アニメ「グラゼニ」 PR

アニメ「グラゼニ」土屋礼央インタビュー|誰もがどこかに共感できる! 終身雇用“じゃない”サラリーマンが戦うシビアなプロ野球の世界

「グラウンドには銭が埋まっている」という定番のフレーズを地で行く、投手・凡田夏之介のプロ野球ライフを描いた「グラゼニ」シリーズ。モーニング(講談社)にて連載されている同作がアニメ化され、BSスカパー!にて4月から放映がスタートした。

コミックナタリーでは、アニメの放送開始に合わせ作品のファンを公言するアーティスト・土屋礼央にインタビューを実施。好きなシーンやお気に入りのキャラクターなどを紹介してもらいつつ、誰もがハマらずにはいられない「グラゼニ」の魅力について解説してもらった。

取材・文 / ツクイヨシヒサ 撮影 / 塩入正隆

ここまで野球と生活が密接なマンガは見たことない

──土屋さんは「グラゼニ」の愛読者だと伺っています。読み始めたのはいつ頃からですか?

土屋礼央

単行本を最初に買ったのが3巻ぐらいまで出た頃だから、2011年末くらいかな。以来、発売日ごとに最新刊を手に入れていて、もちろん全巻を揃えています。そんなふうに必ず発売日に買っているマンガは、今は「グラゼニ」だけですね。野球に興味のなかったうちの妻まで面白がって読んでいるのでビックリしますよ。

──作品のどんなところにハマったのでしょう。

世の中に野球マンガっていっぱいありますけど、ここまで野球と生活が密接に繋がっている作品を過去に見たことがなかったんですよね。プロ野球選手って、なんとなく「高嶺の花」というか、僕たちには手の届かない存在というイメージがあるじゃないですか。でも、選手もやはり1人の人間で、生活のために野球をやっている。そこの部分を「グラゼニ」はしっかりと描いているので、すごく面白かった。普通に働いている人からしたら、確かにプロ野球選手の年俸は高額ですけど、人生全体で考えると選手生命も短いし、活躍して引退する人と、振るわなくて引退する人じゃ、セカンドキャリアもまったく違ってくるっていう視点も「グラゼニ」を読むまでは持っていませんでしたし。

──年俸の金額に関しても、具体的な数字がどんどん出てきます。

アニメ「グラゼニ」第1話より。夏之介は試合中でも選手名鑑に目を通し、対戦相手を研究することを欠かさない。

主人公の凡田と同じで、僕も選手名鑑などを開くと年俸を先に見ちゃうタイプ(笑)。基本的に数字が好きなので。だから、「グラゼニ」の中で描かれる年俸交渉などは、とても読み応えがあります。ただ、僕と凡田の違いは、選手目線か経営者目線かという部分。僕はどちらかというと経営者目線で見ていて、限られた金額の中でどういった選手をやりくりするか、ということを考えながら選手名鑑を眺めています。

僕の頭の中は、たぶん凡田と似ている(笑)

──年俸交渉は、「グラゼニ」のひとつの見どころですね。

アニメ「グラゼニ」第1話より。グラウンドに敷き詰められた1万円札の上に立つ夏之介。「グラウンドには銭が埋まっている」というフレーズを表現している。

チームが優勝したかどうかよりも、年俸交渉でいくら上がったかのほうが記憶に残りますからね。そういう野球マンガって、滅多にないと思いますよ。しかも、ニュースで報道されるようなスター選手たちは、何千万円も上がった、総額で何億円になったとか騒がれますけど、凡田なんかは、50万円単位のシビアな交渉をしていたりする。「なるほど、そこまで気にするものなんだな」と。以前は、オフシーズンに年俸でモメているプロ野球選手を見ると、「何をゴネているんだよ」「お金じゃないだろ、お金じゃ!」と不満に感じていましたけど、「グラゼニ」を読んでからは「うん、モメていいぞ!」と思うようになりました(笑)。それぞれの人生があるんだから、仕方がないと。

──年俸交渉を含め、世間からはあまり見えない部分が描かれていますよね。

プロ野球には勝った負けただけじゃない、自分が知らない面がいっぱいあるんだ、ということを実感させられますよね。対戦相手にしても、たまたま所属チームが違うだけで仲間がいて家族があって、みんなで一緒に競い合いながら生活している。

──「グラゼニ」を読むと、プロ野球選手も一般的なサラリーマンと同じような悩みを抱えているんだなというのがわかります。

土屋礼央

自分の生涯賃金はいくらぐらいだろうとか、セカンドキャリアはどうなるだろうかとかね。そんな野球マンガって、今までなかった。読みながら、「がんばれ!」「逆転しろ!」などと一方的に応援するだけでしたから。

──試合の勝ち負けではなく、選手の人生に感情移入してしまう。

凡田の持つ悩みや迷いというのは、社会人であれば誰にでも置き換えられると思うんです。映画「君の名は。」と「シン・ゴジラ」が流行ったときに、映画コメンテーターの有村昆さんがヒットの法則として、「現実の体験に少しリンクしていること」を挙げていて。そういう意味でいうと、凡田の抱える年俸や将来設計に対する不安は、社会人であれば誰もが持つ普遍的なもので、必ずリンクしている部分があるじゃないですか。

──つまりヒットの法則を満たしていると。

アニメ「グラゼニ」第2話より。夏之介は自身の年俸である1800万円以上をもらう選手に対して投球する際、どこか腕が縮こまってしまう。

はい。「グラゼニ」を終身雇用のないサラリーマンの話だと考えると、急に親近感が湧くというか。そうやって自分自身の人生に当てはめられる「グラゼニ」は、やっぱり最高だなと。こんな話をするとイメージダウンかもしれないですけど、僕も結構、自分の生涯年収とかずっと計算していましたからね。たぶん、頭の中が凡田と似ているんだと思います(笑)。

──「グラゼニ」はお金に興味のある人には特にオススメだということですかね(笑)。

いや、どんな人でもハマれると思いますよ。体育会系とはほど遠い、かなり文化系の僕でもハマれるぐらいですから。特に会社で部下を持ち始めたような世代の人だと、より楽しめるかもしれませんね。組織の中で自分はどう生きるのか、すべてが自分の思い通りにいかない中でどこに喜びを見出すのか、なんていうことを考えてもらいたいです。

アニメ「グラゼニ」
BSスカパー!にて毎週金曜日22:30~放送中
アニメ「グラゼニ」
スタッフ

原作:森高夕次・アダチケイジ「グラゼニ」(講談社「モーニング」連載)
監督:渡辺歩
シリーズ構成・脚本:高屋敷英夫
キャラクターデザイン:大貫健一
音楽:多田彰文
音響監督:辻谷耕史
アニメーション制作:スタジオディーン
製作:スカパー!・講談社

キャスト

凡田夏之介:落合福嗣
ユキ:M・A・O
田辺:二又一成
追田:乃村健次
小里:石野竜三
徳永:浪川大輔
渋谷:星野貴紀
松本アナ:松本秀夫

土屋礼央(ツチヤレオ)
土屋礼央
1976年9月1日生まれ、東京都出身。2001年にRAG FAIRのメンバーとしてメジャーデビュー。またツインボーカルバンド・ズボンドズボンのメンバーとしても活動し、2011年にはソロプロジェクトとなるTTREを立ち上げる。ラジオパーソナリティーとしても活躍しており、現在のレギュラー番組にニッポン放送にて毎週月曜から木曜まで13時から16時に放送されている「土屋礼央 レオなるど」、NACK5にて毎週日曜12時55分から17時55分まで放送されている「カメレオンパーティー」など。