「BOYS BE… ~young adult~」イタバシマサヒロ×玉越博幸×小沢一敬(スピードワゴン)座談会|いくつになってもキュンッ!としてたい 「BOYS BE…」に、大人の青春を描いた新シリーズが登場!

「カッコつけない」は恥をかかないようカッコつけているやつのやること

「BOYS BE… ~young adult~」第2話は、居酒屋でくだを巻いていた主人公がたまたま同級生と再会する物語になっている。

──小沢さんは恋愛に絡めた甘い名言ネタがお得意ですよね。先ほどフェイバリットにあげた第2話は、高校時代にソフトボールだった女の子と、応援団だった男の子が社会人になって再会し、少しいい関係になるという話ですが。この物語の主人公に恋愛のアドバイスをするとしたら、どんな言葉を送りますか?

小沢 俺、恋愛相談って苦手なんですよ。「失敗しても1年後にはネタになるから、どっちでもいいじゃん」って思っちゃう。けど、野球絡みだったら1つ決めてるネタがあります。もし指輪を渡してプロポーズするって状況なら、野球場に連れて行く。野球場の別名は「ダイヤモンド」だから。

玉越イタバシ (顔を見合わせて)あまーーーい!

小沢 なんじゃこれ(笑)。

玉越 そのまんまマンガにできそうですね。

「BOYS BE… 2nd Season」第71話「キミにFish On !」より。主人公はヒロインをバス釣りに誘い、告白を受けたヒロインはOKのサインとして「フィッシュオン!」と返事をする。©イタバシマサヒロ・玉越博幸/講談社

小沢 でもこういうネタを仕込むようになったのは「BOYS BE…」の影響ですよ(笑)。何かテーマにまつわる上手いことを言って、バシッと決めるっていう。僕がよく触れる「フィッシュオン!」(「BOYS BE… 2nd Season」第71話「キミにFish On !」のセリフ)もそうでしょう? こういうことを言ってると「恥ずかしくない?」とか「カッコつけてる」って言われるんですけど、むしろ「言わないほうがカッコつけてるじゃん」って思うんですよね。言って恥かくのが嫌だから言わないだけじゃんって。だから、大事な場面ではカッコつけたほうがいいと思うんです。

玉越 ありがとうございます! 泣きそうです……!

──先ほどプロポーズをする場合のアドバイスをいただきましたが、そもそも女の子と付き合う段階まで来ていないっていう人はどうしたらいいでしょうか。第2話の主人公は、まだ友達関係くらいの仲で、ここから告白ってなかなか勇気がいるし、うまくいくか不安になると思うんですが。

小沢 相手が好きかどうかわからないから告白できないっていうのは、勝ち戦しかしないってことじゃん。それは俺、嫌だなあ。好きだって気持ちがあるなら言ったほうがいいと思う。俺、よく恋愛をアトラクションに例えるんだけど、オバケ屋敷なら怖いほうがいいし、ジェットコースターならスリルがあるほうがいいでしょ。恋愛も同じで、フラれるにせよ、うまくいくにせよ、俺はその物語の沸点を知りたいの。怖いっていうなら「じゃあアトラクションに乗らないほうがいいじゃん」って思っちゃう。……すみません、なんか説教くさくなっちゃって。

──いえ、すごく恋愛相談っぽいまとめです(笑)。

奥手な編集者の恋愛相談を、そのままマンガにした第3話

──恋愛相談といえば、「young adult」第3話は担当編集の三浦さんの体験談というか、相談のような内容が元になっているそうですね。

左から玉越博幸、イタバシマサヒロ、小沢一敬。

イタバシ この話を書く前からいろいろ話は聞いていて「どうなってるの?」って打ち合わせの度に探りを入れてたんです。「告白しようと思ってるんですけど……」とか。

小沢 ふーん、いろいろ話をしてたの?

