「AIR」「CLANNAD」「リトルバスターズ!」など、“泣きゲー”として今も語り継がれる名作の数々を世に送り出してきたクリエイター・麻枝 准。中でも氏が手がける初のオリジナルアニメとして2010年に放送された「Angel Beats!」は、初代ボーカルをmarina、2代目をLiSAが務めた劇中のガールズバンド・Girls Dead Monsterの楽曲とともに絶大な人気を博し、15年近く経つ今も、多くのアニメファンの記憶に残り続けている。
そんな彼が原案・メインシナリオ・音楽プロデュースを担当し、現在も全身全霊で取り組んでいるのが、ライトフライヤースタジオ×KeyによるドラマチックRPG「ヘブンバーンズレッド」。2023年2月にはゲームリリース1周年を記念して「Angel Beats!」とのコラボイベント第1弾が展開された。そして2024年2月に開催された第2弾に続き、第3弾が12月27日にスタートする。第3弾のコラボシナリオでは、ガルデモメンバー・関根にスポットが当てられ、「ヘブンバーンズレッド」とのコラボを通して、Girls Dead Monsterのメンバーが全員“卒業”することとなる。コミックナタリーではコラボシナリオを書き下ろした麻枝にメールインタビューを実施。シナリオ制作の苦労や、「Angel Beats!」「ヘブンバーンズレッド」それぞれへの思いを聞いた。
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取材・文 / 柳川春香
かなでは楽しく書けています
──「ヘブンバーンズレッド×Angel Beats!」のコラボイベント第3弾が間もなくスタートします。第1弾、第2弾ともに大好評だったようにお見受けしましたが、ユーザーからの反響などをご覧になっていかがでしたか。また第3弾が間もなくユーザーに届けられるにあたっての、今の率直な気持ちを教えてください。
ライトフライヤースタジオさんのプロモーションチームにプレイ人数などの数字を見せてもらったとき、すごいなあと思いました。第1弾では感想もすごくよくて、燃え尽き症候群に陥ったほどでした。しばらくなんにもやる気が起きないぐらいでした。第2弾はあるキャラクターに対するものを中心に、否定的な意見も少なくなかったので、第3弾ではまた第1弾の頃のような、誰も嫌われないシナリオをがんばって書きました。また感想が見られるのが恐くもありますが、楽しみでもあります。
──来年4月で放送開始から15年を迎える「Angel Beats!」は、今も多くのアニメファンから高い人気を誇る作品です。今の麻枝さんにとってはどのような位置づけの作品なのでしょうか。
自分は過去作にはまったく興味のない人間で、今回のコラボもライトフライヤースタジオさんの熱量に押されて引き受けたという経緯のため、「Angel Beats!」は周りの支えもあってヒットした過去作、という存在以外の何物でもありません。作品がヒットしたのも、当時のプロデューサーの狙い通りだった、ということだと思います。自分はプロデュースされた側なので、ヒットの理由がなんだったかは今もわかりません。
──「ヘブンバーンズレッド×Angel Beats!」コラボでは、アニメでは描かれなかった入江の過去や、ひさ子の苗字なども明らかになりました。こうした設定は、アニメの制作時から麻枝さんの中に構想があったものなのでしょうか。コラボシナリオを書き下ろすにあたって、当初の構想から変化した部分などはありましたか。
第1弾の入江、第2弾のひさ子に関しては、もともと設定も、ある程度のシナリオもありました。第3弾でフィーチャーされる関根はまったくなかったため、コラボにあたってゼロベースで書いたものになります。なので入江、ひさ子と違って大変でした。
──「ヘブバン」とのクロスオーバーだからこそ書けたと思う部分はありますか。
「Angel Beats!」のキャラクターと(「ヘブバン」のメインキャラクターである)31Aの6人を絡めさせるのも大変ですし、キャンサーとも戦わせなきゃいけないし、縛りとして大変なことのほうが多いですね。かなでがアニメ本編でのゆりとの闘争を終えて、完全にボケ役と化しているので、かなでは楽しく書けています。
ゲームならまだ自分は戦えるんだ、という気持ちがエネルギー源
──コラボ第3弾に合わせ、今回ついにGirls Dead Monsterの楽曲がサブスク解禁されます。marinaさんとLiSAさんが参加した劇中バンドのGirls Dead Monsterも大きな人気を博しましたが、当時作品にバンドを入れようと思ったのはなぜだったのでしょうか。
自分がたまたま作曲みたいなこともできるから、というのが一番の大きな理由だと思います。当時「涼宮ハルヒの憂鬱」の影響で、ガールズバンドが盛り上がっていたことも影響しています。
──サブスク解禁にあたって、ガルデモの曲でオススメの1曲を教えてください。また「ヘブバン」に登場するガールズバンド・She is Legendの楽曲もサブスクで聴くことができますが、逆に「Angel Beats!」やガルデモのファンの方に聴いてほしいShe is Legendの1曲を挙げるとしたら?
