次回作も、あまりメジャーじゃないものが描きたいな

──映画も新作が公開され、原作も10周年。今年は忙しくなりそうですね。

これまでマンガを描くことしかがんばってきてなくて、応援してくれる人に全然お礼が言えてなかったんです。それでも本当に熱心なファンの方がいっぱいいてくださるので、今年はみんなにお礼を届けられればいいなって思います。

──マンガ一直線、なんというか、末次先生自身が千早そのものに感じます。

マンガに対する姿勢は千早みたいかもしれない。

──「ちはやふる」が完結したとしても、まだまだ作家活動は続きますよね。これからマンガ家として、どのようにキャリアを重ねていきたいですか？

BE・LOVEって先輩のマンガ家さん方がたくさんいる雑誌で、60歳を超えて続けてらっしゃる先生もいるんです。それを見てると、私も60歳まではがんばろうと思って。でも次は、こんなに長くならない3巻ぐらいで終わる話を描きたいです。とか言って、「ちはや」も最初はそのつもりだったんですけど（笑）。

──「クーベルチュール」もまだ未完ですからね。

「クーベルチュール」のようなオムニバスは楽な気持ちで描けるので、暇ができたタイミングでやりたいなと。やっぱり「ちはや」ばっかりだと引き出しが1つしか開かなくなってしまうので、ほかにも興味を持たなきゃなと思ってるところです。

──次回作のテーマになりそうな、興味を持っていることなどはありますか？

今、冬季オリンピックやってるじゃないですか（取材は2月下旬）。カーリングも楽しそうとか思って（笑）。

──あ、読みたいです！ カーリングマンガ。

ハーフパイプの人もドラマがありそうですよね。エアリアルができるようになるまでとか。

──でも競技かるたと同じく、目をつけるところがちょっとマイナーなんですね。フィギュアスケートとかじゃないところが先生らしいです（笑）。

確かに（笑）。冬のスポーツじゃないけど、女子のラグビーも楽しそう。やっぱり、あまりメジャーじゃないとこのほうが楽しいなと思います。サッカーマンガとかは、すでに山ほど名作があるので私がやってもしょうがない。誰も真正面から描いてないものに惹かれますね。あと次は、1人の女の子が幸せになる話を描きたいです。

──「ちはやふる」も同じではないんですか？

「ちはや」に出てくる子たちって基本は幸せなんです。もう十分じゃんって思うのが普通なところで、さらに上を目指す気持ちの強さがあるんです。実際、競技かるたの世界にはカッコいい人たちがたくさんいるので「ちはや」ではそれを描ききりたいなと思ってます。

──では最後に、“仲のいい友達のよう”と表現する千早たちにメッセージを送るとしたら？

君たち幸せだよ！という一言でしょうか。なんて幸せなんだ、君たちは。こんなふうに映画館でかるたを観てくれる人がいっぱいいるよ。どうしよう、部員増えちゃうよ？って。きっと、あの子たちはワーキャーしながら「いやあ！ 困る困る！」「でもがんばる！」って言うと思います。