面白さをたとえるなら「おでんの巾着」

──みなさんが考える、アニメ「グラゼニ」の面白さはどういった部分にありますか？

落合　お金絡みの面からプロ野球を見られるというのがもちろんひとつありますし、そこからいい意味での人間くささが垣間見えるところが魅力かなと思います。アニメならでは、という点では、視覚と聴覚の両方を使って、一瞬で情報を効果的に伝えてくれるところ。現実の残酷さを伝えるような場面でも、細かく説明するのではなく、わかる人にはわかるように描くという。

──具体的には、どんな場面でしょう。

落合　例えば、第1話で凡田と対戦したバッターはようやく1軍に上がって来られたばかりの選手なんですが、手袋に子供の名前が書いてあって。アニメでは一瞬だけしか映らないんですけど、「うわ、これ凡田には見えちゃっているよなあ」「ここで自分が打者を抑えたら、相手は2軍送りにされてしまうかもしれない。でもそういう感情を振り切ってプレイしているんだなあ」っていう、一連のドラマをより凝縮させているというか。人間らしさだったり、勝負の厳しさだったり、人生の悲しさだったり……もう本当にいろいろなものがギュッと詰まっている、何か「おでんの巾着」みたいな感じだなあと（笑）。

渡辺　ハハハ、「おでんの巾着」か。面白い。

落合　たくさんの味がひとつになった袋が、アニメの「グラゼニ」には、いっぱい用意されているんですよ。そこがいいところだと思います！

M・A・O　プロ野球のこともお金のことも凡田さんが教えてくれるという、二度美味しいところが「グラゼニ」の魅力だと感じます。野球をもとから大好きな人はもちろん、そこまで深くは知らない方でも、楽しんでいただける内容になっていると思います。

渡辺　僕からはまあ、おふたりの補足ぐらいになっちゃいますが、お金の話ですからね。それこそ人々の生活感や欲望などが剥き出しになりますけど、実のところ、プロ野球がモチーフというだけで、普段一生懸命に生きている人たちと通じ合える部分、共感してもらえるようなシチュエーションが、多分に含まれていると思います。誰もがみんな、自分に許される中で、お金や生活をかけて必死に生きているわけで、プロ野球はそのコントラストが激しいだけ。明るい部分だけでなく、プロになれなかった人やプロを辞めてしまった人など、暗い部分にもしっかりとスポットをあて、陰に隠れがちな小さな輝きまで描いているところが、「グラゼニ」の素晴らしいところかなと。

落合　確かにその通りですね。

──ファンの方に、特に注目してほしいと思うポイントはありますか？

渡辺　凡田がこのまま無事にシーズンを終えることができるか、っていうところですよね。ネタバレになってしまうので言えませんが、あんなこととか、こんなこととか、あったりしますし（笑）。さらに、彼の年俸1800万円は果たして上がるのか、下がるのか。金額の行方には、とにかく注目してもらいたいですね。

落合　プロ野球をよく知っている人にも、「ああ、裏側ではこうなんだね」「お金の仕組みはそうなんだね」っていうところは、やっぱり注目してもらいたいです。それと……エンディングですね！ ユキちゃんが、いいんですよ！ 本当にかわいい!!

M・A・O　えっ！（笑）

渡辺　そうでした、そこです。紅一点のヒロインですから！

M・A・O　ありがとうございます！ 初めてエンディングを観させていただいたときから、自分でも驚いてしまって、「ユキちゃん、かわいい！」「ユキちゃんがずっと映っている!!」となりました（笑）。

落合　シビアな本編のあとに、あのエンディングが流れると、とても癒しになるんですよねえ。

M・A・O　CMまたぎのアイキャッチのところにも、何気なくユキちゃんの「シュッ！」という声が入っているので、ぜひ注目していただけたらうれしいです！

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