三浦 ……。

イタバシ いろいろ相談されるんだけど、彼がまた変に奥手で、「今時の子だったらそんなにピュアじゃねえだろ」ってやきもきしちゃって(笑)。彼の上司と一緒になって焚き付けてね。だから、もうこれはマンガにしてしまおうって。

小沢 いろいろ相談してたの?

三浦 ……しゃべらされたんですよ。

「BOYS BE… ~young adult~」第3話は、高校時代から好きだった女の子と3年越しで再会した男子の物語。一緒に観覧車に乗り、その頂点に来たとき告白をしようと考えているが……?

──彼女もマンガになっているのは知ってるんですか?

三浦 はい。

小沢 超面白いじゃん。「ねえ、これ私たちの話じゃない?」って。

三浦 本当にそんな感じで。僕の家にドラゴンエイジがあるので、それを読んで「これって……」「そうだね」って。

小沢 「そうだね」じゃないよ。お前が担当で、マンガ描かせたんだろ! でも、2人がいつか結婚するときは、結婚式のなれそめエピソードにこれを流せばいいよね。

──小沢さんは、恋人同士になる前の女の子みたいな微妙な距離感の相手とデートした思い出とかありますか?

小沢 ありますあります。それこそ「BOYS BE…」みたいな話なんですけど。東京に出てきたばかりの頃、女の子と電車に乗って海に行ったの。電車の中でも、横に並ぶのが恥ずかしいから向かいに座ってメールで会話とかするようなもどかしい関係で。で、江ノ島に着いて、僕は岩に腰掛けて海を見ながら「おーい! もしよかったらまたこれからも海とか来ない?」って勇気を出して言ったのね。「また誘ってね」とか普通の返事が来ると思っていたのだけど、その子が海に向かって「いいともー!!」って言って。もうキューーーン!となりました。

イタバシ うわー! いいですね!

小沢 もろ「BOYS BE…」でしょう? で、その子がダンスの先生だったから「ねえ! 踊ってよ!」って言ったら、近くに来て「ひとりじゃ踊れないよ」って。それで、2人で海で踊ったの。もう気持ち悪いくらいできすぎじゃない?(笑)

イタバシ アメリカの映画のよう! 日本の海岸ではありえない(笑)。

玉越 今のでひとつ話ができますね。原案表記を入れて、マンガ化したいくらいです(笑)。

小沢お気に入りの「フィッシュオン!」のポーズを取る3人。
イタバシマサヒロ・玉越博幸
「BOYS BE… ~young adult~①」
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イタバシマサヒロ・玉越博幸「BOYS BE… ~young adult~①」

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シリーズ2500万部超! 王道恋愛マンガ「BOYS BE…」の後継作!! かつてクラーク博士は言った「Boys be ambitious!」。この言葉は決して少年だけに向けたものでなく、大人もまた然り。これは大志を見出せない、恋愛に不慣れな“大人に成り行く者達”へ贈る、青春物語──。

イタバシマサヒロ
イタバシマサヒロ
「BOYS BE…」の原作担当として、1991年にマンガ原作者デビュー。小説家としても活動し「七不思議学園の風来坊」「月が射す夏 コバヤシ少年の生活と冒険」「エーベルージュ 魔法を信じるかい?」などの作品を発表している。
玉越博幸(タマコシヒロユキ)
玉越博幸
1970年9月1日大阪生まれ。1991年に作画担当で連載開始したデビュー作「BOYS BE…」はヒットを記録し、現在も執筆が続く人気シリーズとなる。同作の原作を手がけるイタバシマサヒロとのタッグで描いた別作品にSFジュブナイル「A GIRLS」も存在する。
小沢一敬(オザワカズヒロ)
小沢一敬
1973年生まれ、愛知県出身。1998年に井戸田潤とともにお笑いコンビ・スピードワゴンを結成。2002年、翌2003年と2年連続で「M-1グランプリ」の決勝に進出し知名度を全国区に広げる。独特の言葉使いや世界観を打ち出したネタが人気を集め、バラエティ番組やドラマなど多方面で活躍中。