かにだいぶ印象が違いますよ。
潘 すごく「溜め」もあってカッコいい。2Dのアニメーションとはまた違うものが生まれるということですよね。
木村 実写を元にしているから、動きにウソがすごく少なくなりますし。
モーションアクターさんと2人で1人のキャラクターを作るという感覚(潘)
──最後に観てもらう特典映像は、神山健治監督、荒牧伸志監督のインタビューです。両監督はシーズン1の総括や「ウルトラマン」への思いについても語られていますが、声優さんへはどういったアプローチをしたのか、というお話も出ていましたね。例えば「モーションアクターさんが動きを収録するときに声まで入れているので、そこに声をあてる声優さんたちが遠慮しないようには気を遣った」という部分は興味深かったです。
木村 一度完成しちゃってるものですからね。僕らとしてはそのままなぞるのが一番きれいなんだけど、それでは意味がない。そこの葛藤はありました。
──モーションアクターの皆さんも、ふだんは顔出しで演技をされているプロの役者さんなので、それぞれのこだわりやプライドを持って演技されているわけですから。
江口 そこにさらに自分が声を入れる意味を、どう作るかというのはめちゃくちゃ難しかったですよ。しかも海外映画の吹き替えのアフレコなら、天地(話の最初と最後のタイミング)が合ってれば途中の口の形はウソでもいいんですけど、「ULTRAMAN」は日本語でしゃべっているところに日本語をあてるわけですから。
木村 「早くスーツ着てくれ!」と思ったこともありますよ(笑)。
──口の形がわからなくなるから(笑)。
潘 確かに(笑)。アクターさんは自分とはブレスを入れるタイミングも違ったりするんで、「ここでブレスする理由ってなんだろう?」ということも考えながら演技するのは大変でしたね。
──特典映像では、神山監督が「『ここにぴったり声をあてないといけない』というふうにはならないように、声優さんが何かを乗せる“幅”のようなものを入れている」とは言ってましたね。
木村 確かに「時々許してくれてた」って思います(笑)。
──モーションにきっちり合わせるのではなく、木村さんが自分の演技を乗せても「許された」部分が、監督が用意した幅なわけですね。ほかにも監督おふたりは、「声優さんたちはその難しさも、前向きに面白がってくれていた」とも。
木村 そうですね、勉強になりました。
潘 アクターさんと2人で1人のキャラクターを作るという感覚は、得がたい経験でしたし、これもまた特撮らしいというか。
──木村さんたちがこの特殊なアフレコにどう挑んだのかについては、3人のインタビューが特典映像にあるので、そちらもファンの方には観てほしいですね。
潘 こういう特典映像を観たあとに、本編をもう1回観られるのはいいですよね。ボックスならではの楽しみ方で。
木村 特典映像を観たあとに本編を頭から観ると、絶対に発見があると思いますよ。さっきも言ったんですけど、ボックスを手に取りたいほど楽しんでくださってる人には、本当に楽しめると思います。監督のインタビューとかはね、本編知らない人が観たってなんにも面白くないんだから(笑)。
潘 そんなことないから!(笑)
木村 でも本当に愛が詰まったボックスになってますし、買う理由があるものだと思ってます。それに、このボックスが自分の部屋にあるってのは、その人の歴史の一部になるっていうことだから。身近に「ULTRAMAN」を置いといていただけると、本当にうれしいです。
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達央は、誰よりも「ULTRAMAN」に向き合っていた1人(木村)