SCRAPが贈る体験型イベント・リアル脱出ゲームと、青山剛昌原作によるTVアニメ「名探偵コナン」がコラボした「リアル脱出ゲーム×名探偵コナン『
コミックナタリーでは開催を記念し、コミックナタリーの記者自らがリアル脱出ゲームにトライしたレポートを公開する。昨年開催の「リアル脱出ゲーム×名探偵コナン『追憶のハロウィンからの脱出』」では、惜しくも脱出成功ならず、リベンジの機会を伺っていた記者。だが、意気込む我々を待ち受けていたのは、さまざまな“音”を駆使した新たなトリックの数々だった。
取材・文 / 佐藤希撮影 / ヨシダヤスシ
「黒鉄の海中研究所からの脱出」とは?
TVアニメ「名探偵コナン」シリーズとリアル脱出ゲームによるコラボイベントの最新作。ストーリーは劇場版「名探偵コナン 黒鉄の
リアル脱出ゲーム×名探偵コナン新作に再びトライ!
体験の前に入念な準備、先輩の教え
脱出成功ラインにわずかに届かず、コミックナタリー取材班が悔し涙に濡れた前作「リアル脱出ゲーム×名探偵コナン『追憶のハロウィンからの脱出』」から約1年(参照:コナンや安室と事件を解決!リアル脱出ゲーム×名探偵コナン「追憶のハロウィンからの脱出」にコミックナタリー記者がトライ)。新作「黒鉄の海中研究所からの脱出」でも体験の機会をもらえることとなり、記者は参加するメンバーを集め始めた。
前回の苦い思い出が想像以上に心に残っていたようで、今回はなんとしても脱出成功したいと意気込む記者。昨年の参加メンバーを中心に招集しつつ、新戦力としてボードゲーム好きの社員のほか、社内でもリアル脱出ゲーム好きとして知られる先輩社員にも声をかける。取材班のブレーンに、とこちらで勝手に期待していた先輩だったが、残念ながらスケジュールが合わずに不参加となった。しかしなんとしても勝ちにこだわりたい記者は、先輩に泣きつき攻略のコツを教えてもらうことに。
先輩はシナリオが毎回違うために一概には言えないが、と前置きしつつ、初歩的なコツとして「ゲームの序盤に解いた謎が、後々大きな意味を持ってくることがある」とアドバイスをくれた。メモ帳にしっかりと書き取り、体験会の日を待つ。ちなみに前回の参加人数は記者を含めて4人で、今回は5人。昨年よりも多い人数を揃えることができ、安心感を覚える。真実はいつも1つだが、謎を解く頭脳は1つでも多いほうがいい。
ポイントは音、新セキュリティシステムを体験
当日、記者たちは新宿の東京ミステリーサーカスを訪れる。今回のゲームは音声を用いたセキュリティシステムを開発する海中研究所「ラボラトリー・オルカ」が舞台となり、プレイヤーである我々はシステム開発の出資者として実用試験に招待された、というシナリオだ。会場内には20ほどのテーブルが設置され、その1つひとつに今回の実験の要である防犯システム、セキュリティ・オルカを操作するマシンが置かれていた。
セキュリティ・オルカは前述の通り音を用いた防犯システムであり、音がどの方角から鳴っているかを判別することができる。映像だけでは判別できなかった情報をプラスすることができ、従来と比べてより強固な防犯システムを作り上げられる、というものだ。セキュリティ・オルカを操作するマシンのパネルには研究所内のマップが表示されており、選択した部屋の見取り図を指でタップすると、画面下部に音声が収録されていたことを表す波線が表れる。音が収録されていた分数まで早送りすると、何者かの会話が聞こえるものの、妙に音量が小さい。そこで、パネルを操作してマイクの向きを変えると、部屋の右上にマイクが向いたところで会話内容がクリアになった。このようにして、音声の出所を探ることができるシステムらしい。
会場が暗転し、イベントがスタート。どうやらコナンと灰原は、阿笠博士が八丈島で意気投合した観光船の船長・丑尾の招待によって、今回の試用実験に参加したらしい。司会者によって実験の参加者たちが紹介されていく。実は会場入りする前に、記者は「ミッション付きチケット」の購入者に配られるカードを渡されていた。そこにはテーブルの代表者としてスピーチするよう書かれており、記者はシステム開発の出資に最も協力した銀行の人間として挨拶を行った。同様のミッションを受け取った参加者にはほかにもいたらしく、各テーブルから1人ずつ挨拶を行う。妙にリアリティのあるセリフと、参加者の演技力によって、自分が本当に銀行の人間のような気持ちになってくる。
実用試験にあたっては、事前に研究所のスタッフや、コナンと灰原たちが台本によって決められたさまざまな行動を施設内で取っており、その際の音声がセキュリティ・オルカで録音されていたという。その音を用いてセキュリティ・オルカの実力を体感すべく、我々は研究所が用意した6つの謎に挑んだ。音の出所を探るものや、複数の音の種類を判別するものなど、さまざまな問題が用意されており、どうやらテーブルごとにトライしている内容は違う様子。取材班最初の試練であるため、真剣に耳を澄ませて模擬実験に挑む。