Girls Dead Monster「Million Star」、She is Legend「春眠旅団」です。
──「ヘブバン」もリリースから3周年が見えてきました。麻枝さんの紛うことなき代表作の1つになったと思いますし、さまざまなインタビューなどからも命がけで「ヘブバン」に取り組まれていることが伝わってきますが、そのエネルギー源になっているものはなんなのでしょうか。
才能が枯れきったオワコンの象徴のような存在になっていた期間から、復活を遂げられたことが一番大きいです。ゲームならまだ自分は戦えるんだ、という気持ちがエネルギー源です。
──今後「ヘブバン」で実現したいこと、見てみたい景色などはありますか。
シーレジェの活躍を見ることが今の生き甲斐です。まだまだ羽ばたいてほしいです。
──最後に、「ヘブバン」をきっかけに「Angel Beats!」に興味を持った方、「Angel Beats!」をきっかけに「ヘブンバーンズレッド」を始める方に、それぞれメッセージをお願いします。
「Angel Beats!」は自分が関わった作品の中では評価が高いので、初めての方にもオススメできます。「ヘブバン」は無料でもプレイできるので、少しだけでも触ってみてください。
プロフィール
麻枝 准(マエダジュン)
Key所属のシナリオライター、作詞家、作曲家、サウンドプロデューサー。「AIR」「CLANNAD」「リトルバスターズ!」などの“泣きゲー”で知られ、オリジナルアニメ「Angel Beats!」「Charlotte」「神様になった日」では原作・脚本・音楽を手がけた。2022年2月より配信中のRPG「ヘブンバーンズレッド」では原案・メインシナリオ・音楽プロデュースを担当している。
ヘブンバーンズレッド×Angel Beats!
コラボ第3弾開催!
開催期間:2024年12月27日(金)11:00~2025年2月2日(日)21:59
◆POINT
- 芳岡ユイ(CV:喜多村英梨)のSSスタイル「Stir Soul Song」、岩沢雅美(CV:沢城みゆき)のSSスタイル「Dreamlike Days」がガチャに登場
※岩沢/ユイのストーリー登場はありません。 - 関根しおり(CV:加藤英美里)のSスタイル「ぬくもりの記憶」を限定配布
- コラボ第1弾&第2弾ストーリーイベントも同時に復刻開催! SS入江、SSゆり、SSかなでもガチャに再登場
- 最大80連ガチャが回せるミッション、最大3000クォーツ/ライフストーン50個が手に入るログインボーナスも
◆INTRODUCTION
「唐突にファザー ~オカンとアタシと弟と、ずっとアルコール依存~」
綴る思いと響くメロディ。
大食堂で目を覚ました31Aは学園でゆり、かなでと再会する。
そこで出会った関根の心残りがバンド活動に関係すると知った一行は、
彼女と一緒に新曲を作ることになる。