1人のヒロインと、王子をはじめとする男性7人のドタバタ恋愛劇。こう聞くと敬遠してしまう男性読者も居るかもしれないが、1月に放送がスタートするテレビアニメ「ダメプリ ANIME CARAVAN」は、女性向けのスマホゲーム「DAME×PRINCE(デイム×プリンス)」を原作としながらも、男性でも楽しめるようなコミカルな作品として作られている。コミックナタリーでは大のアニメ好きで知られる、お笑いコンビ・天津の向清太朗に、ひと足先に「ダメプリ」を視聴してもらいその感想を聞いた。「女性向けの皮を被ったおもしろアニメ」という、「ダメプリ」の魅力についてたっぷりと語ってもらう。
取材・文 / 熊瀬哲子 撮影 / 佐藤類
女性向けスマホゲーム「DAME×PRINCE(デイム×プリンス)」を原作としたアニメ「ダメプリ」。弱小国家イナコの姫であるアニが、武力国家ミリドニアと宗教国家セレンファーレンとの和平条約のため訪れた調印式の会場で、ひと癖もふた癖もある王子たちと出会うところから物語が始まる。ナルシスト、女好き、自我のないカリスマ、引きこもり……どこか“ダメ”でも、どこか愛らしさのある王子たちのドタバタ成長物語が、1話完結にて描かれていく。
“空っぽ”のキャラクター
──向さんには放送に先がけて「ダメプリ ANIME CARAVAN」の第1話をご覧いただきました。まずは率直なご感想からお伺いできますか?
とにかくダメな人たちが集まってましたね(笑)。真っ直ぐな性格のアニが癖のある王子たちと出会って、これからむちゃくちゃトラブルに巻き込まれていくんだろうなと感じてワクワクしました。例えばナレクって、言ってしまえば“ナルシスト”っていうわかりやすい設定なのに、それが極端じゃないですか。だから何をしてくるか予想がつかなくて。第1話の中で、最初に観たときまったく意味がわからなかったシーンがあったんですよ。「こいつ何言ってんだ?」って。
──ああ、もしかしてなんだか壮大なBGMが流れていた場面でしょうか。
そうです、そうです! すごく思わせぶりなBGMが流れていたので、「これから何かが起きるのか?」と思って構えて観てたら、ナレクが「俺様カッコいい」ってつぶやいて、何もなく終わる。だから思わず1回巻き戻して見ちゃったんですよ。「俺、なんか大事なセリフ聴き逃したかな」と思って。
──実は私もそのシーンで1回巻き戻しました。「あれ、なんか見逃したかな」って。そんなことはなかったんですけど(笑)。
あはは! そうなんですよ。そう思いますよね、あんな思わせぶりなBGMが流れてたら(笑)。そういうナルシストなキャラクターひとつ取っても、とことんそこに特化しているのがすごく面白くて。この先どうなるんだろうと、続きが気になりました。
──確かにツッコミどころがあると観るのが癖になりますよね。
そうそう。ノリのいい作品とは聞いていたんですが、僕自身、職業でお笑いに携わってることもあって、厳しい目で観てしまうというか、はじめに観たときはちょっとだけナメていた部分があったと思うんです。だからこそ「聞き逃したかな?」と思って巻き戻したりして。だけどそのシーンで「あっ、なるほどな。これナメたらあかんやつや!」と、「ちゃんと男性が観ても笑えるようにしてるな」っていう、「男女ともに観てほしい」という作り手の気概を感じました。当然、ナレク役の石川(界人)さんの演技が素晴らしいっていうのもあります。石川さん、声優仲間とご飯行っても「すみませーん!」っていう店員さんを呼ぶ声でバレるらしいですからね。
──よく通るいい声だから(笑)。
いい声すぎるっていうので(笑)。ナレクもピッタリなキャラクターというか、ナルシストキャラを素敵に演じられてますよね。
──ほかに気になるキャラクターはいましたか?