イヤホンで研究所内の音を聞いている間、会場は静かながらも、周囲のテーブルからは参加者同士で綿密に相談をする声がひそかに聞こえてくる。しかし気合が充分過ぎる取材班は各々が早々と“ゾーン”に入ってしまい、録音音声をうわごとのように復唱する以外は口を開かない。わざわざ同僚でチームを組んで参加した意味を見失なったところで、タイムアップとなった。実験の結果は6問中5問正解という快調な滑り出し。早くも「脱出成功」というビジョンが見え始めてウキウキする記者だったが、そのとき会場内に大きな警報音が鳴り響いた。
100億かけたシステムが流出の危機、犯人探しがスタート
会場がざわつく中、研究所内の別の会場にいたスタッフより、メインサーバーが不正にアクセスされたこと、そして立ち入り禁止サーバールームに1人の少女がいたことが知らされる。その少女とは、コナンたちと一緒にいたはずの灰原。しかも彼女は記憶を失っており、なぜ自分がサーバールームにいるのかも思い出せない様子だった。混乱するスタッフは、ある事実に気が付く。なんと不正アクセスにより、総額100億以上かけて開発されたセキュリティ・オルカのデータが全世界に公開されようとしているらしい。システムの停止コードは何者かによって書き換えられており、40分以内に新しい停止コードを入力するとデータの公開は止められるという。我々はセキュリティ・オルカを利用して、停止コードと犯人の目星を付けることとなった。
捜査開始と同時に、一斉にセキュリティ・オルカと向き合うプレイヤーたち。音が重要な鍵を握るだけに、ヒントとなる音を聞き洩らさないように静かにゲームが進んでいく。犯人と疑われる人間は研究所のスタッフであるとされ、彼らの予定表やロッカーの中身、果ては文房具などがしまわれた備品箱に至るまで調べ、手がかりを積み重ねていく。部屋と部屋を移動し続けるスタッフの足取りも重要なヒントになるため、彼らの行動を細かくまとめたメモが欠かせない。求められるのは情報を整理する力と、音の正体を探り当てる発想力。昨年は答えを早く求めようとするあまりに焦りが生じ、かえって何も考えられないという事態に陥ったが、今年はメンバーと協力し合い、スムーズに第1、第2の謎を解くことができた。
その後、謎解きの手助けをしてくれるヒントキットの手を借りつつ捜査は進み、いよいよ最後の謎へ。犯人と思しき人物の目星もつき、記者たちは勢いに乗り始める。メンバー全員で集めた手がかりをまとめ、回答を報告しに行くとそこで捜査時間は終了した。
目の前に見える“脱出成功”、果たして結果は
捜査に確かな手ごたえを感じ、答え合わせを楽しみに待つ記者。コナンと阿笠博士が映像とともに事件の真相を解説し、すべての謎が徐々に明らかになる。中盤までの解答が発表され、ここで記者は、自分たちがあるトリックにまんまと引っかかってしまっていたことに気が付く。この謎解きに失敗していたことをきっかけに、どんどんと間違った方向に進んでいき、真相とはかけ離れたゴールに到着していたのだった。結果として、脱出はまたしても失敗。なお今回のシナリオは、これまで開催された「名探偵コナン」コラボシリーズの中でもトップクラス高難度だったらしい、ということを付け加えておく。
データ流出事件が解決しても残る謎は、灰原はなぜ記憶を失ったのか。「名探偵コナン 黒鉄の魚影」で灰原の新たな一面を見たファンであれば、エンディングを見ると彼女のさらなる魅力を感じられるかもしれない。取材班の謎解きが間違った方向に向かってしまったトリックがなんだったかも含めて、実際に会場で体感してみよう。最後に記者からお伝えできることとしては、「ゲームの序盤に解いた謎が、後々大きな意味を持ってくることがある」ということだ。
ミッション付きチケットをご紹介
昨年開催の「リアル脱出ゲーム×名探偵コナン『追憶のハロウィンからの脱出』」で好評だった「配役付きチケット」をバージョンアップさせた、ミッション付きチケット。
購入者にはイベント中に“とあるキャラクター”からの極秘ミッションが送られ、無事遂行できた場合には、そのキャラクターからのお礼メッセージが届く。さらにイベント後や自宅で楽しめる追加ミッションやオリジナルグッズがついてくるという、すべてを思う存分楽しみたいプレイヤーのためのチケットだ。
「黒鉄の海中研究所からの脱出」
オリジナルグッズをチェック
会場内グッズ売り場では、「黒鉄の海中研究所からの脱出」のオリジナルグッズも販売中。描き下ろしイラストを使用した謎付きクリアファイルセットには、イベントとは異なる問題が付属し、会場を出た後も謎解きが楽しめる。イルカに乗ったコナンたちのSDイラストが特徴的なアクリルキーホルダーはランダム販売で、全10種類のうちシークレットが2種類となっている。“研究所”モチーフのグッズとしては灰原のイラストがプリントされたビーカー型のマグカップや、「名探偵コナン」ファンはピンと来るであろうAPTX4869の薬ケースもラインナップされている。