「D・N・ANGEL New Edition」完結&豪華版発売 杉崎ゆきるロングインタビュー 「私にとって『DN』は親友のような存在」|入野自由、石田彰、置鮎龍太郎 アニメ版キャストコメントも

「D・N・ANGEL」
おさらい

インタビューでも語られたように、めでたく完結を迎えた「D・N・ANGEL」。しかし連載が長期に及んだこともあり、しばらく作品を離れていたという読者も少なくはないかも知れない。そこで、ちょっと物語のおさらいをしてみたいと思う。
ここでは「D・N・ANGEL」を読むうえでポイントとなる5つの要素「怪盗」「成長」「恋愛」「苦悩」「因縁」に関連したエピソードを掲載。その解説も併記する。新たに作品へ触れる人にはその“王道”の魅力を、かつての読者には当時の“幕が上がるときのような高揚感”を感じてほしい。

point1怪盗

第1巻
「第1話 恋愛の予告状」試し読み

「第1話 恋愛の予告状」

中学2年生の丹羽大助は14歳の誕生日に初恋の原田梨紗に告白するも玉砕。思いを断ち切れずにいた大助は、その夜、梨紗のことを強く思ったことをきっかけに伝説の大怪盗・ダークに変身してしまう。それは、古くから怪盗家業を続けてきた丹羽家の男子に代々伝わる“呪い”恋愛遺伝子の副作用によるものだった。

point2成長

第8巻
「時の秒針 VOL.10」試し読み

「時の秒針 VOL.10」

作品の大きなターニングポイントとなるエピソード「時の秒針」。美術品にも感情があり、人間と同じような存在であることがしっかりと描かれ、物語終盤の展開にも大きな影響を与えている。文化祭の出し物として童話「アイスアンドスノウ」を題材にした劇をすることになった大助だったが、実は物語には隠された悲しい過去があり、それが氷狩の美術品と関係していることがわかる。その悲しい過去の出来事から「アイスアンドスノウ」主人公・フリーデルトと同一の存在となった美術品・時の秒針を通し、大助は同じような関係性のダークとの別れも意識しだす。

point3因縁

第13巻
「STAGE3 VOL.20」試し読み

「STAGE3 VOL.20」

第18巻
「STAGE4 VOL.30」試し読み

「STAGE4 VOL.30」

物語の根幹を成す氷狩と丹羽の因縁。この2つのエピソードでは、ラストへとつながる真実が明らかに。氷狩が特異な美術品を生み出すようになった過去、ダークそしてクラッドが生まれた理由を日渡が独白する「STAGE3 VOL.20」。さらに最終巻を目前に控えた「STAGE4 VOL.30」では、謎多き日渡の義理の父からも、日渡も知らないダークとクラッドについての話が語られ、再開後のエピソードの中でもクライマックスが迫っていることを感じさせる一編になっている。

point4恋愛

第3巻
「第9話『仮面の予告状』」試し読み

「第9話『仮面の予告状』」

梨紅と大助の恋愛が成就する第1部のラストエピソード。数々の出来事を経て次第に互いを意識しだした2人だったが、なかなか思いを打ち明けられずにいた。そんな中、寝ている大助を前に自分の気持を伝える梨紅と、それを聞いてしまう大助。その場は、大助がトラブルに巻き込まれたこともあり、うやむやになってしまうも、その後にしっかりと大助が思いを伝えたことで2人は晴れて恋人となる。初めて恋人ができるという思春期の成長はもちろん、大助がダークに「勝ちたい」と精神的、身体的に大きく成長する様子が描かれている。

point5苦悩

第16巻
「STAGE4 VOL.15」試し読み

「STAGE4 VOL.15」

好きな人に本当のことを明かせない苦悩も本作の大きなテーマ。自身がダークであることを梨紅に伝えられないという大助の悩みは、恋愛の問題だけでなく、恋愛の成就がそのトリガーとなるダークとの別れにも関連して描かれている。また、「STAGE4 VOL.15」は美術品に隠された真実へと物語が展開していくエピソードにもなっており、大助が梨紅に真実を告げるということが、氷狩と丹羽の因縁と並ぶ重要な要素であることがわかる。

超豪華
「D・N・ANGEL New Edition」
全10巻発売

1巻から15巻までは紙の単行本が発売されていたが、以降は電子でのリリースとなっていた「D・N・ANGEL」。完結に合わせて刊行が開始した「D・N・ANGEL New Edition」は最終話までのエピソードが収録されるのはもちろん、至るところにこだわりが詰まった超豪華単行本となっている。ここでは、その豪華な装丁と中身を紹介しよう。

1装丁のテーマは「美術品」

伝説の大怪盗ダークを巡る物語を描く「D・N・ANGEL」。その豪華版のテーマとしてこれほどぴったりなものはないだろう。その“ゴージャスさ”は手に取ってさらにわかる。銀色のメタル紙に印刷されたカバーイラストは、大助の瞳や、衣装の装飾品などがキラキラと輝き、さらにタイトルロゴなどの一部には絵柄や文字が浮き彫りになるエンボス加工が加えられ、その立体感がさらに同書を“美術品”たらしめている。

2カバーデザインは「絵画」

各巻のイラストの周りには絵画のように額縁があり、表紙がそれぞれ「肖像画」のような印象を受ける。折り返し部分に配された過去のカラーイラストにも金色の額縁が足されており、まるで美術館の一部を切り取ったようなデザインとなっている。ちなみに表紙の額縁や背表紙に配置された羽は、1巻~10巻を並べるとデザインがつながるようになっており、気付かない人もいるような細かい箇所にも遊び心がちりばめられた。

3あえて“当時のまま”にこだわったカラーイラスト
カバー折り返し部分。カラーイラストが額装された美術品のようにデザインされている。

各巻にはピンナップや巻末にカラーイラストギャラリーも収録。作者の杉崎いわく「そのときのMAXのパフォーマンス」を見てほしいという過去のカラーイラストは、あえて修正を加えずに掲載されている。20年以上前のアナログ原稿をそのまま掲載するにあたっては、印刷所の協力なくしては成しえなかったことがインタビューでも杉崎から語られた。