僕はもう、リュゼですね。すごい好きです。太ももを触りたい。
──(笑)。
寒波来るんじゃねえ!と思ってますからね。ずっと太ももを出していてほしい。
──確かに日本の冬だとこの格好は難しいですね。
大きめのコートを羽織って萌え袖、みたいなのもそれはそれでいいかもしれないけど(笑)。リュゼって、まず単純にかわいいという要素がありますけど、ナルシスト、女好き、引きこもりとかいろいろなキャラクターが居る中で、“空っぽ”っていうのが斬新だなと思ったんですよ。
──確かにいろいろな設定が足されて成り立っているキャラクターも多い中で、リュゼは自我も何もないという、引き算されたキャラクターですよね。
そう、引いて引いて、空っぽっていう。それが珍しくて。しかもそういう自分に対して「私なんて……」っていう引け目を感じてるわけでもない。
──爽やかな笑顔で「宰相がそう言ってました」「宰相が……」と言い続けています。
自分に「何もない」っていうことを、本人がわかってない感じもすごくいい。目が離せないキャラクターだなと思いました。リュゼが宰相、宰相と頼りきっているクロムとの関係性が今後変わっていったりするのかとか、この先の展開はわからないですけど、想像すると面白いですよね。僕はリュゼの成長を見守ると決めました(笑)。
──リュゼもナレクも、今のところ自分のダメな部分に対しての自覚がないですよね。自分のマイナスな部分に気づいたら、そこからプラスに変えていこうと努力する姿も想像できる気がしますが。
ナレクの場合は、すごく挫折してみてほしい。挫折したときにアニに助けを求めるのか、自分1人で立ち直るのか、それともヴィーノや周りのキャラクターに救われるのか。そういう部分を見てみたいなと思いますし、逆に言うと最後まで観て、「折れへんのかい! この感じでずっといくんかい!」みたいな裏切りがあってもいいなあと思ったりします(笑)。
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男前なのに、なんでふざけるんだろう?
- テレビアニメ「ダメプリ ANIME CARAVAN」
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放送情報
- TOKYO MX:2018年1月10日(水)より毎週水曜22:30~
- KBS京都:2018年1月10日(水)より毎週水曜23:00~
- サンテレビ:2018年1月10日(水)より毎週水曜24:30~
- テレビ愛知:2018年1月13日(土)より毎週土曜25:50~
- BSフジ:2018年1月10日(水)より毎週水曜24:00~
- AT-X:2018年1月10日(水)より毎週水曜24:30~(リピート放送:毎週金曜16:30~ / 毎週日曜6:00~ / 毎週火曜8:30~)
- ※放送時間は変更となる場合あり。
配信情報
- dアニメストアほか
スタッフ
- 原作:「DAME×PRINCE」
- キャラクター原案:アリクイ堂
- シナリオ監修:StoryWorks
- 監督:星野真
- シリーズ構成:小林成朗
- キャラクターデザイン:渡辺るりこ
- アニメーション制作:スタジオ フラッド
- アニメーションプロデュース:AZクリエイティブ
キャスト
- アニ:矢作紗友里
- ナレク:石川界人
- ヴィーノ:梅原裕一郎
- リュゼ:斉藤壮馬
- メア:木村良平
- テオ:前野智昭
- リオット:武内駿輔
- クロム:竹本英史
- グリまる:齋藤彩夏
©DAME×PROJECT/NHN PlayArt Corp.
- 向清太朗(ムカイセイタロウ)
- 1980年2月27日生まれ、広島県出身。1999年2月に木村卓寛とお笑いコンビ・天津を結成。テレビやラジオのほか、アニソンとお笑いの融合イベント「アニ×ワラ」のプロデュースやトークイベントのMCなど活動は多岐にわたる。著書に「この4コマがオモロイ!」「ただのオタクで売れてない芸人で借金300万円あったボクが、年収800万円になった件について。」があり、「てんしんらん漫!」「可愛い娘が出てくる4コマ」「芸人ディスティネーション」「クズと天使と二周目生活」などのマンガ、小説の原作も務める。2018年1月24日には、構成作家でラジオパーソナリティを務める伊福部崇とのユニット・ハチミツとウインナーとして、初CD「CLAMP of STARS」をリリース。
- ハチミツとウィンナー「CLAMP of STARS」
- 2018年1月24日発売 / アトミックモンキー
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(TRUE RED)<赤盤>
[CD]
2160円 / AMET-0018 -
(ARROW BLUE)<青盤>
[CD]
2160円 / AMET-0019
2018年2月21日更新